
アート業界のためにできること——クリエイターが輝...
9/8(月)
2025年
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大西 洋 2025/04/30
これまでの連載を通じて繰り返し述べてきたことであるが、視野を広げること、自分の意見を持つこと、そしてそれを発信し行動に移す―この力こそが、これからの時代を生き抜くうえで何よりも大切である。
私は人生を通して、その重要性を学んできた。若い世代がこうした力を養うためには、「ディベート」の訓練が有効だと感じている。
ディベートには思考力・判断力・表現力など、実社会で必要とされる多くの要素が詰まっている。説得力のある議論をするためには、事前にしっかりと勉強し、考えを整理しなければならない。
また、相手がどのように反応するかを瞬時に先読みしながら対話を進める力も求められる。そのためには、日々の訓練が欠かせない。
当社では、入社2~3年目の若手社員にも地方創生事業の一翼を担ってもらっているが、地方の魅力を引き出すためには、相手の立場を想像しながら思考を組み立てる力が不可欠だと再認識している。
また、現場では「伝えたいことがうまく話せない」という声も聞かれ、こうした実感からディベート教育の導入を進めている。
ディベートでは、ただ単に話を聞くのではなく、どんなテーマでもよいのでお互いに議論を重ねる。自分の意見を持ちつつ、相手の立場や思考を瞬時に察知する。このような経験は、営業など実務でも大いに役立つのである。
振り返れば、自分たちの世代も含め、「自由に考え、自分の意見を書く」という教育をあまり受けてこなかったように思う。これからは、単なる知識の習得ではなく、「知恵」を育てる教育、つまり考えさせる教育がより重要になっていくだろう。
たとえば、テーマを挙げ、それに対する自分の考えを自由に表現してもらい、その内容を評価するといった教育である。このような教育を小学校の段階から始めることで、子どもたちのグローバルな競争力を育むことができるだろう。
また、当社に限らず、これからの時代を担う20代の若い皆さんには、ぜひ一層頑張っていただきたいと思っている。
今は、私たちの世代以上に、一日一日が極めて重みを持つ時代だ。かつては社会の変化を年単位で感じ取ることができたが、今では一日で世界が劇的に変わる。その変化を敏感に捉え、自らの頭で「これからどうなるのか」を常に考える習慣を身につけることが重要である。
これからの時代、上司が責任を取らない、成果は上層部に吸い上げられ、失敗は個人に押し付けられる——このような組織や企業は、徐々に淘汰されていくだろう。
結果に責任を持ち、自ら努力していく集団こそが生き残ると考えている。日本社会が縮小に向かう流れの中で、こうした変化は必然である。
ここで重要なのは、ただ悲観することではなく、国が存続の危機に瀕するかもしれないという緊張感を持ちながら、国力を再び高め、誇りを持てる国にしていくという意識を持って日々の仕事に向き合うことである。
最後になるが、次世代のリーダーや指導者として、思いやりと謙虚さを土台としながら、時代の先を見据え、まだ誰も踏み込んでいない市場を開拓し、新たな領域に事業を展開していく、そのような「ブルーオーシャン」を開拓し、挑戦できる人材を期待している。
僭越ながら、次世代の日本を担う皆さまにこの思いを託し、本連載の締めくくりとさせていただきたい。
ー終ー