170年の時を超える「起業家ファミリー」のDNA...
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#01ご挨拶~執筆にあたって~
岩田 彰一郎 2026/10/01
今回この連載のお話をいただいたのは、東レの日覺会長からです。
日覺会長とのご縁は、会長が理事長を務められる一般財団法人日本ファッション協会で、私が理事をさせていただいている関係です。
なぜ私が、と思われるかも知れません。私が創業したアスクルはファッションとは無縁でしたし、現在、代表取締役CEOを務めるフォース・マーケティングアンドマネジメントも経営コンサルタント企業であるため遠い存在です。
このご縁の始まりは20年ほど前に遡り、日本ファッション協会が主催する顕彰制度、日本クリエーション大賞の審査員になったことがきっかけでした。
亡くなられた資生堂の福原義春名誉会長が顕彰委員会の審査委員長をなさっており、資生堂の社外取締役を拝命していた私に、「勉強になるから審査員をしなさい。世の中のさまざまな息吹を感じられるよ」と勧めてくださったのでした。
福原さんからはたくさんの薫陶を受け、経営者としての矜持を学ばせていただきました。福原さんのご著書『ぼくの複線人生』(岩波書店)は私の大切な一冊になりました。経営者として、学び続け、社会への好奇心を持ち続けることの大切さを教えていただいています。
福原さんが傘寿で勇退なさった後も、私は委員長代行として務めることになり、個性豊かな審査員の皆様と日本の未来を担うあらゆる分野の創造的な事業や活動を顕彰させていただいております。日覺理事長は日本クリエーション大賞の審査委員長にもなっていただき、毎年ご一緒しておりました。
そんなご縁から、私の初めての著書である『起業家になる前に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)を献本させていただきました。
早速読んでくださり、「いいね! ご飯でも食べて話そうよ」とお声がけいただき、東レの社員クラブでご馳走になりました。それが深いご縁をいただいたきっかけです。あれだけの大経営者が後輩の本をしっかり読んでお声がけくださることは、なかなかできることではありません。まだまだ学びが足りないと反省しています。
私は、27年間経営者として育てたアスクルの社長を退任した後、フォース・マーケティングアンドマネージメントという会社を立ち上げました。アスクル時代の経営の成功も失敗も含めた経験を、次の時代を創る起業家たちに伝えるための会社です。20社を超えるベンチャー経営者たちとハンズオンで経営の壁打ちをしています。志の高い、真摯な若者たちと熱く議論できることはとてつもない喜びです。
ベンチャーの成功のためには100個の落とし穴が待っています。知っていても多くが落ちる穴です。そのことを教える勉強会を「岩田ワクチン会」と呼んで、みんなが揃って学ぶ会となっています。私を飛び越えて経営者同士が教え合ったり、悩みを相談したり、良いコミュニティにもなってきました。
経営者は孤独である、などと言いますが,みんな同じように壁にぶつかり、悩み、乗り越えようとしています。少しでも彼らの役に立てばと思う毎日です。「大フォース」と呼んでいますが、いろいろな経験をした素敵な仲間たちが組織の枠を超えて運営に当たっています。幸せなことです。
これからもう一度自分の軌跡を顧みながら、私自身も経営とは何か? について考えていきたいと思っています。


