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写真に写る都市――全国に広がる文字モニュメントの経済効果
ビジョナリー編集部 2026/02/26
大きな立体文字の前で記念撮影をした経験はありませんか。あるいは、地名のアルファベットとともに写る写真をSNSで目にしたことがあるかもしれません。近年、都市や観光地の顔として「文字モニュメント」が各地で急速に増えています。なぜ今、こうした立体文字がランドマークとして存在感を強めているのでしょうか。そこに反映されているのは、街の見せ方が変わりつつある時代の空気です。
SNS時代に求められる“視覚的ランドマーク”
近年、旅は記憶に残すだけでなく、記録し、発信するものへと変わりました。旅行先では、まずカメラを向ける場所を探す――そんな光景も珍しくありません。「ここだ」と一目で分かる背景があれば、写真はそのまま“訪れた証”になります。その役割を担っているのが、地名やメッセージを立体的に象った文字モニュメントです。
例えば、東京・晴海ふ頭にある「TOKYO」の巨大な立体文字。訪れた人々はレインボーブリッジを背景に、足を止めて撮影します。
埼玉県秩父市の西武秩父駅前には、高さ1.3メートル、横幅4.5メートルの「CHICHIBU」モニュメントが設置されています。駅を出てすぐの場所にあり、訪れた人々が足を止め、家族や友人と写真を撮る姿が絶えません。まちの名前そのものが写真の中に写り込むことで、投稿はそのまま地名の拡散につながります。
全国に広がるブーム
神戸のメリケンパークに設置された「BE KOBE」モニュメントは、「神戸の魅力は山や海よりも“人”である」という思いが込められ、震災を乗り越えてきた市民の誇りを象徴しています。港町の美しい景観と白い文字のコントラストはSNSで拡散され、今では市内のさまざまな場所に同様のモニュメントが設置されています。
さらに、新潟市の「What’s NiiGATA」、名古屋市の「@NAGOYA」、横浜市の「YOKOHAMA」、大阪市の「梅田イス」など、地域ごとの個性やメッセージが込められた立体文字が次々と登場しています。日本各地を巡る“モニュメントコレクション”は旅行者の新たな楽しみとなり、まちの新しい観光資源として定着するでしょう。
住民の誇りと地域愛――“シビックプライド”を育てる
文字モニュメントは観光客が楽しむだけではありません。まちの名前を大きく掲げるその存在は、「自分たちの街」を目に見えるかたちにします。こうした象徴は、まちへの誇り――いわゆるシビックプライドを育てると言われています。自分の住む地域を誇らしく思う感覚は、やがてまちづくりへの主体的な関わりへと変わっていきます。
「この街に住んでいる」「この街を訪れた」という体験を可視化しやすくすることも、こうした存在の強みです。子どもたちの卒業写真や地域イベントの記念撮影スポットとしても活用されるうちに、モニュメントは地域のシンボルとなっていきます。実際に神戸市では「BE KOBE」モニュメント周辺の市施設利用者が増加し、まち全体の活性化にも繋がっています。
さらに、地域外の人がモニュメントをきっかけにまちと関わりを持つことで、ふるさと納税やUターン就職、移住者の増加など、人口減少対策にも一定の効果が期待できるといいます。
自治体や企業が続々と導入――デザインや用途の多様化
文字モニュメントの導入は一部の地域に限られた動きではありません。全国各地へと広がりを見せています。兵庫県佐用町では、「DO SAYO」のモニュメントを固定せず、季節ごとに観光名所の前へ移設しながら活用しています。また、デザインや素材、サイズも多様化が進んでいます。JR横浜タワーの「YOKOHAMA」モニュメントは屋上庭園に設置され、ベンチとしても機能するなど、利用者目線での工夫も見られます。
デザイン・製造を手がける事業者への問い合わせも増加しており、「コロナ禍明け以降、自治体からの相談が急増した」と話す関係者もいます。アルファベット表記が主流となっているのは、海外からの観光客にも直感的に伝わりやすく、洗練された印象を与えやすいことが理由のひとつとされています。
さらに、手のひらサイズのミニモニュメントも登場しています。青森県弘前市の土産物店では、地域名の小型スタンドを販売し、旅のお供やお土産として人気を集めています。
“新しいまちの顔”はどこへ向かうのか
文字モニュメントが設置された場所は、まちの新しい顔となり、住民や観光客に愛されながら発信される存在へと定着しています。まちづくりや地域活性の一環として、その広がりは今後も続くはずです。単なる流行にとどまらず、地域の個性や歴史、メッセージを映し出す「愛着の生まれる場所」として、まちの未来を形づくっていくでしょう。


