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賛否が分かれるクールビズとおじさんのハーフパンツ
ビジョナリー編集部 2026/05/25
東京都が軽装推進の一環として“ハーフパンツ勤務”を認め、紳士服チェーンも相次いでビジネス用短パンを発売するなど、働く現場の“服装革命”が加速しています。
ところが、ネットの声「開放的で良い」「おじさんの生足は勘弁してほしい」と、賛否が割れるのはなぜなのでしょうか。
都庁も解禁、ビジネス用ハーフパンツが急増中
2026年、東京都庁は“東京クールビズ”の新たなルールとして、職員のハーフパンツ勤務を本格的に容認しました。都庁の担当者は「これまでは勇気がいりましたが、実際に履いてみると抜群に快適。業務効率も上がる実感があります」と前向きな意見を語ります。
この流れに追随するかのように、紳士服大手の洋服の青山は、5月にビジネス仕様のショートパンツを発売。従来の休日用とは異なり、丈やシルエットをミリ単位で調整し、座った際の過度な露出も抑えるなど、オフィス使いを前提とした設計が特徴です。
さらに同素材のジャケットや半袖シャツ、ロングパンツと組み合わせて着分けられる“セットアップ対応”を提案。暑さが厳しい通勤時や、長時間の出張移動、リラックスを求める内勤業務など、シーンに応じた活用を想定しています。
暑さと働き方改革が生んだ背景
なぜ今になって「ハーフパンツの勤務」が認められるようになったのでしょうか。その根底にあるのは、従来の「ノーネクタイ・ノージャケット」だけでは太刀打ちできないほどの猛烈な気温上昇です。
環境省が旗振り役となる“デコ活”(脱炭素社会を目指す新ライフスタイル推進運動)も、快適な服装への転換を促しています。オフィスの冷房設定温度を柔軟に調整しつつ、それぞれの働き方や職場環境に応じて「健康第一」の軽装を選ぶことが推奨される時代となりました。
もう一つの大きな変化は、コロナ禍以降に定着したオフィスカジュアル化とリモートワークの普及です。“ビジネス=スーツ”という固定観念が根強かった日本でも、実用性や快適性を重視する働き手が増えています。
リモート会議では上半身さえきちんとしていれば良いという意識も広まったため、下半身の服装に対する自由度が拡大。その流れが波及しているのです。
清潔感とジェンダー観の交錯
一方で、ネット上では「見たくない」「気持ち悪い」といった否定的な意見が絶えません。こうした拒否反応の背景には、好みや年齢に対する偏見(エイジハラスメント)だけでなく、日本社会独特の“職場での清潔感”や“他人の身体的境界線”に対する暗黙のルールが影響しています。
社会心理学の専門家は、「オフィスは本来、男性も女性も平等に働く空間。そこに普段隠されている部分──特に脚や体毛などが突然現れると、たとえ悪意はなくても、直感的に不快感や戸惑いを覚える人が多い」と指摘します。
脚は上半身よりも“プライベートな部位”とされるケースが多く、そうした部分の露出に抵抗を感じる文化が日本には根付いています。
また、“装いが与える印象”への敏感さも影響しています。長年「きちんとした見た目」で信頼を得てきた世代ほど、ショートパンツに象徴される“カジュアル化”に不信や違和感を抱きがちです。
服装自由化の中で守るべきマナーとは
ビジネス現場でのショートパンツは、“清潔感”と“場面に応じた着分け”が担保されて初めて、現代の新しいビジネスマナーとして成立します。
いきなり過度な露出を抑えるために、長めのソックスを合わせたり、少し長めのアンクル丈から挑戦したりする着こなしの工夫も有効です。
また、脚の露出が話題となる中、ムダ毛ケアや肌の保湿といった“グルーミング”への意識も格段に高まっています。パナソニックやP&Gなど大手メーカーが相次いで体毛ケア製品を打ち出し、若年層のみならず中高年層にも「身だしなみの一部」として浸透しつつあります。パナソニックの2025年調査では、10代から60代の男性の約7割が体毛ケアに抵抗を感じていないと回答しています。
このように、“大人のたしなみ”としてのハーフパンツ活用へと進化しているのが今のビジネスシーンです。
今後は、TPOに応じた着こなしや周囲への配慮が、ビジネスパーソンに求められる基準となるでしょう。新しいマナーを身につければ、「スーツ一辺倒」から脱却し、持続可能な働き方を後押しする有力な選択肢となるはずです。


