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2026

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    どん底で試される「倒れるなら前へ」——裏切りと損失を超えて知った人情と友情の真価

    #09どん底で試される「倒れるなら前へ」——裏切りと損失を超えて知った人情と友情の真価

    原石からダイヤへ

     ビジネスや人生の道中で大きな壁に突き当たった時、私の心を支えてきた教えがあります。それは、航空自衛隊時代に叩き込まれた「倒れるなら前に倒れろ」です。

     体力の限界まで追い詰められても、一歩でも前へ踏み出して前傾姿勢で倒れる。苦痛や困難に直面した時に逃げ出さず、「もうダメだ」と思った瞬間こそ「もう一歩前へ」と足を踏み出す。極限の絶望やどん底の状況に追い込まれた時こそ、人間の中には不思議と火事場の馬鹿力が湧き上がり、新たなエネルギーが燃え上がってくるものです。

     私にとって最大の試練は、バブル崩壊後の1997年に訪れました。

     当時、私は手掛けていた80近い事業の経営を順調に回していました。しかし、バブルが崩壊し、それに続く金融危機が訪れると、銀行が一斉に返済を求めてきましたが、バブル期に借り入れた百数十億円も、残り4,400万円まで、着実に返済を完遂させていました。不動産の担保もあり、経営状態は健全そのものでした。

     ところが、ここでまたある事件が起きました。私の海外出張中に、メインバンクの北海道拓殖銀行(拓銀)の担当者が自宅を訪れ、事情を知らない妻に「手形の書き換えだ」と偽り、契約書に印鑑を捺(お)させたのです。その書類にはわずか一言、「一括返済に応じる」という重要な文言が忍ばされていました。それは、経営破綻を直前に控えた銀行による、なりふり構わぬ一方的な資金回収策だったのです。

     身に覚えのないまま突如として「整理回収機構行き」の危機を告げられた時の、激しい怒りは今でも忘れません。しかし、真相を知って取り乱し、泣きじゃくる妻の姿を見た瞬間、ハッと我に返りました。

     「俺は妻を幸せにするために仕事をしてきたのではないか。妻を泣かせてどうするんだ」

     不条理な裏切りに対する恨みを捨て、私は全事業の清算を決意しました。長年ともに汗を流した社員やパートさんたちが路頭に迷わないよう、黒字事業は担当者に独立して引き継いでもらい、それ以外の店舗もビジネス仲間に引き取ってもらいました。

     すべての事業の整理にようやく終わりが見えかけたころ、ビジネス仲間たちから「木村さんを囲むゴルフコンペをやろう」と誘いを受けました。

     気が進まないまま会場へ向かうと、そこには250人もの仲間が集まっていました。さらに驚いたことは、プレーの最中、自宅の妻から焦った様子で電話が入ったのです。

     「通帳に知らない人たちから次々とお金が振り込まれている」――。

     振り込み主の名前を確認すると、なんと今まさに一緒にラウンドしているゴルフ仲間たちの名前でした。

     「木村さん、大変なんだから何の気兼ねもなく使ってよ」
     「あなたのマグロの夢を応援したいんだ。頑張ってくれ」

     契約書も担保も返済期限もない。1人あたり数百万円から数千万円におよぶ莫大な支援金が、仲間たちの厚意だけで振り込まれていたのです。後に「マグロファンド」と呼ばれたこの温かい支援に対し、私は胸が熱くなり、感謝の涙を禁じ得ませんでした(※後にアイルランドへ渡って極上のマグロを釣り上げ、支援してくれた仲間全員に配ったのち、全額を完済しました)。

     数多くの裏切りに遭い、人間不信に陥りそうだった最大の危機において、私を救ってくれたのは、損得勘定を超えた仲間たちの「人情」と「縁」でした。

     この忘れられない恩があるからこそ、私は、中途半端な姿勢で仕事に臨むことは絶対にできません。ピンチの時こそアイデアを爆発させ、周囲をワクワクさせる挑戦を続ける。どん底で得た人の温もりこそが、その後の「すしざんまい」の飛躍を支える最大の原動力となったのです。

    #木村清#すしざんまい#喜代村#創業者#マグロ大王#フロンティアスピリッツ
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