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インプレゾンビ急増中!X(旧Twitter)で広がるスパム投稿の実態と対策
ビジョナリー編集部 2025/12/03
近年、SNS、とくにXを中心に急増している“インプレゾンビ”。正体不明のアカウントが、無意味な投稿やコピペを繰り返す現象は、今や多くのユーザーの悩みのタネとなっています。
そもそも「インプレゾンビ」とは何なのか?なぜここまで増えてしまったのか?そして、どうすれば被害を防げるのか。本記事では、インプレゾンビの最新事情と対策を解説します。
インプレゾンビとは?
まず、「インプレゾンビ」とはどのような存在なのでしょうか。
端的に言えば、X(旧Twitter)などSNS上で、インプレッション(表示回数)を稼ぐことだけを目的に、無関係なリプライや投稿を大量に繰り返すアカウントや行動を指します。
中身のない投稿を、ただひたすら増やしてインプレッション稼ぎに徹する様子が“ゾンビのようだ”と揶揄され、俗称として広まりました。
具体的なインプレゾンビの特徴
- 投稿内容や流れに無関係な一言リプ(「すごい!」「いいね!」など)
- 絵文字や外国語だけの返信
- 他のユーザーのリプライや文章をコピペして投稿
- アカウント自体もフォロワーが少なく、作成直後が目立つ
- AIツールや自動投稿Botによる大量生産
このような投稿が、Xのトレンドや大規模ニュースのリプ欄などに集中し、「本当に知りたい情報が見つからない」という不便を生み出しています。
なぜインプレゾンビは増殖したのか?
「なぜ、そこまでして意味のない投稿を繰り返すのか?」
実は、その根底にはSNSの“収益化プログラム”の存在があります。
Xの「広告収益分配プログラム」とは
2023年、Xが導入した「広告収益分配プログラム」は、有料サービス「X Premium」など一定条件を満たすユーザーに、自分の投稿やリプライのインプレッション数に応じて広告収入の一部が分配されるという仕組みです。
この制度が始まると、「できるだけ多く表示されれば、それだけ稼げる」と考えるユーザーが急増。結果、質より“数字”を追い求め、意味のないリプライやコピペ投稿を量産するインプレゾンビが一気に増殖しました。
収益化の現実
「インプレッションさえ稼げば楽してもうかるのでは?」と期待する人もいますが、実際はそう甘くありません。それでもなぜインプレゾンビは増え続けるのでしょうか。
インプレゾンビ現象、さらに拡大させた3つの要因
1. 生成AI・自動投稿ツールの進化
AIによる自然言語生成や自動投稿ツールの普及によって、これまで人力でしかできなかった大量リプライやコピペ投稿が、ほぼ一瞬で作成できるようになりました。アラビア語や他国語のテンプレートを自動生成し、リプ欄に送り込むといった新手法も見られます。
2. 国際的な“収益格差”とSNS経済
パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリアなど、物価や賃金の低い地域では、数ドルのSNS収益でも相対的に大きな価値を持ちます。そのため、海外ユーザーがアラビア語・ヒンディー語のリプやコピペ投稿を大量に行い、日本語圏のタイムラインにも流入するケースが増えています。
3. SNS文化の変化と“ミーム化”
また、インプレゾンビ的な投稿が「ネタ」「大喜利」「名言ポエム」として一部のユーザーに面白がられ、便乗投稿が生まれるという側面もあります。こうした“ミーム化”が拡散力をさらに高め、SNS特有のノリや文化として定着しつつあります。
実際の被害と社会的な課題
インプレゾンビがもたらす主な影響
インプレゾンビが増えることで、タイムラインやリプ欄が無意味な投稿で埋まり、必要な情報に辿り着きにくくなります。
災害時や重要ニュースが流れる場面では、救助要請や有益な情報が埋もれてしまい、混乱や誤情報拡散につながる危険性も指摘されています。公式アカウントやブランドの投稿が荒らされることで企業イメージが損なわれるほか、データ分析や広告効果の測定にもノイズが混入し、正確な戦略立案が難しくなるという問題もあります。
たとえば――能登半島地震のときに何が起きたか
2024年の能登半島地震では、「救助要請」や「避難情報」の投稿に対し、アラビア語や絵文字だけの意味不明なリプライが大量に押し寄せたことで、肝心の情報が埋もれ、現場に混乱を生んだと報告されています。
インプレゾンビの主な手法
代表的な“インプレゾンビ構文”やパターン
典型的なのは、「いいね!」「なるほど」といった短文だけのリプライや、アラビア語・ヒンディー語・英語によるコピペ文章、絵文字だけの投稿です。また、他ユーザーの返信・ポエム・名言をそのままコピーしたもの、トレンドハッシュタグの乱用、生成AIによる自動生成リプライなどもよく見られます。
いずれも共通して、「文脈と関係がない」「大量に繰り返される」「見覚えのあるテンプレート」という特徴を持っています。
インプレゾンビへの対策
「自分のアカウントを守りたい」「SNS利用のストレスを減らしたい」という方のために、今日から実践できる対策を紹介します。
1. ブロック&ミュート機能を最大活用
問題のあるアカウントはブロックすれば完全に遮断でき、以降その投稿は目に入らなくなります。
一方で、ミュートは相手に知られることなく、特定のアカウントやキーワードをタイムライン・通知から見えなくする方法です。アラビア語や迷惑ワードをミュートに登録しておくと、リプ欄に紛れ込むスパムを自動でフィルタリングできます。
2. スパム報告・通報を積極的に
明らかなスパムやインプレゾンビ的な投稿を見つけたときは「スパム報告」「不審なアカウント通報」を行うことで、凍結や制限措置に繋がります。複数の報告が集まるほど運営の対応は早くなります。
3. 返信・コメント欄の制限
返信できるユーザーをフォロワー限定にしたり、「@付きのみ」に絞ったりすることで、不要なリプライの流入を抑えることができます。バズり始めた投稿については、初動だけコメント欄を一時封鎖するのも有効です。
4. 検索コマンドや表示設定を工夫
検索時に「lang:ja」を指定して日本語だけを抽出したり、キーワードや位置情報で検索範囲を絞ることで、外国語スパムリプを避けやすくなります。
5. 日々のリスク管理も忘れずに
アカウントを非公開設定にする、フォロー管理や二段階認証でセキュリティを高める、不審なDM・外部リンクを開かないなど、基本的な防御策も継続的に行うことが重要です。
SNS運営側の最新対策と今後の展望 X(旧Twitter)も、インプレゾンビ対策を徐々に強化しています。収益分配プログラムの条件を見直し、リプライ数だけで稼げない仕組みにしたり、AIや自動検知ツールを用いてスパム構文を排除する取り組みが進んでいます。また、メール認証・電話番号認証の強化や、大量アカウント作成の制限、利用規約違反者への即時凍結なども導入されています。
特に2024年11月以降は、プレミアムユーザーからのフォロー数やエンゲージメントの比重が増し、単純に数字だけ追い求めるインプレゾンビ的活動は収益面でも不利になってきているといわれています。
結論
インプレゾンビの背景には、収益化プログラムやAI自動化の進化、国際的な経済格差、そしてSNS文化の変化が絡み合っています。被害は情報の信頼性低下やユーザー体験の悪化、ブランドや社会的価値そのものの毀損にもつながりかねません。
SNSは本来、「自由で豊かなつながり」を生み出す場。
インプレゾンビの“ノイズ”に振り回されず、あなたらしい発信と交流を守るために、ミュート設定や返信制限など、簡単にできる対策だけでも大きな違いがあります。 このように、今日からできる小さな工夫を是非始めてみてください。


