
技術目線から脱し、相手目線でのIT活用促進を!
9/27(土)
2025年
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ビジョナリー編集部 2025/09/26
「アマゾンで買い物しない日はない」「プライムビデオなしでは週末が過ごせない」──そんな方も多いのではないでしょうか。今や私たちの生活インフラとなったアマゾン。その創業者こそが、世界有数の資産家でありイノベーター、ジェフ・ベゾス氏です。
なぜ彼はここまで成功し、世界を変える存在となったのでしょうか?そして彼を突き動かす「成功哲学」とは一体何なのか。本記事では、ベゾス氏の生い立ちや功績、そして彼が大切にしてきた考え方に迫ります。
ジェフ・ベゾス氏は1964年、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキで生まれました。実の父親とは幼い頃に別れ、以降は義父のマイク・ベゾス氏に育てられます。
幼少期から科学や発明が大好きで、ガレージは彼の“秘密基地”でした。電動アラームを自作して弟や妹が部屋に入らないようにしたり、ソーラークッカーを作ってみたり──物を分解し、仕組みを知り、工夫してみる。そんな日々が、ベゾスの根底にあります。
さらに、1969年のアポロ11号月面着陸をテレビで目撃したことで、「宇宙」に魅せられます。SFドラマ『スタートレック』にも夢中になり、「いつか人類を宇宙へ」という壮大な夢を心に秘めるようになったのです。
ベゾス氏は学校でも抜群の成績を誇り、フロリダ州マイアミの高校を首席で卒業。科学分野の賞も数多く受賞し、プリンストン大学へ進学します。最初は物理学者を志していましたが、同級生のあまりの優秀さに衝撃を受け、電子工学とコンピュータサイエンスへ進路変更。ここでトップクラスの成績を修めました。
大学卒業後は、金融業界やIT分野のスタートアップなど、当時最先端の現場を渡り歩きます。ヘッジファンド「D.E.ショー」ではわずか30歳で副社長に抜擢されるなど、順風満帆なキャリアでした。
ベゾス氏の転機は、インターネットの爆発的成長を知ったことでした。年率2,300%という信じがたい数字に、「これを活かさないのは一生の後悔になる」と直感します。
しかし、当時の彼は安定した高収入の金融マン。家族や上司の反対も当然ありました。ここで役立ったのが、彼自身が「後悔最小化のフレームワーク」と呼ぶ考え方です。
「80歳になったとき、インターネットという時代の波に挑戦しなかったことを、きっと後悔するだろう」
この思いが背中を押し、ついに1994年、ニューヨークからシアトルまでの長い車旅の中で事業計画を練り上げ、アマゾンの前身となる会社を自宅ガレージで立ち上げました。
ちなみに、初期資金は自らの貯金と家族・親しい友人から集めたものでした。「成功確率は30%。失敗してもいいお金で」と正直にリスクを伝えてから、スタートしたのです。
アマゾンが最初に選んだ商品は「書籍」でした。それには明確な理由がありました。
このような分析の末、「世界最大のオンライン書店」として勝負をかけたのです。
そして1995年、ついにアマゾンが正式オープン。利用者の口コミ機能をいち早く導入するなど、今でこそ当たり前の「ユーザー目線」のサービスも、当時は画期的なものでした。
サービス開始直後から予想を超える成長を遂げ、アマゾンは瞬く間に世界中へ広がります。創業からわずか2年で株式公開を果たし、その後も音楽、家電、日用品、さらにはクラウドサービス(AWS)など、事業領域を拡大し続けました。
しかし、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。オークション事業eBayに完敗、独自スマホ「Fire Phone」の巨額損失と撤退、物流や海外展開での数多くの失敗とトラブル…
それでもベゾス氏は、「失敗は恐れるものではなく、成功への必要経費」と繰り返し語っています。
「アマゾンは何度も失敗した。だが、1つの大きな成功があればすべて取り返せる」
この「失敗を恐れず、挑戦を続ける姿勢」こそが、アマゾンの圧倒的な成長の原動力となったのです。
ベゾス氏が事業を成功させるために大事にしてきた考え方とは何でしょうか。彼自身がたびたび語る「3つの原則」に集約されます。
アマゾンの意思決定は、常に「顧客のためになるか?」が基準です。競合よりも顧客を見る。たとえ自社の短期的利益を損なうように見えても、ユーザー体験を最優先することで長期的な信頼を獲得してきました。
これらすべては、「顧客が本当に求めているものは何か」を突き詰めた結果です。
ベゾス氏は「アマゾンを発明マシンにしたい」と語っています。既存の枠にとらわれず、新しい価値を創造し続ける姿勢が、KindleやEcho、AWSといったヒット商品・サービスを生みました。
社内の反対が強くても、「私はやりたい。やってみよう」とトップ自らリスクを取り、挑戦を後押しする。失敗しても責めず、むしろ挑戦を評価する文化が根付いています。
短期的な利益にとらわれず、10年単位で未来を見据えた経営を貫きます。ITバブル崩壊時にも「値上げで乗り切る」のではなく、ユーザー本位のサービス拡充で信頼を積み重ねました。
また、コストコ創業者ジム・シネガル氏との出会いから、「利益よりも顧客の満足感を最優先する」ことの重要性を再認識し、マーケットプレイスやプライムの仕組みを生み出しています。
アマゾンを成功させたベゾス氏が、もう一つ情熱を注いできたのが宇宙事業「ブルーオリジン」です。なぜ、彼は巨額の私財を投じてまで宇宙を目指すのでしょうか?
その根底には、「地球の資源は有限。人類の未来を切り拓くには宇宙に進出するしかない」という信念があります。エネルギーや人口増加の問題を解決するため、地球外に人類の生存圏を拡大する──子どもの頃からの夢を、人生をかけて実現しようとしているのです。
2021年には自身も宇宙船「ニューシェパード」に搭乗し、民間宇宙旅行を実現。ゆっくり着実に前進する「ブルーオリジン」の姿勢もまた、アマゾン創業期の粘り強い成長と重なります。
ベゾス氏の考え方や行動からは、明日から実践できる学びが詰まっています。
大きな成功も、日々の「小さな挑戦」「小さな改善」の積み重ねから生まれる。これはどんな仕事にも通じる真理ではないでしょうか。
ジェフ・ベゾス氏の半生を振り返ると、華々しい成功の裏には数えきれないほどの失敗と、そこから学び続ける姿勢があります。
「80歳の自分が後悔しない選択をする」
「お客様が本当に求めているものに全力で応える」
一見当たり前のようで、実践し続けるのは容易ではありません。しかし、これらを徹底することで、ベゾス氏は世界を変えたのです。
一歩踏み出す勇気、そして失敗から学び続ける姿勢こそが、私たち一人ひとりの未来を切り拓く力になるのです。