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2026

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    商売の原点と生命を育てる厳しさ——生き物から学んだビジネスの原理原則

    #03商売の原点と生命を育てる厳しさ——生き物から学んだビジネスの原理原則

    原石からダイヤへ

     父の突然の事故死によって「借金2千万円」という途方もない重荷を背負うことになった我が家でしたが、母は「先祖代々の土地を減らすことはできない」と固く心に誓い、家族総出で働いて返済する道を選びました。

     暗いうちから畑へ出かけ、夜遅くまで藁を編む母の姿を見ながら、幼い私も「何とかしてお小遣いを得て家計の足しにし、自分でもお菓子を買いたい」と、身近な自然の中で必死に知恵を絞るようになっていきました。

     季節ごとに身の回りのものを収穫してはお金に変える——これが私の商売の原点です。

     例えば、初夏には川へ上ってくる鯉やドジョウを捕り、夏場には雷魚やナマズを捕まえてきました。祖母がそれを包丁で叩いてミンチにし、揚げて肉団子にしてくれた味は、我が家の貴重でおいしいおかずでした。

     秋の稲刈り時期になると、田んぼに飛ぶイナゴを一日中夢中で追いかけました。市場へ出入りしていた祖母に持っていってもらうと、1キロほどで300円ほどで買い取ってもらえました。当時、子供のお小遣いといえば5円や10円の時代です。100円単位のお金を手にしたときの嬉しさは格別で、自然の恵みを自らの手で集めて価値に変える体験に夢中になりました。

     さらに大きく収益をあげる方法として取り組んだのが、生き物の飼育と販売です。

     小学校に上がる前、ウサギを飼っていた近所のおばさんから「子供が生まれると千葉大学の人が買いに来てくれる」と聞き、さっそくつがいをもらって育て始めました。土手へ行って「ジシバリ」という白い乳が出る柔らかい草を摘んできては食べさせると、ウサギは喜んで大きく育ちます。ウサギの繁殖力は凄まじく、2カ月に1回のペースで一気に6匹から8匹もの子ウサギを産みます。1匹20円ほどで売れるため、非常に良い稼ぎになりました。当時は「このウサギたちは東京大学や千葉大学へ行くんだな」と無邪気に誇らしく思っていましたが、後に医療現場での動物実験用だったと知り、命を扱うことの複雑さを幼心に刻むこととなりました。

     また、卵を売って稼ごうと思い立ち、関宿の縁日の屋台でヒヨコを買って育てたこともありました。冬場はコタツに入れて大事に育てたのですが、成長しても一向に卵を産みません。翌年の縁日で屋台のおじさんに文句を言うと、「高齢なんじゃないか」などと誤魔化されました。

     他の大人に聞いたところ、縁日で売られているのは卵を産まないオスのヒヨコばかりで、メスは養鶏場に残されるという商売の裏側を知ることとなります。大人のずる賢さに、がっくりと肩を落としました。結局、自家用にニワトリを飼っていた祖母から教えてもらい、本物のメスを手に入れて有精卵や卵の仕組みを学ぶことになりました。

     幼少期に生き物を大切に育てる中で体得した「命を育てて商売にする厳しさ」と「飼育や加工の原理原則」は、巡り巡って私のその後の事業に大きな影響を与えることになります。

     後年、私はタイなどで現地での飼育から肉の加工、さらにはブロイラーの開発まで手掛ける世界有数の規模のブロイラー事業を立ち上げ、自社弁当店の唐揚げやチキン南蛮といった人気メニューの開発へ繋げていきました。幼い頃に泥臭く生き物と向き合い、命を育てる原体験があったからこそ、食に関わるビジネスの本質を捉えることができたのだと感じています。

    #木村清#すしざんまい#喜代村#創業者#マグロ大王#フロンティアスピリッツ
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