ユニークな入社式——新たな一歩を特別に彩る企業の...
SHARE
外食で再燃する“ハワイアン旋風”──日本に広がる南国体験
ビジョナリー編集部 2026/04/06
パンケーキやガーリックシュリンプ、コナコーヒーの香り。どこか非日常を感じさせる店内の装飾。かつてブームを巻き起こした“ハワイアングルメ”が、再び私たちの日常に戻ってきています。
南国気分は“国内で”味わう時代へ
少し前までは、旅行と言えばハワイが人気でした。しかし2020年代に入り、円安や物価の高騰、航空運賃の上昇などが重なり、旅行費用は何倍にも高騰。「夢のまた夢」と感じる人が増えてきました。例えば、家族4人での旅行となると150万円を超えることも珍しくなく、場合によっては200万円近くに達するケースもあります。
一方で、LCC(格安航空会社)で台湾や韓国に行く人が増え、さらには国内旅行の満足度も右肩上がりです。こうした背景から、外食での南国体験が脚光を浴びるようになりました。
外食産業の“ハワイアンブーム”再来
2010年代初頭、「Eggs 'n Things」の日本上陸を皮切りに、パンケーキカフェが続々とオープンし、ハワイアンブームが巻き起こりました。その後、カフェ・カイラやシナモンズ、アイランドヴィンテージコーヒーなど、現地の人気店が日本展開を進め、外食業界にハワイアングルメの文化が根づきました。
いったん落ち着きをみせていたものの、2024年以降、再び勢いを増しています。 ホノルルコーヒーの再上陸や、人気ベーカリー「KING'S HAWAIIAN」のポップアップ展開、コナズ珈琲の新業態「KNOWS COFFEE」の始動など、外資・国内勢ともに新規事業が目立ちます。
この背景には、旅行のハードルが上がったことに加えて以下の要因が重なっています。まず、一度撤退した有名ブランドが、既存の知名度を活かしパートナーと再進出する「再上陸モデル」が定着したこと。そして、ショッピングモールや商業施設が“キラーコンテンツ”としてハワイ系店舗を戦略的に誘致し始めたことです。
“パンケーキ”から“ライフスタイル”への進化
最初のブームでは、やや派手な装飾のカフェでパンケーキを食べることが象徴的でした。しかし今は、より洗練された空間で、コナコーヒーやアサイーボウル、ガーリックシュリンプ、ポキボウルなど、さまざまなハワイアンメニューが楽しめるようになっています。
例えば、ホノルルコーヒーはスイーツブランド「Banan」とのコラボ展開を計画しており、コナズ珈琲は新たなカフェバー「goodNess(グッドネス)」で多様な南国体験を提供しようとしています。
店舗だけでなく、体験もアップデート
最近のハワイアンレストランやカフェでは、食事や飲み物だけでなく“体験そのもの”を重視する傾向が強まっています。たとえば、テーブルで自分好みのトッピングを選ぶポキボウルや、目の前で仕上げるアサイーボウルなど、ライブ感あるメニューが人気です。
また、南国の花や海を模したインテリア、リゾート感のあるBGM、スタッフのフレンドリーな接客など、五感を通じて“ハワイの空気”を演出しています。
ショッピングモール内の大型店舗では、子ども向けのワークショップや、現地アーティストによるライブ演奏を開催する店も増えています。
商業施設の戦略
ショッピングモールや駅ナカ施設が、ハワイ系レストランやカフェを“集客の目玉”として積極的に導入する動きが目立ちます。世代や性別を問わず幅広い層に訴求でき、滞在時間も長くなる傾向があるため、集客装置として非常に魅力的です。たとえば、期間限定のハワイアンベーカリーやポップアップストアなども、イベント型の集客施策として効果が出ています。
また、近年は“映え”を意識した店舗設計や、SNSで拡散されやすいフォトスポットの設置など、若年層を意識したマーケティングも進化しています。こうした商業施設の戦略が、さらにブームを後押ししているといえるでしょう。
日本のカルチャーが現地でも注目
興味深いのは、いまハワイ現地でも“日本発”のカルチャーやグルメが注目されていることです。
例えば、手巻き寿司やおむすびの“プレミアム化”が進み、米や具材にこだわる専門店が人気を博しています。また、抹茶やほうじ茶を使ったドリンクは、現地の若者や観光客の“ヘルシー志向”にマッチし、南国フルーツと組み合わせた新感覚メニューも登場しています。
メイドインジャパンの文房具や、日焼けキティちゃんなどのキャラクター雑貨も、ローカルのファッションアイコンとして浸透しています。
このような現象は、「アイランド・ジャパニーズ」とも呼ばれ、現地の食文化やライフスタイルと日本の技術、感性が融合した新しいトレンドを生み出しています。
これからのハワイアン外食の可能性
今後のトレンドは“体験”や“ライフスタイル”の提案にさらにシフトしていくと考えられます。ハワイの食文化やリラックスした空気感を、日常の中で自然に楽しめる仕掛けが広がり、外食の選択肢の一つとして定着していくでしょう。
忙しい日々の中で、ふと立ち寄ったカフェで景色や味を体験する時間が、これからの日本の外食文化をより豊かにしていくことでしょう。
まとめ
旅行に行かずとも、外食を通じて南国の空気や食文化、心地よい時間を気軽に楽しめる環境が整ってきています。パンケーキやアサイーボウルに始まり、今や“ライフスタイル”そのものを提案するハワイアン外食。そこには、“遠くへ行くことだけが非日常ではない”という、新しい価値観が広がっています。


