Diamond Visionary logo

7/8()

2026

SHARE

    「脱フィルム」と「物流効率化」を同時に叶える一手。物流危機を乗り越える“ボックス単位”の輸送革命

    「脱フィルム」と「物流効率化」を同時に叶える一手。物流危機を乗り越える“ボックス単位”の輸送革命

    サプライチェーンの不確実性を「変革の好機」に変える

     サプライチェーンの不確実性が高まる今、多くの企業にとって資材調達リスクと物流効率化への対策は喫緊の課題となっている。地政学リスクに伴う資材不足というピンチを、物流構造そのものを変革するチャンスへ。その具体的な解決策として浮上しているのが、これまでの常識を覆す輸送の形だ。

    「パレット輸送」を襲う資材不安と、現場を苦しめるジレンマ

     企業間物流のスタンダードである「パレット輸送」は、フォークリフトによる効率的な荷役(にやく)を可能にする一方で、ある資材に依存してきた。それが、荷崩れ防止や商品保護に不可欠なストレッチフィルムだ。

     しかし昨今、不安定な中東情勢などの影響を受け、このフィルムの供給不安定化と価格高騰が深刻な影を落としているという。資材不足を理由にパレット輸送を断念し、手作業の「バラ積み」に逆戻りすれば、荷崩れリスクが高まるだけでなく、荷役時間は大幅に増大する。

     これは、2026年4月施行の改正物流効率化法で求められる「荷役時間の短縮」に逆行するばかりか、労働時間上限規制の順守をさらに困難にする。物流現場は今、極めて深刻なジレンマに直面しているのだ。

    課題解決の切り口は「ユニットロード化」への転換

     これらの課題を解消する極めて有効な打ち手として提案されているのが、「ユニットロード化(輸送単位の標準化・共通化)」である。

     手作業でのバラ積み・バラ降ろしから脱却し、荷物をパレットやカゴ台車といった一定の単位にまとめて輸送するこの手法は、ドライバーの負荷を大幅に軽減する。同時に、物流の効率化と高い輸送品質の担保を両立させる、現代物流の最適解といえるだろう。

    独自の梱包ボックスと共同輸配送網が導く、現場の最適解

     物流効率化に悩む事業者が、中ロットから手軽にユニットロード化を実現できるサービスとして脚光を浴びているのが、「JITBOXチャーター便」と「JITパレットチャーター便」だ。

     最大の特徴は、車両を1台丸ごと貸し切る従来のチャーター便とは異なり、「ボックス(カゴ台車)やパレット単位で空間を貸し切る」という独自のコンセプトにある。

     「JITBOXチャーター便」で活用されるのは、内寸104cm×104cm×170cmの頑丈なキャスター付き鉄製ボックスだ。荷物をこの中に積み込めば、配達先まで人の手や他の貨物が直接触れることはない。この仕組みにより、荷物事故発生率0.04%という驚異的な輸送品質を実現しているという。

     また、ヤマトグループを含む国内主要物流企業14グループ47社が連携する強固な共同輸配送ネットワークも、大きな強みだ。全国を網羅する広大なインフラにより、どこからでも集荷・配送の依頼が可能で、配達指定時間順守率は99.8%を誇る。

    記事内画像

    記事内画像

    記事内画像

     さらに、ボックス未満の荷量やパレット積みの荷物には「JITパレットチャーター便」が威力を発揮する。T11型標準パレットに積み付けた荷物に、集荷時に持参される専用パネルを被せて発送する形式だ。この特性を活かし、現場課題を克服した2つの事例を紹介したい。 記事内画像

    事例1:資材リスクを克服した酒造メーカー

     ビン製品という破損しやすい貨物を扱う同社は、供給不安と価格高騰が続くストレッチフィルムの代替策を模索していた。そこで導入されたのがJITパレットチャーター便だ。専用パネルが荷物を保護するため、フィルムを一切使わない「簡易梱包」での輸送が可能になった。積み替え回数の減少により品質も向上し、「資材リスクへの備え」と「脱フィルム」を同時に達成した事例といえる。

    記事内画像

    事例2:コストと衛生管理を両立した調味料メーカー

     低積載になりがちな出荷において、コストを抑えつつ品質を維持したいという課題を抱えていた同社。JITパレットチャーター便の採用により、貸切便同等の品質を維持しながら、荷量に見合ったコストの最適化に成功した。さらに、頑丈な専用パネルで荷物を覆う構造が「獣害対策」としても有効に機能し、納品先の厳格な衛生基準をクリアしたという副次的効果も生まれている。

    記事内画像

     2006年のサービス開始以来、2025年度には販売本数111万本に達した「JITBOXチャーター便」。昨今のナフサの供給不安定化に起因するフィルム問題や、法改正への対応策として、サプライチェーンマネジメントの観点から改めてその価値が再評価されている。

     これら2つのサービスは、現場のパレット運用を大きく変えることなく、「不確実な地政学リスクへの備え」と「法改正への適応」を同時に叶える。手軽な「脱フィルム」と「荷役時間削減」を両立する、まさに時代が求めるソリューションなのだ。

    現場の負担を抑えた「スモールスタート」から始める物流改革

     法改正への適合や労働環境の整備は、今や全企業にとって避けては通れない経営課題だ。しかし、必ずしも大がかりなシステム投資や、現場を混乱させる複雑な運用変更が必要なわけではない。

     「フィルム不要の梱包手段を試す」「特定のルートだけをボックス輸送に切り替える」といった、現場の負担が少ない小さな一歩からでも、確かな物流改革は始められる。省力化とコスト最適化を両立しながら、持続可能な物流網を構築すること。これこそが、激動の時代においてビジネスを力強く支える鍵となるはずだ。

    JITBOXチャーター便/JITパレットチャーター便
    https://business.kuronekoyamato.co.jp/service/lineup/jitbox/index.html

    あわせて読みたい

    記事サムネイル

    物流統括管理者(CLO)設置義務化への対応を支援...

    Diamond AI trial

    ピックアップ

    Diamond AI
    Diamond AI