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東京でアライグマが急増――身近に迫る新たな都市リスク
ビジョナリー編集部 2026/06/04
アライグマが東京で爆発的に増え、深刻な問題を引き起こしているのをご存知でしょうか。今や23区内の住宅街でも目撃情報や被害が相次いでいます。かわいらしい見た目とは裏腹に、都市生活の大きなリスクとして警戒される存在となっているのです。
東京で急増するアライグマの実態
東京都内、とくに多摩地域から23区にかけて、ここ数年で目撃情報や被害報告が急増しています。東京都の調査によると、2013年に区部で寄せられた相談件数はわずか9件でしたが、2024年には856件と約95倍に跳ね上がっています。また、捕獲数も201頭から1541頭へと7倍以上の増加を記録しています。
よく混同される動物(ハクビシン・タヌキ)との見分け方は以下の通りです。
アライグマ: グレーや茶色の毛、長い尻尾にはっきりとした黒い縞模様があり、手先が非常に器用。
ハクビシン: 細長い体と、鼻筋に通った白い一本の線が特徴。
タヌキ: 全体的に丸みのある体型と、短く先の黒い尾が特徴。
なぜ東京で急激に増加しているのか?
そもそもアライグマは日本に生息していなかった外来生物です。1970年代にアニメの人気を受けてペットとして輸入されましたが、成長とともに気性が荒くなるため、多くが飼い主の手を離れ野外へ放たれました。その後、1980年代以降は各地で野生化し、2005年には特定外来生物に指定され、法的な防除が進められています。
東京の環境は彼らにとって住みやすく、「天敵のいない楽園」となっています。北米ではピューマや大型の猛禽類が数を抑えていますが、日本にはこのような捕食者が存在しません。
さらに問題となっているのは、その高い適応能力と繁殖力です。年に一度、1度の出産で3〜5頭の子を産み、メスは1歳で繁殖可能となります。雑食性で、人間の生活圏にあるものはほとんど何でも食べるため、生ごみ、果実、昆虫、小動物、鳥の卵までも口にします。しかも手先が器用なため、ゴミ箱の蓋を開けたり、複雑な仕組みの箱罠を見破ったりすることも珍しくありません。
住処となる場所も都市部に豊富です。東京には古い木造住宅や空き家、神社仏閣など、格好の寝床が多数存在するため、こうした建物の天井裏や床下に住み着いてしまいます。人目に付きにくい夜間に活動することで、都市部でも問題なく暮らせてしまうのです。
ただの迷惑では済まない3つのリスク
まず、住宅や経済面での被害が深刻です。天井裏に住み着くと、断熱材を食い破り、大きな音や悪臭、天井のシミや腐敗を引き起こします。同じ場所に糞尿をする「ため糞」の習性があり、これが建物の腐食やカビ、強い悪臭の原因となります。修繕費用や清掃コストも小さくありません。
次に、健康面でのリスクも見逃せません。アライグマはさまざまな人獣共通感染症(ズーノーシス)を媒介します。代表的なのはアライグマ回虫症で、誤って摂取すると、深刻な健康被害を引き起こす場合があります。その他にも、狂犬病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など、感染すると致命的な病気のリスクも指摘されています。さらに、体に寄生するマダニやノミが人やペットに被害を及ぼすこともあります。
生態系や農業分野への影響も無視できません。雑食性で、在来の野鳥の卵や両生類、果実、庭の金魚やペットまで捕食対象となります。家庭菜園のトマトやスイカ、池の金魚やメダカが突然姿を消したという事例も少なくありません。さらに、在来動物の生息域が奪われることで、生態系そのもののバランスが崩れるリスクも大きいのです。
家をターゲットにさせないための自己防衛
まず重要なのは、餌場を作らないことです。生ごみを夜間に屋外へ出さず、ペットフードの残りや庭の果実も片付けておくことが基本となります。一度味を覚えると、何度も同じ場所に現れる習性があります。
次に、家への侵入経路を遮断することが有効です。家の周囲にある通風口や屋根の隙間は、拳1個分の穴があれば侵入できます。金網や頑丈な資材でこうした隙間を塞ぎ、天井裏や床下への進入を防ぎましょう。
また、屋根に直接飛び移れるような庭木の枝がある場合は、剪定して足場をなくすことも効果的です。これにより、家屋への侵入を大きく制限できます。
学習能力が高い反面、警戒心が薄い一面も持っています。見慣れないものがあると近づきやすいため、防獣ネットやセンサーライトなどの設置も一定の抑制効果が期待できます。
正しい初期対応と専門家への頼り方
実際に見かけた場合、あるいは住み着かれてしまった場合、どのように対処すべきでしょうか。まず絶対にやってはいけないのは、かわいいからといって近づいたり、触れたり、エサをあげたりすることです。野生のアライグマは非常に攻撃的で、人間に対しても噛みついたり引っかいたりする危険があります。
また、法律上も注意が必要です。鳥獣保護管理法や外来生物法により、許可なく捕獲したり飼育したり、他の場所へ放すことは禁止されています。違反した場合、厳しい罰則が科せられることもあります。アライグマは特定外来生物に指定されているため、個人の判断で安易に対処するのは絶対に避けてください。
被害が発生した場合や発見した場合は、自治体の環境担当窓口、または専門の害獣駆除業者に相談することが最善です。自治体によっては、講習を受けることで特定の条件下で捕獲活動に参加できる場合もありますが、必ず法令やルールを守ることが求められます。
この問題は一人の努力だけでは解決しません。地域ぐるみでの連携と情報共有、そして正しい知識の普及が不可欠です。かわいらしいイメージに惑わされず、都市生活の安全を守るために、日常の行動を見直してみてはいかがでしょうか。


