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髙木美帆に国民栄誉賞を授与――日本女子最多10メダルの軌跡とは
ビジョナリー編集部 2026/08/06
スピードスケート女子の金メダリストである髙木美帆に国民栄誉賞が授与されることが正式に発表されました。オリンピック4大会出場、夏冬通じて日本女子最多となる通算10個のメダル獲得、そして1500mにおける世界記録の保持。数々の記録を打ち立てた彼女ですが、その道筋は決して順風満帆なものばかりではありませんでした。
国民栄誉賞授与決定!受章に寄せた本人の想い
2026年7月28日、3月に現役を引退したスピードスケート女子の髙木美帆に国民栄誉賞を授与することが正式決定しました。表彰式は8月4日に総理大臣官邸で行われる予定となっています。
授与の決定を受け、髙木さんは日本スケート連盟などを通じてコメントを発表しました。その言葉には、偉業を達成してもなお変わらない誠実さと周囲への深い感謝が込められています。
【髙木美帆のコメント】
この度の国民栄誉賞の受賞、大変嬉しく思うと共に、正直なところ、私一人が受け取るのには、身に余る光栄だという思いもあります。
スピードスケート競技では初めての受賞となりますが、これもひとえに歴史を作り続けてくださった諸先輩方や、共に戦い続けてきた仲間たち、支えてくれた関係者の皆さまのおかげです。そして何より、応援してくれる家族と、ファンの皆様がいたからこそ。
皆さまを代表して受け取る心意気で、拝受したいと考えております。
今後は、私が経験してきたものを社会に還元していく活動に取り組みたいと考えております。まだまだ模索中ではございますが、新たな価値を生み出していけるよう日々精進してまいります。
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願いいたします。
天才少女の挫折と覚醒――自責から始まった逆転劇
彼女のスケート人生を語る上で欠かせないのが、才能の発掘と挫折からの這い上がりです。
2010年、中学3年生だった髙木はバンクーバー五輪の代表に選出され、一躍注目の的となりました。非凡な才能を見せていた「天才少女」の登場は、世間に鮮烈な印象を与えます。しかし、順風満帆に見えたキャリアに大きな壁が立ちはだかりました。2014年ソチ五輪での代表選考会落選です。
日本スケート界のホープと期待されていた彼女にとって、このどん底の経験は最大の転機となりました。自らの甘さや練習不足と向き合い、一から肉体改造と意識改革に着手したのです。
ナショナルチームの発足とともに徹底的に自らを追い込んだ4年間は、彼女の強固なメンタリティを育みました。
数字と記録で紐解く「氷上のオールラウンダー」
挫折を乗り越えた髙木は、世界トップクラスのスケーターへと進化を遂げました。その圧倒的な実績は、オリンピックのメダル獲得数を見れば一目瞭然です。夏・冬の大会を通じて、日本女子最多となる通算10個のメダルを手にしました。
| 大会 | 獲得メダル・種目 |
|---|---|
| 2018年 平昌 | 金メダル:チームパシュート / 銀メダル:1500m / 銅メダル:1000m |
| 2022年 北京 | 金メダル:1000m / 銀メダル:500m、1500m、チームパシュート |
| 2026年 ミラノ・コルティナダンペッツォ | 銅メダル:500m、1000m、チームパシュート |
さらに、1500mにおいては1分49秒83という世界記録を保持しています。通常、スピードスケートでは短距離を専門とする選手と、中・長距離を専門とする選手で適性が分かれます。しかし彼女は、500mの爆発的なスピード勝負から3000mのスタミナ勝負まで、あらゆる距離で世界トップレベルの力を発揮し続けました。
「個」の強さと「チーム」への献身――背中で語るリーダーシップ
彼女の魅力は、個人の勝敗だけに留まらない人間性とキャプテンシーにあります。
平昌五輪では姉・髙木菜那とともにチームパシュートに出場し、見事なコンビネーションで金メダルを獲得しました。また、2022年北京五輪では日本選手団の主将を務め上げています。
5種目に出場するという過酷スケジュールの中でも、自らのパフォーマンスに没頭するだけでなく、チーム全体を明るく鼓舞し続けました。言葉で力強く引っ張るだけでなく、誰よりも練習に挑み、最高の結果を出すことで仲間をインスパイアする。その「背中で語る姿勢」こそが日本スピードスケート界全体のレベルを引き上げました。
氷上から次なる未来へ
2026年3月に現役を引退した髙木美帆。彼女は、圧倒的な個人の強さを誇りながらも、常に挫折を成長の糧に変え、最後まで「チームのために」走り続けました。
15歳でスポットライトを浴びてから、頂点とどん底を知り、世界の頂で戦い抜いた経験は、スポーツ界のみならず社会全体にとってもかけがえのない財産です。
国民栄誉賞という最高の栄誉を胸に、氷上から新たなステージへと踏み出した彼女が生み出していく「新たな価値」とこれからの歩みに、心からの敬意とエールを送り続けたいと思います。


