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2025

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    世界が進化させる「守り方」──最新の自然災害対策と日本へのヒント

    世界が進化させる「守り方」──最新の自然災害対策と日本へのヒント

    大雨や地震、突発的な自然災害が発生した際、自分や家族の身をどう守るか、具体的なイメージを持っていますか?

    世界では常識を覆すような新たな災害対策が続々と生まれています。

    本記事では、地下のシェルターから都市のインフラ、避難所運営の先進事例まで、最前線の自然災害対策を解説します。

    自然と共存する都市へ──スポンジシティ構想

    地球温暖化の進行により、世界中の都市で大雨や洪水が頻発しています。
    コンクリートやアスファルトに覆われた都市部では、雨水が地中に染み込まず、排水路や下水に一気に流れ込むことで、短時間での冠水や建物への浸水被害が多発しています。

    こうした「都市型水害」に対抗するために生まれたのが、「スポンジシティ」という考え方です。
    その名の通り、都市全体を“スポンジ”のような機能で設計し、雨水を吸収・保持できる仕組みです。
    必要に応じてゆっくりと排水・再利用することで、洪水を防ぐだけでなく水資源の有効活用まで実現することを目指しています。

    実例から学ぶスポンジシティ

    • デンマーク・コペンハーゲン
      2011年の大規模豪雨被害を受けて、「クラウドバースト管理計画」を策定。公園や広場を災害時には一時的な貯水施設へと変身させ、地下には大規模な排水トンネルも整備中です。たとえば、カレン・ブリクセン広場は普段は学生の憩いの場ですが、豪雨時には“巨大な水たまり”となり街を守ります。
    • 中国各都市
      2012年に北京を襲った洪水をきっかけに、政府主導で「スポンジシティ」政策を推進。湿地や屋上庭園、透水性舗装の拡充を進め、2030年までに都市地域の約80%をスポンジ化するという目標を掲げています。
    • アメリカ・ニューヨーク
      ハリケーン・サンディなどの被害を教訓に、都市部で1万2000以上の「レインガーデン」や「ブルーベルト」を整備。雨水を吸収する緑地帯や自然排水システムの拡充で、下水への負担を大幅に削減しています。

    自然の力と都市の融合が生むメリット

    • 干ばつ時の水資源確保
    • ヒートアイランド現象の緩和
    • 都市生態系の回復
    • 住民の憩いの場の創出
       

    「水を遠ざける」から「水と共生する」都市へ──これが今、世界の潮流です。

    海面上昇から国土を守る「サンド・モーター」とは

    今世紀末までに世界の海面が約1.8mも上昇するとしたら…?

    この危機に最前線で立ち向かっているのが、オランダです。
    オランダが開発した「サンド・モーター」は、人工的に大量の砂を海岸に投入し、波や風の力を借りて自然に沿岸を広げていくという独自の仕組みです。

    2011年、南西部の海岸に7億5600万立方フィート(約2200万立方メートル)もの砂を投入。長期的に波が砂を運び、少なくとも9.7kmにわたる砂丘の防波堤を形成していく構想です。

    この“自然と技術の融合”は、気候変動時代の新たな国土防衛モデルとして、世界各国から注目を集めています。

    地下に広がる“命の砦”──シェルターの多様化と進化

    「シェルター」と聞くと、映画に登場する地下の金属製扉や、分厚いコンクリートの要塞を思い浮かべる方もいるでしょう。
    実は、シェルターにもいくつかの“用途別バリエーション”が存在します。

    竜巻・ハリケーン対策の「ストームシェルター」

    アメリカの中西部や南部では、毎年のように竜巻やハリケーンが発生します。 ここで主流なのが「ストームシェルター」「トルネードシェルター」と呼ばれる地下型避難施設です。

    個人宅に埋設するタイプや、公共施設として利用される大型シェルターまで、多様な形態が存在します。

    日本と世界の「マルチハザード・シェルター」へ

    日本では火山シェルターや津波対応型シェルターも研究が進んでいます。

    気象災害・地震・津波・火山噴火など、複数のリスクへの備えとして「マルチハザードシェルター」の開発が期待されています。

    “避難所の質”が命を守る──イタリア・台湾の先進事例から

    災害時、命綱となるのが「避難所」です。しかし、避難所の環境次第で、被災者の命や健康に大きな違いが出ることをご存知でしょうか。

    スフィア基準とは?

    イタリアの避難所は、国とボランティアが連携して運営する仕組みが特徴です。
    避難所運営の国際基準「スフィア基準」を参考に、一人あたり最低3.5㎡の居住スペースや、20人に1基のトイレ、温かい食事の提供など、被災者の尊厳を守るための環境が徹底されています。

    特筆すべきは、専門訓練を受けたボランティアと、国が一体となって12時間以内に避難所の開設・運営を開始できる体制です。
    さらに、調理担当のボランティアにはシェフ経験者も多く、温かい食事が被災者の心身を支えます。

    台湾の“超速”避難所開設

    2024年4月の地震では、発災から1時間でSNSグループが立ち上がり、2時間でテント設置、3時間で被災者受け入れ、4時間で設備がほぼ完成という驚異的なスピードで避難所が整いました。

    これは、民間団体同士の“役割分担”と、寄付文化による財源確保、行政との日常的な連携が生んだ成果です。

    日本の課題と民間連携の可能性

    日本でも、熊本地震や能登半島地震での避難所運営において、「テント村」方式やトイレ・キッチンカーの導入など、民間団体と自治体の協働による環境改善が進んでいます。

    しかし、自治体ごとの対応に差が大きく、避難所環境の「標準化」や「迅速な資材・人材派遣体制」の構築が求められています。

    これからの「守り方」──あなたにできる備えは?

    ここまで世界の事例を見てきましたが、日本でも“自然に学ぶ都市設計”や“多層的な防災インフラ”の重要性が一層高まっています。

    • 地域の防災計画や避難所運営ガイドラインを確認する
    • 自治体や民間団体の取り組みに積極的に参加する
    • 自宅や職場の周囲にある避難所の場所を把握する
    • 災害時の行動計画を家族・職場で共有する

    まとめ

    • 都市が“水を吸う”スポンジシティや、自然の力を活用したサンド・モーターなど、世界では革新的な災害対策が進んでいます。
    • 地下シェルターや避難所運営の質向上も、被災者の命と尊厳を守るために欠かせません。
    • 日本でも、行政と民間の連携や国際基準の導入が課題解決のカギとなります。
       

    「守り方」は、日々進化しています。あなた自身の備えが、未来の安全を形づくる第一歩です。

    #防災#災害対策#自然災害#スポンジシティ#都市インフラ#グリーンインフラ#気候変動#気候変動対策#都市計画

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