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不育症とは 原因から治療、最新サポートまで解説
ビジョナリー編集部 2026/06/11
赤ちゃんがお腹の中で十分に育たないーーそんな症状を「不育症」といいます。この記事では、基本から、原因、検査・治療法、社会的サポートまで、分かりやすく解説します。
不育症の「いま」を知る:一人で抱え込まないために
「不妊症」と「不育症」は、よく混同されがちです。不妊症はそもそも妊娠が成立しにくい状態を指しますが、不育症は妊娠自体は成立するものの、流産や死産を繰り返してしまい、赤ちゃんを無事に産むことが難しい状態を意味します。「妊娠できたのに…」という希望と挫折が交錯する苦しみを抱えやすいのが、不育症の特徴です。
日本では2回以上の流産や死産を経験する方が約4%、3回以上となると1%弱にのぼるとされています。一般的には、2回以上繰り返した場合に不育症とみなされることが多いです。さらに、流産や死産が連続していなくても、回数が重なることで医療機関を受診する目安となります。
なぜ起こるのか?原因とよくある誤解
無事に産めなかった原因を考えるとき、「私の生活が悪かったせいでは?」と自分を責めてしまうケースが少なくありません。例えば「重いものを持ったから」「仕事でストレスがあったから」と流産の理由を考えてしまう人がいますが、妊娠初期の流産はほとんどが胎児側の原因(染色体の偶発的な異常)によるものです。
医学的に分かっている主な原因には、いくつかのタイプがあります。まず、夫婦どちらかに染色体の変化がある場合です。これは遺伝的な要因であり、健康そのものには問題がなくても、受精卵に染色体のバランスの乱れが生じて流産しやすくなります。
次に、子宮の形態に異常がある場合です。先天的に子宮の形が一般的と異なる場合、胎児や胎盤が圧迫されるなどして妊娠の継続が難しくなることがあります。
また、血液が固まりやすい体質も重要な要素です。抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患では、胎盤への血流が妨げられてしまう場合があります。さらに、甲状腺機能異常や糖尿病といったホルモンバランスの乱れも流産のリスクを高めることが知られています。
一方で、約半数は現在の医療検査でも明確な原因が見つからない(原因不明)ことが現実です。「原因不明」と告げられると不安になるかもしれませんが、たとえリスク因子が特定できなくても、適切なケアやサポートを受けることで、最終的に多くの方が無事に出産に至っているというデータもあります。
「検査」と「診断」のステップ
適切な検査を受けることは、未来への大切な一歩となります。では、どのタイミングで検査を始めるべきなのでしょうか。
一般的には、2回目の流産や死産を経験した時点で、不育症の検査を検討される人が多いです。最近では、早めに原因を調べて不安を解消することの重要性が広がっています。特に妊娠10週以降の流産や死産を経験した場合は、抗リン脂質抗体症候群など治療可能な疾患の可能性があり、早期の受診が勧められます。
クリニックで受ける主な検査には、血液検査、超音波検査、夫婦の染色体検査などがあります。血液検査では血液が固まりやすい体質や免疫異常、ホルモンバランスを調べます。超音波や子宮卵管造影では、子宮の形態異常を確認します。さらに、夫婦ともに染色体に異常がないかを調べるための検査も重要です。
検査結果が出るまでには数週間〜1ヶ月ほどかかるものもあります。その間、不安な気持ちになるかもしれませんが、パートナーと一緒に検査を受け、お互いに支え合うことが大切です。医師やカウンセラーと相談しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
赤ちゃんを迎えるための「治療法」と「最新の研究」
検査で原因が明らかになった場合、それぞれに応じた治療法が提案されます。たとえば、血液が固まりやすい体質が見つかった場合には、血液をサラサラにするための低用量アスピリン療法やヘパリン療法が行われます。これらの治療は胎盤への血流を良好に保ち、妊娠の継続をサポートします。
また、子宮の形態異常が原因である場合には、子宮鏡を使った手術で形を整えることも選択肢となります。ホルモンバランスの乱れが指摘された場合は、甲状腺疾患や糖尿病の治療を行い、妊娠前から妊娠中まで良好な状態を保つことが推奨されます。
明確な原因が見つからない場合、医療従事者による「テンダーケア(きめ細やかな精神的サポートや頻回の診察)」が非常に重要視されています。これだけで次回妊娠の成功率が向上するという報告もあります。
また、近年では着床前ゲノム異数性検査(PGT-A)といった最新技術も注目されています。体外受精で得られた胚の染色体数を事前に調べることで、染色体異常による流産を減らす可能性が期待されています。その他、免疫異常に対する新たな研究も進んでおり、医療の選択肢は日々広がっています。
日常生活でできること
毎日の生活の中でもできることがあります。妊娠を目指す体づくりのためには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。特に葉酸などのサプリメントは、妊娠初期の健康な発育を助ける役割があるため、積極的に取り入れてみてください。
また、喫煙や過度なアルコール摂取は流産リスクを高めるとされており、ご本人だけでなくパートナーの禁煙も重要です。カフェインの摂りすぎにも注意しましょう。適度な運動や十分な睡眠も妊娠をサポートする大切な要素です。
そして、何より大切なのが「心のケア」です。流産や死産を経験した方は、深い悲しみや喪失感を抱えています。無理に前向きになろうとせず、その悲しみを受け入れる「グリーフケア」の時間が必要です。夫婦間で気持ちを共有し、お互いに寄り添うことも、心の回復に大きくつながります。
一人で悩まないための「社会的サポート」
自治体によっては、検査や治療に対する助成金制度が設けられています。経済的な負担が気になる方は、お住まいの市町村の窓口や医療機関で最新の情報を確認してみてください。
また、各都道府県には「不妊・不育専門相談センター」が設置されています。専門のカウンセラーや医療従事者に相談することで、不安や疑問を解消しやすくなります。
さらに、同じ経験を共有できる当事者コミュニティや自助グループの存在も大きな支えとなります。同じ道を歩んできた仲間とつながることで、孤独感が和らぎ、理解し合える安心感を得ることができます。
不育症は、決して誰の責任でもありません。一人で抱え込まず、専門医を頼り、適切なケアやサポートを受けることで、多くの人が次のステップへ向かっています。


