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2026

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    「分かっているつもり」の抜けをなくす——組織のベクトルを最速・最エコで合わせる「実行計画書」の存在

    #11「分かっているつもり」の抜けをなくす——組織のベクトルを最速・最エコで合わせる「実行計画書」の存在

    原石からダイヤへ

     前回、エンジニアリング部門長時代に設備費を30パーセント削減した際、「実行計画書」を活用したとお話ししました。今回は、私が二十年近くにわたって全社に口酸っぱく言い続けている、この実行計画書の具体的な中身と、なぜ私がここまで「書き出すこと」に執着するのか、その理由を深くお話ししたいと思います。

     事業やプロジェクトを運営する際、最も恐ろしいのは、メンバーそれぞれが「見えている景色」や「思っていること」がバラバラのまま突き進んでしまうことです。人間は誰しも自分の都合の良いように思い込み、全体像を見失いがちになります。それを防ぎ、プロジェクトの全体像を常に全員で正確に把握・理解するために、必要な項目をすべて網羅して書き出すためのチェックリスト、それこそが私の言う「実行計画書」です。

     具体的に何を書き出すのかといえば、営業から生産技術に至るまでのすべての事実です。事業環境がどうなっているか、競合はどんな動きをしているか、自社の強みと弱みは何か、実際の販売計画や価格、さらには製造原価まで、ありとあらゆる項目を机の上にさらけ出します。その上で、それぞれの現状と課題を明確にし、実行スケジュール、責任者、推進体制を整理して、ゴールに向けた工程と期日を関係者全員で共有するのです。

     この「書き出して整理する」というステップを踏むと、面白いことが分かります。皆さん、頭の中では自分の担当業務について「すべて分かっているつもり」でいるのですが、いざ目の前の紙に書き出してみると、驚くほど多くの「抜け」や「漏れ」があることに気が付くのです。自分が見落としていた盲点や、他部署との連携のズレが、文字にすることで初めて浮き彫りになります。

     課題が明確になったら、次に重要なのは優先順位の付け方です。ここで私はよく「できることではなく、やるべきことをやる」と指導しています。多くの組織は、自分たちの現在の能力で「できそうなこと」から手をつけてしまい、本当に解決しなければならない本質的な課題を後回しにしてしまいます。それでは意味がありません。どんなに難しく見えても、事業の成功のために「やるべきこと」から逃げずに立ち向かう。その覚悟を共有するための土台が、この計画書なのです。

     そして、この実行計画書は作ったことで満足してしまっては絶対にいけません。日々、それぞれの担当者が進捗や状況の変化をチェックし、計画書を更新しながら関係者と情報を共有し続けることが肝心です。常に変化の兆しを監視していれば、何かが起きた時にも瞬時に全員で迅速な対応を検討し、即座に実行に移すことができます。

     全員が同じ計画書を日々フォローしていれば、組織のベクトルは自然と一つに揃います。あちこちで思いつきの対策を打つ「モグラ叩き」のような無駄な動きが一切なくなり、最もエネルギーを使わない「エコ」な形で、かつ「最速」で物事を進められるようになるのです。

     各事業や製品によって確認すべき項目は異なりますから、関係者にとって最も分かりやすい形で柔軟に運用すればいい。重要なのは、形にこだわることではなく、「事実をすべて書き出して情報共有する」という本質を徹底することです。私が社長になる前からずっと大切にし、一貫して言い続けてきたこの仕事の進め方こそが、強い組織を作るための何よりのインフラなのです。

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