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子供にスマホを持たせる前に知っておきたいこと――世界の規制と、家庭でできる現実的な対策
ビジョナリー編集部 2026/01/13
夢中でスマートフォンを触る子供の姿を、身近に感じるようになりました。小学生はもちろん、未就学児にとっても、スマホはすでに身近な存在になっています。
実はいま、世界では子供のスマホ利用をめぐる規制や見直しの動きが広がり、社会的な関心を集めています。その背景には、子供の成長や心身への影響を懸念する声と、近年の研究によって明らかになってきた事実があります。
本記事では、最新の研究結果や各国の動向を踏まえながら、子供とスマホの付き合い方について、親の立場から考えていきます。
スマホ利用がもたらす学力への影響
「勉強時間はしっかり確保しているのに、なぜか成績が伸びない」――こうした悩みを抱える家庭は少なくありません。実は、この背景にスマホの長時間利用が喚起している可能性があります。
国内の脳科学分野における大学研究では、平日に2時間以上スマホを使用する子供は、勉強時間が同程度でも成績が下がりやすいという驚くべき結果が明らかになりました。特に、学習中にSNSやゲームなど複数のアプリを“ながら使い”している子供ほど、集中力が散漫になり、主要4教科全ての成績が低下する傾向があると報告されています。
脳科学的には、人間の脳は複数のタスクを同時にこなす「マルチタスク」には向いていないとされています。実際には作業を切り替えるたびに脳がエネルギーを消耗し、結果として思考力や記憶力が大きく損なわれてしまうのです。アメリカの調査では、スマホユーザーは起きている間、平均して5分おきに端末をチェックしているというデータがあり、本人が気づかぬうちに集中力が断片化している現実が浮かび上がっています。
スマホが子供の“心”をむしばむ──メンタルヘルスへの影響
「スマホを持たせたことで、子供がイライラしやすくなった」「夜遅くまでSNSを見ていて、寝不足気味」。こうした親の声は珍しくありません。2025年に発表された国際研究では、13歳未満でスマホを所有した子供は、将来的に自殺念慮や自己肯定感の低下、現実感の喪失など深刻なメンタルリスクを抱える割合が顕著に高まると示されています。
特に女子は、SNS依存や比較意識が強まりやすく、一部の国際調査では、深刻な自殺念慮を経験した割合が高水準にのぼったという報告もあり、専門家の間で警鐘が鳴らされています。スマホを通じて、SNSの「いいね」やフォロワー数が自己価値に直結しやすく、感情のレジリエンス(回復力)や共感力の低下が深刻な社会課題となりつつあります。
乳幼児期の“スクリーン曝露”がもたらす発達リスク
生後から6歳頃までは、視覚や神経系の発達にとって極めて重要な時期です。小児眼科の専門医によれば、スマホ画面を長時間見続けることで、ピント調節や眼球運動の発達が阻害され、将来的な近視や斜視(いわゆるスマホ内斜視)のリスクが高まると指摘されています。
加えて、ブルーライトの長時間曝露が睡眠リズムを乱し、生活習慣の悪化を招くことも問題視されています。WHO(世界保健機関)も「2歳未満の子供のスクリーンタイムはゼロに、5歳までは1日1時間以内に」とガイドラインで強く警告しています。外遊びや身体を使った活動が、視覚や運動機能の発達に不可欠であることは、多くの研究で明らかになっています。
“スマホがあるだけで”低下する認知能力とコミュニケーション能力
さらに見逃せないのが、スマホが近くにあるだけで注意力や認知能力が下がるという現象です。アメリカの研究では、スマホを机に置いて作業したグループは、別室に置いたグループに比べてパフォーマンスが劣る結果となりました。スマホの存在そのものが脳のエネルギーを奪い、集中すべき課題への没入を妨げているのです。
また、家族や友人との対話中にスマホが目に入るだけで、会話の共感度や親密さが損なわれることも実証されています。
世界で加速する「子供のスマホ規制」
