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世界では通用しない?日本だけが信号を「青」と呼ぶ不思議
ビジョナリー編集部 2026/05/11
「青信号です、渡りましょう」。子供の頃から聞き慣れたこの言葉。でも、ふと信号機を見上げて「これ、どう見ても緑色だよね?」と不思議に思ったことはありませんか? 世界の常識では「グリーンシグナル」なのに、なぜ日本では頑なに「青」と呼び続けるのでしょうか。そこには、日本語が持つ不思議な歴史と、意外なメディアの影響が隠されていました。
日本語における「青」と「緑」の関係
実は日本には「赤・白・青・黒」の4色しか基本語がなかった時代がありました。今でこそ「緑」という言葉は日常的に使われていますが、昔は緑の草や葉も「青」と呼ばれていました。その名残は、現代の言葉遣いにも残っています。
例えば、春の新鮮な葉を「青葉」と言ったり、採れたての小松菜などを「青菜」と呼ぶのはまさにその証拠です。果物でも、熟す前のりんごを「青りんご」と表現します。
このような歴史的背景が、「緑色の信号」を自然に「青信号」と呼ぶ土壌を作ってきました。
導入当初は「緑」だった
現代の日本では、進行を示す色は「青」と表記されています。しかし、初めからそうだったわけではありません。最初の信号機が日本に登場した1930年、警視庁が発表した告示では進行の合図は「緑色信号」と明記されています。つまり、公式な文書や法令上では、最初はきちんと「緑」とされていたわけです。
このころは、意味や使い方が日本中に周知されていなかったため、警察官が交差点に立ち、色と意味の関係を丁寧に伝えていたという記録も残っています。
なぜ「青信号」と呼ぶようになったのか
まず、大きなきっかけとなったのは新聞や雑誌などメディアの影響です。多くの報道機関が「青信号」と表記したため、この呼び方が社会に広がりました。
やがて、1947年には法令も時代の流れに合わせて改正され、正式に「青色の灯火」と表現されるようになりました。
その根本にはやはり日本語の色彩感覚があると考えられます。青は、赤や黄と並ぶ三原色のひとつであり、色の並びとして「赤・黄・青」とした方が語呂が良いという説もあります。
国際基準との違いと日本独自の工夫
世界に目を向けると、信号機の色の呼称は、日本とは大きく異なります。国際照明委員会(CIE)という組織が「赤・黄・緑」と定めており、ほとんどの国では「グリーンシグナル」と呼ばれています。海外で「ブルーシグナル」と言っても、まず通じないでしょう。
この国際基準に合わせ、日本も緑色のライトを使っていますが、特筆すべきはその色合いです。青みが強い緑色が採用されており、海外製と比べると、やや青っぽく見える工夫が施されています。これには、日本人の色彩感覚や「青信号」という呼び名に馴染みやすくする意図が込められているのです。
一方で、この呼称の違いは、外国人観光客にとっては戸惑いの種となります。特に初めて日本を訪れる人々は、「グリーン」と呼ばれるはずのライトが「青」とされていることに驚くことが多いようです。レンタカー会社や観光案内所では、日本独自の交通ルールとあわせて色の説明も欠かせません。
鉄道や航空の信号
鉄道の場合、法律や技術基準では「緑色灯」と明記されています。道路と異なり、青・緑の呼称が混同されることはありません。
一方、航空分野では、滑走路や誘導路、着陸帯など、場所によって青色灯と緑色灯が使い分けられています。例えば、誘導路の中心線には緑色灯、両端には青色灯が設置されていて、パイロットはこれらの色を頼りに安全な航行を行います。
まとめ
世界の多くの国で「緑」と呼ばれている中、日本が「青」と呼び続けていることは、言語や文化が社会のルールや習慣にどれほど深く影響を及ぼすかを象徴する現象です。
今後、日本を訪れる外国人が増える中で、このユニークな呼称をどのように説明し、国際的な基準とどうすり合わせていくのかが、交通安全の新しい課題となるでしょう。


