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グループCを制した「変貌するブラジル」。堅守と爆発力の新たな“セレソン”の姿【FIFAワールドカップ2026】
サッカーW杯2026特集 | 受け継がれる歓喜、世界最高峰の戦いビジョナリー編集部 2026/06/29
2026年北中米ワールドカップ。グループCを無敗の勝ち点7(2勝1分け)で突破したブラジル代表。今大会のセレソンは、華やかさと同時に、これまでとは一線を画す「新しい強さ」を見せている。
堅守と個の爆発力──アンチェロッティがもたらした変化
「華麗なテクニックだけじゃ勝てない」そんな現実を突きつけられてきた近年。だが、今回チームを率いるカルロ・アンチェロッティ監督は、ただ派手な攻撃を追い求めるのではなく、「守備の安定」を徹底的に強化した。グループステージ3試合でわずか1失点。派手な攻撃の裏で、粘り強い守備ブロックと組織的なプレッシングが光る。
スコットランドとの試合では、相手のビルドアップに対して高い位置から圧力をかけ続け、わずかなミスを見逃さずゴールへと結びつけた。これまでの個人技頼みから、チーム全体で機能する堅守速攻型のサッカーへ。アンチェロッティ監督が欧州で培った戦術が、南米伝統の自由な攻撃力と見事に融合した。しかも、ただ守るだけでなく、ボール奪取から一気にゴールへ迫るショートカウンターの迫力は、現代サッカーの最先端を走っている。
ピッチ全体が連動し、ときに相手を飲み込むようなスピード感と、状況判断に優れた選手たちの動き。「強さと美しさを両立」させた“成熟したセレソン”への進化を感じさせている。
混戦グループCを駆け抜けた──試合ごとに高まる完成度
ブラジルは開幕戦でいきなり待ったをかけられた。モロッコとの初戦は1-1のドロー。相手の粘りと守備の固さに手を焼き、なかなか主導権を握れなかった。だが、ここからチームがギアを上げる。第2戦のハイチ戦では、攻守のバランスを保ちながら3-0で快勝。守備陣は相手の攻撃をほとんどシャットアウトし、中盤から前線への切り替えに見事に成功した。
そして最終節、スコットランド戦。開始早々から前線のプレスで相手を圧倒し、前半7分にはヴィニシウス・ジュニオールがゴールネットを揺らす。さらに前半アディショナルタイムには、ギマランイスのクロスに再びヴィニシウスがヘディングで合わせて2点目。後半も中盤のカゼミーロ、ギマランイスが高い位置でパスをつなぎ、最後はマテウス・クーニャが追加点。終わってみれば3-0、ほぼ完璧な内容だった。
歴史を塗り替える新エースと、カリスマの復活
今大会、間違いなく主役となったのがヴィニシウス・ジュニオールだ。グループリーグ全3試合でゴールを記録し、計4得点。開幕から3試合連続ゴールは、2002年日韓大会のロナウドとリバウド以来、24年ぶりの快挙となった。持ち味は、爆発的なスピードと一瞬で相手DFを置き去りにするドリブル。だが今大会では、ゴール前での冷静なフィニッシュや、味方との連携も光る。「個の力」が「チームの戦術」と見事に噛み合っている。
そして、もう一人の象徴がネイマールだ。長期離脱を経て、スコットランド戦の終盤にピッチへ戻ってきた背番号10。途中出場ながら、スタジアムの空気を一変させる存在感とオーラは健在だった。まだ本調子とは言い難いが、決勝トーナメントへ向けて「伝説の10番」が復活することは、ブラジルにとって計り知れないプラスだろう。
さらに中盤を支えるブルーノ・ギマランイスの貢献も見逃せない。彼は今大会だけでなく直近の代表戦でもゴールやアシストに絡み続けており、攻守に欠かせない存在へと成長した。スコットランド戦では、ギマランイスのパスからマテウス・クーニャがトドメのゴールを決める場面もあり、縁の下の力持ちたちがチームを支えている。
決勝トーナメントへ──王座奪還へのシナリオ
グループCを首位で抜けたブラジルの次なる戦いは、テキサス州ヒューストンでのラウンド32。相手はグループFの2位の日本。
この先のトーナメントで問われるのは「一発勝負」の強さだ。南米予選では思うように勝ち点を積み上げられず、5位通過と苦しんだが、本大会では見違えるような安定感と爆発力を手にしている。24年ぶりの王座奪還へ向けて、前回王者アルゼンチンや欧州の強豪たちをどう攻略するのか。今大会のセレソンは、守備の安定と攻撃の多様さという二面性を備えており、簡単には倒れない「タイトルにふさわしいチーム」へと変貌している。
黄金期再来の予感──決勝Tで問われる真価
守備の安定、個の才能、そして冷静な試合運び。どこを切り取っても死角が少ない。今大会のブラジル代表には、過去の「黄金期」を思わせる圧倒的な充実感がある。グループC首位という結果も、内容と数字の両面で納得のものだ。
だが、決勝トーナメントからは1戦ごとに緊張感が増す。ここからは一瞬の油断が命取りになる。エース・ヴィニシウスの得点王争いも、世界中のサッカーファンが注目している。ネイマールが完全復活を果たせば、攻撃の破壊力はさらに増すだろう。
「カナリア軍団」は、再び世界の頂点に立つのか。華やかなだけではない、“強くて美しい”ブラジルの新しい時代が、今まさに始まろうとしている。