こうした影響を受けて、海外では子供のスマホ利用を巡る規制が急速に広がっています。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の調査によれば、2024年末時点で世界の約40%にあたる79の教育制度が、学校でのスマホやSNS利用を厳しく制限しています。
たとえばフランスでは、2018年から15歳以下の生徒の学校内スマホ利用を完全禁止。ハンガリーでは2024年9月から全国の学校でスマホ持ち込みが禁止され、韓国でも2026年から生徒は登校時にスマホを教師に預ける仕組みが導入されます。オーストラリアでは、16歳未満のSNSアクセス自体が法律で禁じられるなど、規制のレベルは年々強化されています。
これらの国では、タバコやアルコールと同様に、スマホも「子供の脳や心を蝕むリスク商品」とみなし、社会全体で子供を守る仕組み作りが進められているのです。
規制の効果は?実際に変わる子供たちの“日常”
スマホフリー(持ち込みゼロ)政策を導入した学校や地域では、わずか1学期で生徒の学力や幸福度が目に見えて改善したという事例が報告されています。
たとえばアイルランドの8つの学校共同体では、全校生徒のスマホ所持をゼロにしたことで、不安レベルが大幅に低下し、友人とのリアルな交流や身体活動が増加しました。ハンガリーでも、教室と家庭でのスクリーンタイムを減らすことで、生徒・保護者・教師の幸福度が向上し、いじめの減少や集中力の向上といった成果が現れています。
それでも“スマホ禁止”だけが答えではない
一方で、すべての専門家が「全面禁止」を推奨しているわけではありません。現代社会でデジタルスキルは不可欠ですし、経済的に恵まれない家庭にとっては、学校が唯一のITアクセスの場となる場合もあります。
また、日本のように共働き家庭が多く、通学や防災面での連絡手段としてスマホが必要な地域も少なくありません。規制を強化すればするほど、デジタル格差や社会的孤立の問題も浮き彫りになります。
そこで近年注目されているのが、「デジタルリテラシー教育」と「段階的な利用制限」の組み合わせです。年齢や家庭状況に応じて、親子でルールを決め、ネットの危険性やマナーを繰り返し伝えることが、より現実的な解決策と考えられています。
親ができる対策
では、スマホ社会を生きる子供たちを親としてどう守ればよいのでしょうか。専門家が推奨するポイントを4つご紹介します。
まず、アプリの利用履歴やメッセージ、スクリーンタイムを親が定期的に確認し、使用ルールを年齢に合わせて段階的に設定することが大切です。禁止だけではなく、「なぜそのルールが必要なのか」を話し合う時間を作りましょう。
次に、ネット上のやりとりの危険性、個人情報の管理や誹謗中傷への対処法など、デジタルリテラシー教育を家庭で実践することが重要です。困ったときに「親に相談できる」関係性を築くことが、被害防止の決め手になります。
SNSの利用開始年齢はできるだけ遅らせ、使用開始時には必ず親子でガイドラインを確認しましょう。特に女子はSNSの影響を受けやすいため、慎重な対応が求められます。
最後に、「連絡手段が必要」という場合は、フル機能のスマホではなく、GPS付きのスマートウォッチやガラケーなど、段階的な端末選びも検討してみてください。
何より大切なのは、親自身のスマホ利用態度です。子供は、大人がどのようにスマホと付き合っているかを驚くほどよく見ています。食事や会話の時間はスマホを片付け、人とのリアルな対話を大切にする――その姿こそが、子供にとって最良の“お手本”となるはずです。
まとめ
世界では既に、科学的根拠に基づく規制と教育、そして社会的合意形成が進みつつあります。日本でも、家庭・学校・行政が一体となった「バランスの取れたデジタル環境」の構築が急務だと言えます。スマホやSNSの便利さとリスク、両方を正しく理解し、子供たちの未来を守るために、いま大人が真剣に向き合う時が来ているのではないでしょうか。 「便利だから」「みんなが持っているから」と安易にスマホを渡すのではなく、一人ひとりの子供の成長や心の健康を守る視点を大切に。今日からできることから、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
※ 記事内の情報は2026年1月時点のものです


