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賃貸オーナー必見!家賃滞納が発生した時の正しい対処法とNG行動
ビジョナリー編集部 2025/11/27
家賃滞納は、賃貸経営の収益を直撃する「最も厄介なリスク」のひとつです。しかも、その多くは“初動を誤ったこと”が原因で、気づかぬうちに問題が深刻化していきます。
本記事では、最初の1通目から相手の態度を変える連絡の仕方や、後々のトラブルを防ぐためにどのような文書を証拠として残すべきか、さらに絶対に踏み越えてはいけない違法行為とは何かまで、実務に基づいて丁寧に解説します。
そして最後に、実際の管理会社やプロのオーナーが採用している“未然に防ぐための工夫”についても触れ、家賃滞納リスクを最小限に抑えるための考え方をお伝えします。
1. 家賃滞納が発生!まずやるべき初動対応
<STEP1>「支払い忘れ?」まずは穏やかな連絡から
家賃滞納の約半数は、単なる“うっかりミス”や一時的な事情によるものです。
支払い期日を過ぎた時点で、まずは電話やメール、SMSなどでやんわりと入居者に連絡し、状況を確認しましょう。
支払いを忘れていた場合、ここで速やかに対応してもらえることが多いです。
<STEP2>書面での督促状送付で“本気度”を伝える
電話やメールでも連絡がつかない、あるいは“今月は厳しいので少し待ってほしい”などの回答があった場合は、書面で督促状を郵送しましょう。
- 督促状には支払い期日と「入金がない場合は連帯保証人へ連絡する」といった今後の対応も明記するのが有効です。
- 送付方法は簡易書留や配達記録付き郵便にすると、記録が残り後々のトラブル防止になります。
1週間~10日程度は様子を見て、入金がなければ次のステップへ進みましょう。
<STEP3>内容証明郵便で正式な催告
再三の連絡や督促状にも反応がない場合、内容証明郵便で催告書を送付します。
これは「いつ・どんな内容で督促したか」を客観的に証拠化できる方法で、後の法的措置にも備えた重要な一手です。
- 内容証明郵便には「支払わなければ契約解除や立ち退きもあり得る」旨を明記します。
- 期日は到達後1週間~10日程度を目安に設定しましょう。
<STEP4>連帯保証人・家賃保証会社へ連絡
入居時に連帯保証人や家賃保証会社が設定されている場合、この段階(内容証明郵便で正式な催促を送付したタイミング)で連絡します。
- 連帯保証人は、入居者本人と同等の支払い義務を負う存在です。
- 家賃保証会社加入の場合は、保証会社がオーナーに家賃を立て替え、その後入居者に請求します。
保証会社が間に入ると、督促や回収が“プロの手”となり、心理的なプレッシャーも強まります。
<STEP5>任意での退去交渉(裁判前の最終手段)
それでも解決しない場合、「滞納分の家賃支払いを免除する代わりに退去してもらう」など、任意の退去交渉を行う場合があります。
- 早期解決と次の入居者確保を優先するなら、この選択肢も有効です。
- ただし、「滞納しても退去すればいいや」と安易に考える入居者も出てくるため、慎重な判断が必要です。
<STEP6>法的措置(最終手段)
最後は、法的手続きによる解決です。手続きごとに難易度や費用・期間が異なります。
支払督促
- 簡易裁判所から督促状を送ってもらう手続き。
- 比較的安価・手軽ですが、相手が異議を唱えると通常訴訟に移行します。
少額訴訟
- 60万円以下の請求で利用可能、1回の審理で判決が出るスピード解決型。
- ただし、支払い能力がない場合は強制執行しても回収できないリスクあり。
明け渡し訴訟
- 家賃回収に加え、強制退去も求める場合の民事訴訟。
- 判決まで半年以上かかることもあり、費用も数十万円単位です。
- 訴訟に勝っても、退去しない場合は強制執行(執行官立会いでの強制退去)となります。
2. 絶対にやってはいけないNG行動
家賃滞納は感情的になりやすいトラブルですが、対応を誤るとオーナー・管理会社側も違法行為になりかねません。
特に以下の行動は絶対に避けてください。
深夜・早朝の連絡や訪問(20時~翌7時はNG)
- 社会通念上不適切な時間帯の督促は、法律違反とみなされる可能性大です。
同日内に何度も連絡
- 執拗な連絡や脅迫的な言動もNG。心理的圧力になり、損害賠償請求されるケースも。
玄関やポストへの張り紙
- 周囲に滞納の事実が分かる形での督促は禁止されています。
連帯保証人以外への督促
- 家族や勤務先、学校などに連絡することは、プライバシー侵害にあたります。
鍵の交換や無断入室・荷物の処分
- 「自力救済」の原則違反。住居侵入罪、器物損壊罪に問われるリスクあり。
管理会社を飛び越えての直接交渉
- 対応窓口が複数化するとトラブルの元です。必ず管理会社を通しましょう。
NG行動のまとめ
感情的な対応や“力づく”での解決は、かえって自分の立場を不利にします。「法に則った冷静な対応」が最善の道です。
3. 家賃滞納を未然に防ぐための4つの工夫
① 入居審査の徹底
- 書類や電話だけでなく、面談やビデオ通話で入居希望者の人柄・支払い能力を見極めます。
- 勤続年数や収入証明、預金残高もチェックできるとベター。
② 連帯保証人・家賃保証会社の活用
- 連帯保証人は、入居者が支払えない場合の“最後の砦”。
- 親族がいない場合や確保できない場合は、家賃保証会社の利用を条件にしましょう。
③ 家賃の自動引き落とし・カード支払い
- うっかりミスや入金忘れを防ぐには、銀行の自動引き落としやカード決済が効果的です。
- 支払い忘れが原因の滞納が激減します。
④ 支払い日の入金確認と即時督促
- 支払い日やその翌日は必ず入金確認を。
- 1日でも遅れがあれば、即時に連絡をすることで「厳しく管理されている」という認識を持たせ、滞納抑止につながります。
4. 入居者側のリスク
信用情報に傷がつく
- 60日以上の滞納でブラックリスト入り。クレジットカードやローン審査、今後の賃貸物件入居にも大きな影響が出ます。
延滞損害金が高額
- 契約書記載がなくても、法律上5~6%の損害金が発生します。
家賃保証会社の取り立ては“本気”
- 個人間よりも厳しい督促が続き、精神的ストレスも増大。
最終的に訴訟や強制退去、自己破産のリスクも
- 物件明け渡し訴訟で敗訴すれば、最終的には財産差し押さえ、強制退去、破産手続きへと発展することも。
5. まとめ
家賃滞納は、賃貸経営者・管理会社の誰もが直面しうるリスクです。
「早めの連絡」「証拠を残す督促」「NG行動を避ける」「管理会社や法律の専門家と連携する」
この4つが、円滑な解決への近道です。
また、入居者審査や保証会社の利用、支払い方法の工夫など“未然防止”にも力を入れましょう。
家賃滞納トラブルが発生しても、慌てず、正しい手順で冷静に対応できる知識を持つことが、健全な賃貸経営の第一歩です。


