
マーク・ザッカーバーグの生い立ちと成功までの軌跡
9/4(木)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/04
アップル、コカ・コーラ、日本の商社——。誰もが知る企業の株主名簿には、必ずと言っていいほど彼の名前が並びます。
その人こそ、ウォーレン・バフェット氏。世界屈指の資産家であり、「オマハの賢人」と呼ばれる伝説の投資家です。
本記事では、バフェット氏の生い立ちから最新の投資動向までをたどりながら、今こそ学びたい「世界最強の投資家の本質」に迫ります。
ウォーレン・バフェット氏は、1930年8月30日、アメリカ・ネブラスカ州オマハに誕生しました。父親は証券ブローカーであり、後に議員も務めた人物。経済や投資が身近な環境で育ったことが、後の彼の人生にどれほど大きな影響を与えたか、想像に難くありません。
驚くべきは、わずか6歳で「ビジネスの才覚」を発揮していたこと。
スーパーで6本入りのコーラをまとめ買いし、1本ずつ近所で販売。差益を得ては、次の商売の資本に回す——。
遊びに夢中な年頃に、すでに商売を実体験していたのです。
また、新聞配達や中古ゴルフボールの販売、ピンボール台の設置ビジネスにも挑戦。10代にして「お金を動かす感覚」を磨いていました。
バフェット氏は11歳で初めて株を購入しますが、焦って早めに売ってしまい、その直後に株価が急騰し、非常に悔しい思いをしました。この体験は「短期の値動きよりも企業の本質を見極めるべき」という、後の彼の投資哲学につながります。
バフェット氏の転機となったのは、大学時代の恩師、ベンジャミン・グレアムとの出会いです。高校卒業後、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール、ネブラスカ大学を経て、コロンビア大学ビジネススクールに進学。ここで「バリュー投資の父」と呼ばれるグレアム教授から直接学ぶ機会を得ました。
「本質的価値より安く買い、安全域(Margin of Safety)を確保する」という考え方は、バフェット氏の投資人生を決定づけました。
グレアムの投資会社で実践を積み、「市場の短期的な動きや感情に流されず、企業の本質的価値を見抜くこと」がいかに大切かを体得したことが、後の“オマハの賢人”誕生の土台となったのです。
バフェット氏は20代で投資パートナーシップを立ち上げ、出資者の資金を運用し始めます。
その後、1960年代に出会ったのが、当時業績不振にあえぐ繊維会社バークシャー・ハサウェイです。当初は純粋なバリュー投資の一環として買い進めたものの、繊維事業は立て直せず。
しかし、ここからがバフェット氏の真骨頂です。
繊維業から撤退し、バークシャーを「投資持株会社」へと大胆に転換。保険会社を買収し、「フロート(未払い保険金)」という巨額の資金を活用して、さらなる投資のチャンスを拡大していきました。
企業の本質を見抜き、資本を最適に配分することで、巨大な富を築く。
これが、バフェット氏の“資本主義の魔法”ともいえる手腕です。
もう一つ、見逃せないのが、チャーリー・マンガー氏との出会いです。
マンガー氏はバフェット氏に「優れた企業を“適正な価格”で買い、長期的に持つほうが、単に安いだけの企業に投資するよりリターンが高い」と助言。
その影響で、シーズ・キャンディやコカ・コーラといった「ブランド力」「経済的な堀(Moat)」を持つ企業へ投資の軸足を移します。
以降、バークシャー・ハサウェイは単なるバリュー投資家ではなく、「堅牢なビジネスモデルを持つ企業の長期オーナー」として世界の注目を浴びるようになりました。
ウォーレン・バフェット氏の真価が最も発揮されたのは、「市場がパニックに陥ったとき」です。
1990年代後半、ITブームで株価が天井知らずに上昇。
世間が「IT企業でなければ成長できない」と熱狂する中、バフェット氏はIT株をほとんど買いませんでした。
「自分が理解できるビジネスモデルでない」「収益の持続性が見えない」
この冷静な判断力が“時代遅れ”と揶揄されましたが、バブル崩壊後には「やはりバフェットは正しかった」と再評価される結果となります。
2008年、世界的な金融危機で株式市場は大暴落。
誰もが悲観に沈むなか、バフェット氏は「Buy American. I Am.(私はアメリカ株を買う)」と宣言。
ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカなどへの救済的投資で、優先株やワラントを駆使し、「高配当+リスク時の値上がり益」という“両取り”を実現しました。
「恐怖の中でこそ、最大のチャンスが生まれる」
この胆力と逆張りの精神こそ、バフェット流の真髄です。
近年は、アップルへの大型投資や、日本の五大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友、丸紅)への進出が大きな話題となりました。特に日本株投資は、長らく米国株一辺倒だったバフェット氏にとって大胆な戦略転換。
「安定した配当」「多角化されたグローバルビジネス」「割安な株価」といった点を見極め、資金を分散しながら大胆に投資を拡大しました。
また、エネルギーや資源関連企業(オキシデンタル・ペトロリウム等)にも注目。インフレや地政学リスクに備え、実物資産に裏打ちされた強い経済的堀を持つ企業への投資を強化しています。
加えて、大量のキャッシュを保持し、焦らず大型投資の好機をじっくり待つ姿勢も健在です。
バフェット氏が実践している投資のルールは、個人投資家にとっても実践可能なヒントに満ちています。
「自分のサークル・オブ・コンピタンス(理解できる範囲)から外れるものは、たとえ話題でも手を出さない。」
ITバブル時代、バフェット氏はネット関連株への投資を見送り、「時代遅れ」と批判されました。しかし、バブル崩壊で多くの投資家が大損失を被るなか、バークシャーは大きな被害を受けませんでした。
バリュー投資の伝統を守りつつも、「企業の質」「ブランド力」「価格決定力」を重視します。コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス、アップルへの巨額投資は、この哲学の体現です。
「ルールその1:絶対に損をするな。 ルールその2:絶対にルール1を忘れるな。」
企業価値に対して十分に安い価格で買うことで、予想外のリスクにも備えます。
「10年間持つ気がない株は、10分たりとも持つべきではない。」
短期の株価変動やニュースに一喜一憂せず、企業の本質的価値と成長を信じて“オーナー目線”で持ち続けます。
「他人が恐れている時は貪欲に、他人が貪欲になっている時こそ慎重に。」
リーマンショック時には、金融危機で株価が急落した大手銀行や企業に果敢に投資し、巨額のリターンを得ました。
「最良の保有期間は永遠である」
この言葉に象徴されるように、バフェット氏の思考は“目先の利益”よりも“永続的な価値”を大切にしています。
投資だけでなく、人生のあらゆる判断にも応用できる“普遍の原則”。
あなたも今日から、バフェット流のエッセンスを一つ取り入れてみてはいかがでしょうか。