2026年ハロウィン仮装トレンド予想!人気キャラ...
SHARE
箱根駅伝「5区」の系譜:圧倒的なスピードで山を駆け上がり「山の神」となった選手たち
ビジョナリー編集部 2026/11/02
正月の風物詩として、日本中が熱狂する箱根駅伝。その往路のドラマを劇的に、そして残酷なまでに演出するのが、標高差約860mを一気に駆け上がる「5区・山登り」です。幾多のランナーの運命を飲み込み、歴史に残る数々の伝説を生み出してきました。そして、この急勾配の苦しさを乗り越え、驚異的な走りでチームを勝利へと導いた者だけが許されるのが「山の神」という称号です。
なぜ5区はこれほどまでに過酷なのか、そして歴代の山の神はどのような奇跡を起こして山を制覇したのか、その歴史を紐解いていきましょう。
5区が圧倒的に過酷である理由
小田原中継所から芦ノ湖駐車場に至るまでの区間であり、最高地点まで一気に駆け上がる過酷な標高差約860mのコースです。平地とは全く異なる登り坂の連続によってランナーの肉体を極限まで追い詰め、気温低下による低体温症のリスクや、残り数キロで襲いかかる精神的プレッシャーが選手を苦しめます。
レースの公平性や安全性を高めるため、2017年の大会(第93回)からは距離の短縮(23.4kmから20.8kmへ変更)が行われましたが、それでもなお、この区間が「勝敗を分ける区間」であり続ける理由は、大きな差を覆し得る走りにあります。
語り継がれる伝説:「山の神」と呼ばれた3人の男たち
過酷な山を踏破するだけでなく、常識を覆す圧倒的なタイムとごぼう抜きで注目を集めたのが、代々語り継がれる3人の「山の神」です。
初代「山の神」と呼ばれた順天堂大学の今井正人選手は、3年連続で区間賞を獲得し、3年間で実に合計20人ものランナーをごぼう抜きにする快挙を成し遂げました。特に2年生で迎えた第81回大会では、驚異的なペースで11人をごぼう抜きし、区間記録を大きく塗り替える1時間9分12秒をマークしました。「いま、山の神、ここに降臨。その名は今井正人!」という名実況も生まれ、それまで「順位を何とか維持する区間」だった5区を、「自ら攻めて主導権を握る攻略区間」へと変えた彼の存在こそが伝説の始まりでした。
続く二代目「山の神」として圧倒的なインパクトを残したのが、東洋大学の柏原竜二選手です。1年生で出場した第85回大会では、首位の早稲田大学から4分58秒差という絶望的な差でたすきを受け取りました。しかし、そこから凄まじい爆発力で前を行く8人のランナーを次々と抜き去り、トップで芦ノ湖のゴールに飛び込んで東洋大学を初の往路優勝および総合優勝へと導きました。4年連続で区間賞を譲らず、第88回大会(2012年)では1時間16分39秒の新記録を叩き出すなど、大差をひっくり返すその劇的な走りによって「山の神」という称号を世間に定着させました。
そして三代目「山の神」となったのが、青山学院大学の神野大地選手です。第91回大会において、小柄な体格でありながら驚異的なピッチ走法を武器に山を駆け上がり、1時間16分15秒の区間新記録を樹立しました。圧倒的なスピードで2位以下を大きく引き離して青山学院大学を初の往路・総合優勝、そして大会史上初の10時間50分切りへと牽引し、山登りの新たな境界線を切り拓きました。
新たな伝説の誕生――「シン・山の神」黒田朝日選手
そして、記憶に新しい2026年の第102回大会では、衝撃のドラマが巻き起こりました。首位と3分24秒差の5位という厳しい状況でたすきを受け取った青山学院大学の黒田朝日選手が、圧巻の激走を見せたのです。
前年に同じ大学である若林宏樹選手がマークした区間記録を1分55秒も縮める、1時間7分16秒の驚異的な区間新記録を樹立しました。主要ポイントで驚異的なハイペースを維持し、ライバルたちを次々と置き去りにしたその走りは、データ分析でも頭一つ抜けた圧倒的な数値を記録しています。ゴール後に発した「僕が『シン・山の神』です」という言葉の通り、新時代のエースとして歴史にその名を刻みました。
終わりに:時代を超えて進化し続ける山の魅力
距離の短縮やトレーニング手法、用具の進化が進んだ現在において、箱根駅伝の5区が勝敗を握る最重要区間である事実に変わりはありません。歴代の神々から受け継がれてきた挑戦の魂は、これからも正月の芦ノ湖畔で、人々の心を強く揺さぶり続けるでしょう。


