東急リバブルが挑む「ペット共生」の最前線。大型犬・多頭飼いOKの「ウェルスクエア駒場東大前」開発秘話

2025年10月、東京・世田谷区に一棟の賃貸レジデンスが誕生した。東急リバブルが展開する新築一棟投資用不動産ブランド「ウェルスクエア」の最新作、「ウェルスクエア駒場東大前」だ。

一見、スタイリッシュな普通の賃貸マンションだが、ここにはある明確なコンセプトが込められているという。それは 「ペット共生」 だ。

単なる「ペット可」物件なら珍しくはない。しかし、この物件は業界の常識を覆し、賃貸では敬遠されがちな「大型犬」の飼育や「多頭飼い」を許容し、ハード・ソフト両面で“ペットと暮らすこと”を徹底的に追求している。

なぜ、大手不動産流通企業である東急リバブルが、ニッチとも言えるこの分野に切り込んだのか。その背景には、開発チームの実体験と、変化する住宅市場への鋭い洞察があったようだ。

「ペット可」と「ペット共生」は違う。市場のギャップに挑む

コロナ禍を経て、ペットを家族として迎え入れる家庭は急増した。しかし、賃貸住宅市場において、その受け皿は決して十分ではない。

特に深刻なのが「大型犬」や「多頭飼育」のハードルだ。多くの物件が「小型犬1匹まで」という条件を課す中、愛犬家たちは住まい探しに翻弄されているのが実情だという。

同社の調査（※1）によれば、ペット飼育者の半数以上が「駅から徒歩15分以上でも、ペットと共生できる環境なら許容できる」と回答している。「駅からの距離や利便性以上に、ペットとの暮らしを優先する層がいる」。ここに、都心の駅近開発が飽和する中で、新たな不動産価値を見出すヒントがあった。

※1.クロスマーケティング2023年3月実施、回答者数：全国のペットを飼っている人1,000名（20～69才、男女、東京都および神奈川県の一部に在住）

開発チームは「飼い主」中心。実体験から生まれた“かゆい所に手が届く”仕様

「ウェルスクエア駒場東大前」の開発にあたり、社内でプロジェクトチームが結成された。メンバーの中心となったのは、実際にペット飼育経験のある社員たちだという。

「ペットと人、双方にとって心地いい住宅とは何か？」

机上の空論ではなく、自らの生活実感としての議論が重ねられた。その結果、従来の賃貸マンションの「常識」が次々と打破されていった。

例えば、共用廊下。通常は「ペットを抱きかかえること」がルールだが、大型犬ではそれが不可能に近い。そこで本物件では、リード着用であれば共用部を歩かせることができるルールを採用した。

また、専有部の床材には、ペットの足腰への負担を軽減し、滑りにくい特殊なフローリングを採用。これは同時に、退去時のオーナーの修繕コストを抑える工夫でもあるそうだ。

さらに、どうしても気になる「ニオイ」対策として、天井埋め込み型のナノイー発生機を設置。脱臭だけでなくカビ菌の抑制も見込み、人とペットの健康な暮らしを支える仕様となっている。

「ウェルスクエア」が目指す、一棟投資用不動産の未来

「ペットを飼う」のではなく「ペットと共に生きる」。

そのコンセプトを実現するために、大型犬（1階のみ）の飼育を可能にし、足洗い場の設置など細部までこだわり抜いた本物件。

竣工と同時に入居者募集が開始されたが、その背景には「入居者の30％以上がペット共生型への転居を希望している（※2）」という切実なニーズが存在するという。本物件は、そうした市場の声に応える待望の住まいとして誕生した。

※2. ウェルスクエア入居者アンケート2023年3月実施、回答者：ウェルスクエア（ペット飼育不可）入居者215名

東急リバブルの「ウェルスクエア」シリーズは、今後も「自由自在な土間空間」や「防音室」など、画一的な賃貸住宅にはない、多様なライフスタイルに寄り添う商品を展開していく予定だという。 単に箱を作るのではなく、そこに住まう人の「愛着」や「こだわり」を形にする。東急リバブルの“不動産情報のマルチバリュークリエイター”としての挑戦は、成熟した賃貸市場に新たな風を吹き込んでいるようだ。