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2026

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    アメリカの感謝祭とブラックフライデー その歴史と現代社会への影響

    アメリカの感謝祭とブラックフライデー その歴史と現代社会への影響

     アメリカでは、11月の4週目になると街の空気ががらりと変わります。
    家族が集う「感謝祭」、そして翌日の大セール「ブラックフライデー」。
    温かさと熱狂が続けざまに訪れる、この国独特の“ホリデーシーズン”です。

     この2つのイベントは、どのようにして生まれ、ここまで広まり、私たちの生活にも影響を与える存在になったのでしょうか。

     本記事では、感謝祭の歴史からブラックフライデーの誕生、そして世界的な広がりまでを、コンパクトにわかりやすく紹介します。

    感謝祭

     400年ほど前、イギリスから新天地であるアメリカを目指した一団(ピルグリム)は、慣れない土地で作物も思うように育たず、最初の冬だけで半数が命を落としたといいます。

     そんな彼らを救ったのが、英語を少し話せる先住民の存在でした。トウモロコシの育て方や森林での狩猟、魚の釣り方など、生き抜く術を一つひとつ教わり、ピルグリムたちはようやく新しい土地での生活に適応できるようになります。また、彼らも先住民を敵対する部族から守ることで、お互いに助け合うようになります。

     収穫の秋、豊作を祝ってピルグリムたちは先住民を招き、3日間にわたる盛大な祝宴を開催しました。これが「最初の感謝祭」と呼ばれる出来事です。

     感謝祭は長らく地方の祭事として細々と受け継がれてきましたが、国家的な祝日へと昇格したのは南北戦争下の1863年、エイブラハム・リンカーン大統領による宣言がきっかけです。サラ・ジョセファ・ヘイルの熱心な働きかけもあり、南北戦争で分断された国民をひとつにしようという願いが込められていました。そして1941年に、現在のような連邦祝日として法的に定められました。いまや感謝祭は、家族や友人が遠方からも集まり、伝統料理に舌鼓を打ちながら、日々の恵みやつながりに感謝する日として定着し、七面鳥のロースト、パンプキンパイ、クランベリーソースなど、収穫の象徴的な食卓が並びます。

     近年は社会的な「分かち合い」の精神も重視され、慈善団体による炊き出しや、恵まれない人々への食料提供も広まっています。

    ブラックフライデー

     1950年代、感謝祭の翌日は休むことが定着しつつあり、買い物客が一斉に街へ繰り出し、身動きが取れないほどの大混雑となっていました。

     警察官にとっては休みが取れないほどの激務となり、感謝祭が11月の第4木曜日と決まっているため、その翌日(金曜日)は「最悪の金曜日(ブラックフライデー)」と揶揄されるようになったのです。

     しかし、この呼び名は、徐々にポジティブな意味合いへと転換されていきます。

     1980年代、地元紙が「小売業者が黒字になる日」と解釈したことで、「ブラックフライデー=黒字の金曜日」というイメージが定着しました。今では、感謝祭が終わるやいなや、全米の小売店がこぞって大規模な値下げセールを実施します。

     夜明け前から店舗前に長蛇の列ができ、人気商品を巡って“争奪戦”が繰り広げられる様子は、毎年ニュースでもお馴染みです。このタイミングで売上のピークを迎えることから、ブラックフライデーは「年末商戦」のスタートラインとも言える存在となりました。

     消費者にとっては、クリスマスプレゼントや冬の買い物をお得に済ませられる絶好の機会であり、企業側も、年間売上の多くをこの数日間で稼ぐという、まさに“勝負どころ”なのです。

    変わりゆく祝祭のかたち

     2000年代に入り、インターネット通販の普及とともに「サイバーマンデー」が登場します。これは、感謝祭の翌週月曜日にオンラインショップで開催される大規模セールのことで、2005年に全米小売業協会が“仕掛け人”となって誕生しました。

     インターネット通販が広がり、実店舗を避けて自宅でゆっくりショッピングを楽しむ消費者が増えたことで、サイバーマンデーの売上規模も年々拡大しています。

     近年ではブラックフライデーとサイバーマンデーが“融合”し、週末から翌週にかけて「サイバーウィークセール」と呼ばれるロングセールを展開する企業も増えています。

     また、ブラックフライデーの拡大とともに、「スモールビジネス・サタデー(地元企業応援の日)」や「ギビング・チューズデー(寄付の日)」といった新たな祝祭も生まれました。大手小売りだけでなく地域経済や社会貢献にも目を向けようという時代の変化を反映しています。

    世界に広がるブラックフライデー

    日本における“ブラックフライデー”

     日本では2014年にトイザらスが初導入し、その後イオングループ、ユニクロ、楽天など大手企業が一斉に参入することで、一気に認知度が高まりました。アメリカとは異なり、日本では「勤労感謝の日」と絡めて1週間ほど早めにセールが始まることも特徴です。長期間のセールを展開する企業が増えており、年末商戦の新たな定番となっています。

    世界各国での広がりとローカライズ

     イギリスではクリスマス翌日の「ボクシングデー」セールが本来の伝統ですが、その約1か月前からブラックフライデーが始まり、今や90億ポンド規模の市場に成長しています。

     フランスやドイツ、オーストラリアでも徐々に浸透し、特にドイツではApple社が2006年に導入したことをきっかけに、多くの企業が「ブラックフライデーウィーク」として1週間規模のセールを行っています。

     中国では、11月11日の独身の日に大規模なセールイベントをしており、時期が近いこともありブラックフライデーはあまり浸透していません。韓国では政府主導の「コリアセールフェスタ」がブラックフライデーの役割を担っています。

    まとめ

     感謝祭は“感謝と分かち合い”を、ブラックフライデーは“経済と活気”を象徴しています。それぞれの背景にある価値観を知ることで、この季節がより豊かに感じられるはずです。

     これからのシーズンに向けて、何に感謝し、どのような買い物をするのか——ぜひ、考えてみてはいかがでしょうか。

    #ブラックフライデー#ブラックフライデーセール#サイバーマンデー#感謝祭#サンクスギビング#年末セール#世界のイベント#アメリカ文化

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