【雨の日も大満足】東京の子連れ室内スポット4選!...
SHARE
「ベランダはいらない」人が急増中? 新築住宅からベランダやバルコニーが消え始めた理由と間取りの新常識
ビジョナリー編集部 2026/10/04
戸建て住宅を建てる際には「日当たりの良い2階にベランダ(バルコニー)を作る」という人が以前は多くいました。しかし近年、家づくりで大きな変化が起きています。新築時にベランダを作らない選択をする家庭が急増しているのです。
本記事では、その背景にある家事の動線や住環境の変化、さらに代わりに需要が急伸している空間トレンドまでを解説します。
「ベランダなし」の家は5年で約3倍に急増
積水化学工業の「住環境研究所」が実施した調査データによると、新築の2階建て住宅においてバルコニー(ベランダを含む)を採用しない割合は、2018年度の10.8%から2022年度には30.6%へと急増しました。わずか5年間のうちに、採用しない家が約3倍にまで跳ね上がっているのです。
この傾向は若年層で顕著にあらわれています。30歳未満の施主においては、実に37.9%(約4割)がベランダの無い間取りを選択しています。また、設けている家庭であっても、日常的に洗濯物の外干しに活用している若い世代は半数以下に留まっているという実態もあります。
なぜ作らないのか?選ばれなくなった背景
これほど急速に減少している背景には、現代の家庭が直面する暮らしの現実と価値観の変化が深く関係しています。
タイパ(時間対効果)重視の家事スタイルと高性能家電の普及
共働き世帯が一般的となった現代において、家事に求められるのは「効率化」と「時短」です。重い濡れた洗濯物を入れたカゴを持ち、階段を上って2階のベランダまで運ぶという往復作業は、時間的にも体力的にも大きな負担となります。
近年では、高性能なドラム式洗濯乾燥機の普及が進み、そもそも「外に干す」という工程自体が不要になってきています。洗濯から乾燥までを1箇所で終わらせたいというニーズが、ベランダの必要性を薄めさせています。
「室内干し」の標準化
日中に家族が全員外出している世帯では、天候の変化やゲリラ豪雨に対応できません。そのため、「洗濯物は夜に洗って室内に干す」あるいは「日中も室内干しにして出かける」というスタイルが定着しました。時間や天候に縛られずにいつでも洗濯ができる環境を整えることが、外干しよりも生活のリズムに合致しているのです。
外気のリスク(花粉・PM2.5・害虫・黄砂)への警戒
春先のスギ・ヒノキ花粉をはじめ、秋の花粉、PM2.5や黄砂など、年間を通じて外気に含まれる飛散物への注意が高まっています。せっかくきれいに洗った洗濯物に花粉や砂ぼこりが付着することや、害虫が付くリスクを避けるため、「外干しは避けたい」と考える家庭が年々増えています。
建築費用および将来のメンテナンスコスト削減
住宅資材の高騰や建設コストの上昇が続く中、予算をどこに集中させるかという判断も重要です。ベランダを1箇所作るだけでも、数十万から百万円程度の費用がかかります。
さらに見落とされがちなのが、メンテナンスのコストです。床面は雨風に晒されるため、10年から15年ごとに防水塗装や防水シートのやり替え工事が必要となり、その都度十数万円以上の出費が発生します。最初から作らないことで、初期費用だけでなく、将来のランニングコストまで削減できます。
掃除の手間軽減と防犯面の安全確保
風で飛んできた砂ぼこりや排水溝の落ち葉などが溜まりやすく、定期的な掃除が欠かせない場所です。掃除を怠ると排水口が詰まり、雨漏りの原因にもなりかねません。
また、防犯面においても、空き巣が足場として利用しやすいポイントとなります。ベランダを無くすことで、屋外の掃除の手間から解放されると同時に、防犯性を高められるというメリットも生まれます。
住まいの空間トレンド:消えるスペースと生まれるスペース
このニーズの変容は、家全体の間取りのあり方にも変化をもたらしています。「減っている空間」と、その代わりに「増えている空間」を対比することで、現代住宅のトレンドが見えてきます。
姿を消しつつある空間
現代の間取りで不採用が増えているのが「和室(畳スペース)」、「無駄な廊下」、そして「独立型キッチン」です。
客間や憩いの場として親しまれた和室は、ライフスタイルの洋風化や限られた延床面積を有効活用したいというニーズから、リビングを広くするためにカットされる傾向が強まっています。また、部屋同士をつなぐためだけに存在する廊下も、建築コストを抑えつつ居室や収納スペースを広げるために極力排除した「廊下のない間取り」が人気を集めています。キッチンについても、家族と対話しながら調理ができる開放的なLDK一体型やアイランド型が主流となり、壁で仕切られた個室型のキッチンは姿を消してきています。
新たな人気空間
一方で、削ったスペースや予算を充てる形で、普及している空間があります。例えば「ランドリールーム(室内物干し専用部屋)」です。
住環境研究所の調査によると、バルコニーを作らなかった住宅の約7割(68.3%)がランドリールームを採用しています。2畳ほどのスペースに洗濯機、物干し竿、作業用カウンター、収納棚をまとめ、「洗う・干す・畳む・アイロンをかける」という一連の作業を1箇所で完結させる間取りです。
さらに、ランドリールームの隣に家族全員の服をまとめて保管できる「ファミリークローゼット」を直結させる動線も支持を得ています。乾いた衣類を畳まずにハンガーのまま移動させるだけで収納が完了するため、家事にかかる時間を短縮することができます。
どうしても屋外の開放感を楽しみたいという家庭においては、1階の敷地内に目隠しフェンスを整えた「中庭(パティオ)」や「インナーテラス」を設置するケースが増えています。プライバシーを守りながら、安全にバーベキューや子どもの水遊びを楽しめるプライベート空間として評価されています。
終わりに
もちろん、「どうしても太陽の光で布団を干したい」「ベランダでガーデニングを楽しみたい」という目的がある場合は、作る価値が十分にあります。大切なのは、周りに流されるのではなく、自分たちの生活リズムや家事スタイルに本当に合っているかどうかを見極めることです。家族みんなが快適に過ごせる最適解を見つけてみてください。


