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9月23日は「手話言語の国際デー」|歴史と背景から知る手話の力
ビジョナリー編集部 2026/09/19
毎年9月23日は、国連が定めた「手話言語の国際デー(手話の日)」です。全国各地が鮮やかなブルーに包まれるこの日は、世界中のろう者の権利と手話という独自の言語を守るための特別な一日です。
本記事では、制定された由来や歴史、そして現代で広がるブルーライトアップなどの支援イベントまでを分かりやすく紹介します。
制定された理由
9月23日に設定された由来は、1951年のこの日に、ローマで「世界ろう者連盟(WFD)」が設立されたことです。きこえない人々の人権擁護と社会参加を目指して結成された世界的な当事者団体です。
この設立日を記念し、手話が人権の保障に不可欠であることを世界に伝えるため、2017年の国連総会において満場一致で決議・制定されました。
国連が採択した最大の意図は、「手話は音声言語と同等な言語である」という認識を世界共通の常識にすることにあります。障害への配慮という枠組みだけではなく、文化そのものを尊重し保全することが、誰もが自分らしく生きられるインクルーシブ社会の第一歩になると訴えているのです。
抑圧を乗り越えた歴史
近代における手話教育の原点は、18世紀のフランスに遡ります。エペ神父が世界初のろう学校を設立し、手話を用いた質の高い教育が始まりました。しかし、1880年にイタリアで開かれた「ミラノ国際ろう教育会議」によって状況は一変します。そこでは相手の口の動きを読み取って発声する「口話法」が優れているとする決議がなされたのです。これにより、世界中の教育現場から手話が奪われるという長い冬の時代を迎えることになりました。
この暗い歴史に光が差し込んだのは20世紀後半です。言語学の研究が進むにつれ、手話が独自の文法構造を持つ立派な自然言語であることが科学的に証明されました。さらに2006年の国連「障害者の権利条約」では、明確に「言語には手話が含まれる」と定義されました。
日本国内においても、2011年の障害者基本法改正によって言語として位置づけられ、現在では多くの自治体で「手話言語条例」が制定されています。長年の当事者たちの運動が、尊厳を取り戻させたと言えます。
今日からできる!身近な手話とコミュニケーションのヒント
手話を学ぶことは、「言葉を覚える」だけでなく、相手に伝えるための表現力を広げることでもあります。手や指の形だけでなく、表情や顔の向き、体の動きすべてを使って感情やニュアンスを伝える豊かな言語のため、笑顔や真剣な表情を添えて表現することがとても大切になります。
また、手話ができなくても、以下のようにコミュニケーションを深める方法はたくさんあります。
- 身振りや手振り(ジェスチャー)を活用する
- スマートフォンのメモ機能や筆談を使う
- 口元を隠さず、はっきりと口を動かして話す
大切なのは「伝えたい」「理解したい」という気持ちです。挨拶を一つ覚えることや、コミュニケーションの工夫を意識してみることが、お互いを尊重し合える第一歩となります。
「ありがとう」の伝え方

一例として、「ありがとう」を手話で伝える方法を紹介します。
①左手の甲を上に向け、右手の小指側を下にして軽く叩きます。
②叩いた後に、そのまま上にあげます。
この仕草は、相撲で勝った力士が手刀を切る様子から生まれたとされています。
世界中が青く染まる!記念日を彩るイベントと取り組み
世界各地で様々な啓発キャンペーンが繰り広げられますが、特に象徴的な取り組みが「Challenge Always Blue(ブルーライトアップ)」です。世界ろう者連盟のシンボルカラーである「青色」は、国連の旗の色であり、人権の平和と調和を象徴しています。日本国内でも東京スカイツリーや各地の城、自治体庁舎などが一斉に青く照らし出され、手話への理解と支援の意思を可視化しています。
また、世界ろう者連盟は毎年グローバルテーマを掲げて啓発活動を行っています。近年では、各国の教育、雇用、医療、災害時における手話の重要性が強調されています。全国の自治体や民間団体でも、この日に合わせて体験講座やシンポジウム、ろう文化を紹介するイベントが多数催されています。
終わりに
完璧にマスターしようといきなり気負う必要はありません。まずは「手話は一つの言語である」と正しく知ることが、最も価値ある第一歩です。「こんにちは」「ありがとう」といった簡単な挨拶を覚えてみるだけでも、心の壁をなくす大きな支援になります。
9月23日に青く光る街並みを見たとき、その歴史と込められた人権の重みに思いを馳せてみてください。小さな関心が、誰もが心地よく暮らせる社会をつくる力になります。


