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会員数260万人突破!ゴンチャの人気の秘訣──ブームを超えて「日常」へ
ビジョナリー編集部 2026/06/14
タピオカブームも落ち着いた中で、今もなお行列が絶えないティーカフェが台湾発の『ゴンチャ(Gong cha)』です。なぜこれほどまでに根強い支持を集め続けているのでしょうか?
ブームを日常に変えた核心
数年前のタピオカ旋風では街に新しいドリンク店が次々と誕生し、店先に長蛇の列ができていました。そして、ブームの後に多くのブランドが姿を消した現在、「新しいお茶の文化を体験できる、日常のサードプレイス」として存在感を放ち続けているのがゴンチャです。
コーヒーチェーンが市場を席巻していた日本において、「気軽に立ち寄れる、お茶の専門空間」という未開拓のジャンルを創り出したことが、その人気を支えています。
そして、圧倒的なカスタマイズ性も見逃せません。氷や甘さ、トッピングまで自分好みに細かく選べる仕組みは、「自分だけの一杯を作る体験」を生み出しました。その組み合わせは20万通り以上であり、こうした自由度は特にZ世代やアルファ世代にとって「自分らしさ」を表現できる場となっています。
また、絶妙な価格設定も見逃せません。500円台から700円台という手の届きやすい範囲で、放課後や休日、ちょっとした自分へのご褒美として利用できることが、若い世代を中心に定着しています。駅ビルや大型モールなど、日常生活の導線上に出店を重ねていることも、リピーターの増加を後押ししています。
大手コーヒーチェーンとの決定的な違い
多くの競合が淘汰される中で、なぜゴンチャだけが頭一つ抜きんでているのか。それは、大手コーヒーチェーンが満たせなかった「隙間(ニッチ)」を完全に手中に収めたからです。
既存のコーヒーチェーンは、当然ながら「コーヒー」が主軸です。しかし世の中には「コーヒーは苦くて飲めない」「カフェインが強すぎる」という層、特に10代から20代前半の若年層が一定数存在します。コーヒー以外を頼もうとするとフラペチーノなどの重いデザート系になりがちですが、ゴンチャは「すっきり飲めて、かつ満足感もある」という絶妙な受け皿となりました。若者にとってマクドナルドほど日常感が出すぎず、スタバほど背伸びしなくていい「500円台のちょうどいい贅沢」という独自のポジションを確立したのです。
さらに、ビジネスモデルの違いが勝敗を決定づけています。 多くのコーヒーチェーンが「席(空間)」を提供し、満席リスクを抱えるのに対し、ゴンチャは「持ち歩ける(テイクアウト)お茶のエンタメ体験」が基本です。「座れないから諦める」という機会損失がなく、限られた店舗面積でも高い回転率と坪効率を叩き出せる仕組みが、持続的な強みとなっています。
もちろん、基盤となる「お茶そのもの」への徹底したこだわりも圧倒的です。抽出後4時間以内のティーしか提供しないという品質管理を徹底し、お茶ごとに最適な湯温や抽出時間を厳格に守って作り置きは行いません。このこだわりの一杯が、SNSの“映え”だけに頼らないリピーターを着実に増やしているのです。
この他にも、火や油を使わない調理スタイルは、多様な立地への柔軟な出店を可能にし、商業施設やファッションフロアにも馴染みやすいブランドとなっています。
ハマる人のリアルな風景
「#ゴンチャカスタム」というハッシュタグのように、“飲む”だけの場所ではなく、SNS発の“自分だけのカスタム”をシェアして楽しむ文化が根付いています。
たとえば、ウーロンミルクティーにナタデココを合わせたり、甘さ控えめのストレートティーにアロエやタピオカを加えたりと、日々新しい組み合わせが生まれています。こうした「カスタム」はTikTokやInstagramで拡散され、“自分だけの一杯”を見つけに店舗へ足を運ぶきっかけとなっています。
また、利用シーンも多様化しています。友人同士で放課後に集まっておしゃべりを楽しむ場として、あるいは仕事や勉強の合間にちょっと一息つく“ご褒美”として、さまざまなライフスタイルに溶け込んでいるのです。最近では、甘さを抑えたストレートティーをオフィスに持ち込むビジネスパーソンも増え、10代・20代中心だった客層が、徐々に大人世代にも広がりを見せています。
さらに、アプリ会員の拡大や若年層向けの割引施策など、リピーターを生み出す仕組みも進化し続けています。2025年にはアプリ会員が260万人を突破し、22歳以下限定の「ENJOY U22割」も導入されるなど、次世代のファンづくりにも余念がありません。
進化する仕組みと、見えてきた次の課題
現状に甘んじることなく、グローバル規模で新たな進化を遂げようとしています。象徴的なのが「ゴンチャ2.0」と呼ばれる新しい店舗モデルです。ここでは、ドリンク調製の自動化マシン「Super Wu」の導入やセルフ注文キオスク(セルフ注文端末)の拡充が進められています。
この「Super Wu」は、ドリンク作りの工程を自動化することで、ピーク時の生産性を最大65%向上させました。注文から提供までのスピードが飛躍的に上がったことで、行列のストレスも解消されています。さらに、キオスクの導入によって注文の平均単価も上昇し、顧客自身が直感的にカスタマイズを楽しめるようになっています。
また、店内デザインの刷新やフードメニューの強化など、より多様なニーズに応える取り組みも加速しています。
しかし、順風満帆に見える一方で、2つの大きな課題も浮上しています。ひとつは市場の再飽和です。タピオカブームのような新鮮さが薄れ、アジアンティーブランドなど新たな競合も増えつつある中で、いかに“ワクワク感”を持続させるかが問われています。
もうひとつは、自動化とクラフト感のジレンマです。効率化を進める中で、従来の“手作り感”や温かみあるホスピタリティをどう維持するか。デジタルとアナログの最適なバランスが、今後の成長のカギを握っています。
まとめ
「お茶を楽しむ文化そのもの」を日常に根付かせた存在が「ゴンチャ」であり、これからは、自動化による効率とこだわり抜かれたクラフト感の両立が、持続的な成長のために必要な条件と言えるでしょう。
「日本の新しいお茶文化」を担うサードプレイス(第三の居場所)として、私たちの身近なインフラとなっていくでしょう。カスタマイズの楽しさ、上質なティー体験、そしてホスピタリティ。その全てが人気を支え続けているのです。


