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75歳以上の運転技能検査が厳格化ーー踏み間違い対策や「一発不合格」になり得る新基準とは
ビジョナリー編集部 2026/09/07
「運転技能検査(実車試験)」について、2026年9月に警察庁の有識者検討会が厳格化の方針を打ち出しました。本記事では、厳格化の背景、具体的に変更される検査項目、そして受検者やその家族が知っておくべき課題を詳しく解説します。
合格率は10%以上低下の見込み
今回の取り組みにより、これまでの実車試験では合格できていた運転であっても、不合格になるケースが増加すると予測されています。
警察庁が実証試験を行ったところ、従来の合格率(約93%)と比較して、新基準での合格率は「81.6%」へと約12ポイント低下しました。
なぜ今、運転技能検査の「厳格化」が必要なのか
背景には、高齢ドライバーによる交通事故が絶えないという深刻な社会課題があります。
2022年5月の道路交通法改正により、過去3年間に特定の交通違反(信号無視や速度超過、一時不停止など16種類)がある75歳以上の運転者に対し、実車試験による技能確認が義務付けられました。この制度自体は一定の事故抑制効果を発揮してきましたが、事故の詳細を分析すると、従来の試験課題だけでは検知しきれない危険なパターンが存在することが浮き彫りになってきたのです。
代表的な事例が「ブレーキとアクセルの踏み間違い」です。ペダルの踏み間違えによる死亡・重傷事故の多くは75歳以上が占めており、特にバックや転回といった複数の操作を同時に行う場面で発生しやすい傾向があります。さらに、出会い頭の事故の原因として多い「一時停止無視」や「安全不確認」についても、従来の試験では不十分なケースが見られました。
事故を未然に防ぎ、道路上の安全を担保するためには、実際の死亡・重傷事故原因に直結する危険挙動をテストする基準へ更新することが不可欠だったと言えます。
これまでの検査と何が変わる?追加されるポイント
現行の試験と、導入が予定されている新基準の違いを整理します。制度の対象者自体は変わらず、「75歳以上で過去3年間に特定の違反歴がある方」となりますが、試験の評価基準は大きく様変わりします。
「方向変換」の追加
従来の指示速度走行や段差乗り上げなどに加え、新たに車庫入れ動作を含む「方向変換」が組み込まれます。車体を切り返しながら後方や側方に注意を払い、同時にアクセルとブレーキを正しく打ち分ける能力を測定します。ここで車体に接触したり脱輪したりした場合は、20点の減点対象となります。
交差点での「安全不確認」に対する減点
見通しの悪い交差点や一時停止線において、左右や前方の安全確認を怠った場合、新たに「10点減点」の対象となります。漫然とした運転を見逃さないための措置です。
「一時不停止」の減点倍増
交差点での一時停止義務を怠った際の減点が、20点から40点へと倍増されます。実車試験の合格ラインは70点以上ですので、40点の減点を受けた時点で、そのほかにミスがなくても不合格が確定します。
現場への影響と今後の課題:地域の「移動の足」をどう守るか
技能検査の厳格化は交通安全の向上につながる一方で、社会的な課題も懸念されています。
例えば、不合格者の増加に伴う「高齢者の移動手段喪失」です。都市部では電車やバスなどの公共交通機関が発達していますが、地方においては自動車が買い出しや通院などで必要なケースが少なくありません。運転免許を失うことがそのまま生活の困窮につながるおそれがあるため、免許を取り上げるだけでなく、移動を支えるセーフティーネットの構築が急務となっています。
また、受検を受け入れる指定自動車教習所の負担もあります。検査項目が増えることで1人あたりの検査時間が長くなり、予約が取りにくくなったり教習所の業務が圧迫されたりする懸念が示されています。
終わりに
免許更新を控えている75歳以上の人やその家族は、日頃の運転習慣を一度見直し、次の3点を意識することをお勧めします。
まず、一時停止標識がある場所では「必ず完全に止めて、左右を指差確認する」という基本動作の徹底。次に、バックや車庫入れを行う際は、慌てずにペダルの足の位置を確認する習慣をつけること。そして、不安を感じた場合は、サポートカー限定免許への乗り換えや、自主的な免許返納について話し合うことも重要な選択肢となります。
安全運転の基本に立ち返り、万全の準備を整えて新制度に備えていきましょう。


