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2026

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    指定難病の「もやもや病」とは?原因・検査・最新のバイパス治療まで解説

    指定難病の「もやもや病」とは?原因・検査・最新のバイパス治療まで解説

     「熱いラーメンを吹き冷ました時、急に手に力が入らなくなった」「最近、子どもが激しく泣いたあとに急にしびれを訴える」というような違和感、あるいは、健診の脳MRIで血管の狭窄を指摘され、「もやもや病」という言葉に驚いた人もいるかもしれません。見慣れない病名や「指定難病」という響きに、強い不安を感じることもあります。

     本記事では、基礎知識から原因、見逃してはならない初期症状、そして具体的な治療の選択肢までを分かりやすく解説します。

    病気の概要と病名の由来

     この病気は、脳の底を通る太い主要血管(内頚動脈)の末端部分が、両側または片側で徐々に細くなって詰まってしまう病気です。

     脳は酸素や栄養を絶やさず必要とする器官であるため、本来の血管が細くなると、何とか血流を保とうとして周囲に「もやもや血管」と呼ばれる網の目のような細い血管網を発達させます。

     これを脳血管造影検査(アンギオグラフィー)で撮影した際、まるで煙が「もやもや」と立ち上っているように見えることから、日本人の研究者によってこの病名がつけられました。現在では国際的にも「Moyamoya disease」として世界共通の医学用語となっています。国が定める指定難病(指定難病22)にも登録されており、医療費助成の対象となる疾患です。

    発症の原因と遺伝との関係

     現在の医学において、発症の根本的なメカニズムは完全に解明されていませんが、研究によって「遺伝的素因」が大きく関係していると言われています。

     具体的には、患者の約10~15%に家族歴が認められており、17番染色体上にある「RNF213」と呼ばれる遺伝子の変異(バリアント)が発症に強く関連していることが判明しました。この遺伝子変異は東アジア人に比較的多く見られる特徴があります。

     ただし、この遺伝子変異を持っているからといって、必ずしも全員が発症するわけではありません。遺伝子の特徴に加えて、環境因子や免疫・炎症反応などの「第2の要因」が重なることで発症すると考えられています。

     また、発症する年齢には大きな2つのピークが存在します。1つ目は「5歳前後の小児期」、2つ目は「30~40代の成人期」です。女性の発症率が男性より約1.5~2倍ほど高いという特徴も知られています。

    タイプによる症状の違い

     症状は、脳がどのような状態になっているかによって大きく「虚血型」と「出血型」に分かれます。年齢層によって現れやすいタイプが異なります。

    小児に多く見られる「虚血型」の症状

     子どもに多く見られるのは、脳の血流が一時的に不足する「一過性脳虚血発作(TIA)」や「脳梗塞」の症状です。脳が酸素不足に陥ることで、突然片方の手足に力が入らなくなったり、顔面麻痺、言語障害(言葉が出にくくなる)が起きたりします。

     特に特徴的なのが「過換気(息が激しくなる動作)」に伴う発作です。熱い食べ物(ラーメンやうどん)を「フーフー」と吹き冷ます、笛や鍵盤ハーモニカなどの楽器を吹く、風船を膨らますなどの行動をとると、血液中の二酸化炭素濃度が下がり、脳の血管がさらに収縮します。その結果、一時的に血流が途絶えて手足の脱力やしびれが生じるのです。数分から数十分で元に戻ることが多いため「少し疲れたのかな」と見過ごされがちですが、何度も繰り返す場合は重要なサインです。

    成人に多く見られる「出血型」の症状

     大人の場合、血流不足による虚血症状だけでなく、「脳出血」で発症するケースが少なくありません。

     本来の太い血管の代わりに血液を送っている「もやもや血管」は、非常に細く脆い壁でできています。長年にわたって過度な血圧の負荷がかかり続けることで破裂し、突然の激しい頭痛や意識障害、半身麻痺を引き起こすのです。

    受診から確定診断までの検査プロセス

     上記のような症状や不安がある場合、まずは脳神経外科を受診することが解決への第一歩となります。病院では体に負担の少ない検査から段階を踏んで精密な診断を行います。

    • MRI / MRA検査
      放射線を使わずに脳の断面や血管の構造を立体的に画像化します。主要な血管の狭窄具合や、脳梗塞・脳出血の有無を迅速に確認できます。
    • 脳血管造影検査(アンギオグラフィー)
      カテーテルを太ももなどの血管から挿入して造影剤を注入し、脳血管の詳細な影を撮影します。確定診断や手術計画を立てるために欠かせない検査です。
    • 脳血流検査(SPECT)
      脳のどの部分で血流が低下しているか、また負荷がかかった時に血流を増やす余力(予備能)が残っているかを数値と画像で評価します。

    主な治療法:脳を守るバイパス手術

     狭窄した血管を元通りの太さに戻す根本的な治療法は、現在の医学ではまだ存在しません。そのため、治療の柱となるのは、不足している脳血流を補い、将来の脳梗塞や脳出血を防ぐ「バイパス手術(脳血管再建術)」です。主に以下の3つの手法があり、患者の年齢や血管の状態に合わせて最適な方法が選択されます。

     頭皮を走っている血管を脳の表面にある細い血管に直接縫い合わせる「直接バイパス術」は、即効性があり主に成人の患者に選ばれます。

     また、血流が豊富な頭皮の筋肉や硬膜などの組織を脳の表面に密着させる「間接バイパス術」は、時間の経過とともに密着組織から脳へ自然と新しい血管が伸びていく手法で、小児の患者で高い効果を発揮します。

     さらに、これらふたつを組み合わせてより確実な血流再建を目指す「複合バイパス術」も広く採用されています。

     手術と並行して、血液を固まりにくくする抗血小板薬の内服を行う「内科的治療」が実施されることもあります。これらは症状の安定や血栓予防を目的とした補助的な役割を果たします。

    前向きに付き合うための日常生活と予後

     「手術を受けたら、ずっと運動や仕事を制限しなければいけないのでしょうか」という疑問を持つ人も多くいます。

     早期に発見して適切な手術を受け、症状が安定すれば、多くの患者が病気の前と変わらない日常生活や社会復帰、学校生活を送ることが可能です。日常で気を付けるべきポイントはシンプルです。

     まずは十分な水分補給による脱水予防が挙げられます。体内の水分が不足すると血液がドロドロになり、ただでさえ狭くなっている血管で詰まりやすくなるため、夏場やスポーツ前後、入浴後は意識して水分を摂取しましょう。

     また、特に小児の場合には風船を膨らますなどの急激に息が荒くなる極端な過換気動作を回避し、主治医と相談しながら出来る範囲を確認することが大切です。

     さらに、手術後も脳の血流状態や血管に変化がないか、MRIなどによる定期的な経過観察を継続することが長期的な安心につながります。

    終わりに:不安を感じたらまずは専門医へご相談を

     難病という言葉のイメージから恐怖を感じやすい疾患ですが、医学の進歩によって解明が進み、バイパス手術という治療法が存在する病気でもあります。

     症状に心当たりがある場合は、決して放置せず、脳神経外科や専門病院を受診してください。早期発見と適切な対応こそが、大切な生活と笑顔を守る最大の鍵となります。

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