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富士山の閉山日ーー閉山後の登山リスクと使える施設の違い・他山の事例まで解説
ビジョナリー編集部 2026/09/02
富士山の閉山日は毎年9月10日です。この日を過ぎるとすべての登山道が通行禁止となり、山小屋・トイレ・救護所などのインフラが利用できなくなります。
本記事では、閉山前後の環境変化やリスクをはじめ、他県の山々における閉山日の事例までわかりやすく解説します。
富士山に登れる期間とは
富士山の登山シーズンは夏季限定です。例年、山梨県側の吉田ルートおよび静岡県側の須走ルートは7月1日に山開きを迎え、富士宮ルートと御殿場ルートは7月10日に開山します。そして、全ルート共通で訪れるシーズン終了の日が「9月10日の閉山日」です。
閉山日を迎えると、自治体や関係機関によって各ルートの五合目登山道入口が閉鎖され、法律や条例に基づき原則として通行禁止となります。これは厳しい冬の気象から登山者の安全を守るための措置です。
閉山前と閉山後で変わる「施設やサポート」
まず、山小屋の営業について、開山期は売店や宿泊施設として賑わいますが、閉山後は完全休業・施錠され、水や食料の補給は一切できません。
次に衛生環境(トイレ)です。夏場に利用できたトイレも、冬期の凍結防止のため閉鎖されます。
さらに大きな違いが救護体制とアクセスです。開山期には医師や看護師が常駐する救護所が開設され、5合目までのバスも頻繁に運行されています。しかし閉山後は救護所が撤収し、路線バスも大幅削減または運行終了となります。
閉山後に潜むリスク
「秋の晴れた日なら登れるのではないか」と考えてしまうかもしれませんが、閉山後には様々な危険が潜んでいます。
第一に急速な冬山化です。標高3,776mの山頂付近では、9月中旬を過ぎると最高気温が氷点下まで下がり、雨が雪や氷へと変わります。氷解しないアイスバーン(凍結路面)が発生し、滑落事故の危険度が飛躍的に高まります。
第二に猛烈な風があります。独立峰である富士山は周囲に遮るものが一切ありません。台風並みの突風や強風が吹き荒れ、体温を奪うだけでなく、身体ごと吹き飛ばされる恐怖と隣り合わせになります。
第三に救助の遅延と困難さです。閉山後は現地に救助要員が待機していないため、通報から救助隊の到着までに時間を要します。悪天候時はヘリコプターの出動も困難なため、命に直結する遅れにつながります。
第四に情報と通信の遮断です。冬期に入ると山頂付近の観測設備や基地局の電波状況が不安定になり、外部との連絡手段を失う危険性が高まります。
全国の閉山事例
閉山日を設定して安全管理を行う仕組みは、富士山以外でも広く導入されています。
例えば、富山県の立山・黒部エリアでは、11月末頃に立山黒部アルペンルートの運行が終了することに伴い、冬季閉鎖に入ります。標高の高い山域への立ち入りが制限され、本格的な雪山へと移行します。
長野県の上高地・穂高連峰では、毎年11月15日に歴史ある「閉山祭」が執り行われます。これを合図に主要なホテルや山小屋が一斉に営業を終え、バスの運行もストップするため、入山者数が一気に絞られます。
日本の高山では「積雪や荒天による遭難を防ぐ」「自然環境を保護する」という共通の目的から、閉山日やシーズンオフの区切りが設けられているのです。
閉山後の立ち入りは違反?知っておくべき「規制とルール」
「閉山後でも自己責任なら登ってもよいのか」という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、現在は条例による規制が存在します。山梨・静岡の両県では、安全確保のため閉山後の登山道(五合目より上)を全面通行止めとしており、原則として立ち入りを禁止しています。
特に近年は、冬山装備を持たない軽装登山者や外国人観光客の無謀な入山が問題視されており、五合目へのゲート設置や警備員による指導が強化されています。仮に遭難した場合、過失による救助費用が発生するリスクがあるだけでなく、警察や地元自治体、救助隊へ甚大な負担をかけることになります。
終わりに:「開山期間内」にルールを守って楽しもう
閉山日である9月10日を過ぎると、インフラは姿を消し、富士山は過酷な自然と対峙する冬山へと変貌します。
日本一の絶景を楽しみ、無事に帰宅するためには、7月上旬から9月10日までの「開山期間内」に計画を立てることが鉄則です。適切な準備を整え、ルールとマナーを守って、安全で素晴らしい富士登山の思い出を作りましょう。


