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ピーク時から7割以下に?「こども110番の家」の減少から考える令和の新・防犯インフラ
ビジョナリー編集部 2026/06/17
いざという時、子どもが駆け込める場所として、地域の通学路で見かける「こども110番の家」。実は今、その数が大きく減っています。
今回は、その現状と背景、そして私たちがこれからできる新しい子どもの守り方について、最新の動向や具体例を交えながら解説していきます。
街から消える「110番の家」
かつて多くの通学路で見かけた「こども110番の家」のステッカーや旗。ピーク時には全国で200万か所近くあった登録拠点が、ここ10年ほどで7割以下に落ち込んでいます。警察庁のデータによれば、2022年度時点での登録数は約147万か所。平成20年度末の約210万か所と比べると、減少幅の大きさが際立ちます。
背景にある「3つの変化」
激減の背景には、時代の変化に伴ういくつかの理由があります。
第一に、協力者の高齢化と個人宅や商店の減少です。かつて町の酒屋や米屋など、地域に密着した小規模店舗が通学路沿いに点在していましたが、今ではそうしたお店自体が姿を消しています。また、登録していた住宅の住人も高齢化が進み、いざという時に子どもを迎えるのは体力的に難しいと辞退する例が後を絶ちません。
第二に、共働き世帯の増加が大きな要因です。昼間はほとんどの大人が職場に出ており、平日は家が無人という家庭が増加したため、昼間に人がいないことで登録を解除せざるを得ないと悩む声も多く聞かれます。
第三に、プライバシーや防犯意識の高まりも見逃せません。自宅が駆け込み先と明示されることで、かえって犯罪者に狙われるのではないかと不安を感じる人が増えています。また、見ず知らずの子どもが突然敷地内に入ってくること自体に心理的なハードルを感じる人も多く、登録をためらう理由になっています。
110番の家が減る影響とは
「目に見える駆け込み先」が減ることで、もしもの時どうすればいいのかと不安に感じる保護者や子どもは少なくありません。
確かに、以前よりも通学路で黄色い旗やステッカーを見つける機会は減りました。子どもたちにとっても、あそこに行けば大人が助けてくれるという安心感が薄れてしまうリスクがあります。多くの子どもや保護者が、誰かが見守っていてくれるという感覚を持つことで日々の通学が安心できるものになりますが、その見守りの目が減ることで、無意識のうちに不安が増してしまうのです。
また、犯罪抑止力という観点からも懸念が広がっています。地域に防犯意識が高いというメッセージが外部に発信されることで、不審者にこの街は目が行き届いていると思わせる効果がありました。しかし、そうしたシンボルが減少することで、犯罪者がこの地域は無防備だと感じやすくなるのではないかという声も上がっています。
子どもが犯罪に巻き込まれる事例は、放課後の公園や自宅周辺など、さまざまな場面で起きています。こどもだけになる瞬間にリスクが高まるという指摘もあり、地域全体での見守り体制が求められます。
「駆け込む場所」から「見守る技術」へ
一方で、時代の変化に合わせて新しい防犯インフラや見守りの仕組みが生まれています。
たとえば、24時間営業のコンビニエンスストアやガソリンスタンドが、新たな駆け込み先として注目されています。こうした店舗は人通りも多く、防犯カメラやスタッフの目も行き届きやすいことから、子どもたちにとっても安心して助けを求められる環境が整いつつあります。自治体や警察と連携し、ポスターやステッカーを貼って協力体制を強化する動きも広がっています。
また、テクノロジーの活用も進んでいます。子ども用GPS端末やキッズケータイが普及し、万が一の際にはリアルタイムで位置情報を把握できるようになりました。防犯ブザーも手軽に持ち歩ける時代となり、自分で助けを求める力を身につけることができるようになっています。
さらに、移動しながら地域を見守る新たな役割も登場しています。郵便配達の車両や宅配業者のトラック、地域を巡回するパトロールカーなどがこれに当たります。固定された拠点だけでなく、街全体が移動する見守りのネットワークとして機能し始めているのです。
親と地域ができる「新しい守り方」
これからは「自分たちで安全を考える時代」へと変わりつつあります。
まず大切なのは、親子でどこに逃げれば安全かを日頃から確認しておくことです。通学路や普段よく利用する道だけでなく、近所のコンビニエンスストアや自動販売機のある明るい場所、人が集まる場所など、具体的な避難先を一緒に歩いて確認しておきましょう。
また、地域のつながりを活用することも重要です。登下校の時間帯に合わせて、散歩や買い物をすることで、自然な形で子どもたちを見守ることができます。これは「ながら見守り」と呼ばれるスタイルで、負担が少なく気軽に参加できるのが魅力です。
これからの防犯には、デジタルとアナログの両方を組み合わせることが欠かせません。GPS端末や見守りアプリを活用しつつ、地域の目や声かけ運動も続けていくことで、多層的な安全ネットワークが生まれます。日常の中で気になることがあれば声をかける、困っている様子があればすぐに対応するといった小さな行動が、子どもたちの大きな安心につながります。
最後に、保護者や地域の大人が、いざという時子どもはどこに助けを求めればいいのかをしっかり伝えておくことが何よりも大切です。制度に頼るだけでなく、自分たちの手で地域の安全を守る意識こそが、これからの時代に求められる新しい見守り方なのです。
まとめ
「こども110番の家」は減少傾向にありますが、安心して子どもたちが過ごせる社会を作るために、私たち一人ひとりができることは数多くあります。
新しい技術や地域の工夫を活かしつつ、子どもたちのもしもの時を支える温かなまなざしを、これからも絶やさないようにしたいものです。


