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東京を「世界一のクリエイティブ都市」へ。9エリアが連携する『東京クリエイティブサロン 2026』開幕。主催者・都知事らが語った未来への布石
ビジョナリー編集部 2026/03/23
2026年3月13日、東京の春を彩る国内最大級のクリエイティブの祭典『東京クリエイティブサロン 2026(TCS 2026)』が開幕した。桜の季節、都内9エリアが一体となってファッションやアートを発信するこの巨大プロジェクトは、どのようなビジョンのもとに動き出したのか。熱気あふれるオープニングセレモニーのもようをレポートする。
主催者挨拶:大西会長が語る「ハードとソフトの融合」による都市づくり
会は、東京クリエイティブサロン実行委員会の大西 洋会長による主催者挨拶で幕を開けた。大西会長は、2020年の立ち上げから続く本プロジェクトの意義を、現在の都市開発が抱える課題と絡めて力強く語った。
「東京は世界から注目される都市であることに違いありません。ただ、ここ10年ほど都内の開発を見ていると、決して悪いことではありませんが、あまりにも『ハード』が先行しているのではないかと常々感じておりました」
大西会長は、ニューヨークやパリといった世界を代表する都市と比肩(ひけん)するためには、建物(ハード)だけでなく、アートやファッションといった「ソフト」のプレゼンテーションが不可欠であると説く。
「ソフト面での感性価値が。本年のテーマ『FUTURE VINTAGE(フューチャーヴィンテージ)』には、不透明な時代だからこそ、過去の文化をベースにしながらイノベーティブな未来を創り上げたいという思いを込めています」
▲「『さすが東京だ』と言われるものをご提案していきたい」と語ったTCS2026実行委員会会長・大西洋氏
杉山統括ディレクターが説く「9エリアの連携」
続いて、本プロジェクトの統括ディレクターを務める杉山央(すぎやま おう)氏より、具体的な開催概要が紹介された。杉山氏は、不動産デベロッパー出身の知見を活かし、異なる文化圏を持つエリア同士が連携する価値を強調した。
「私が感銘を受けたのは、それぞれのエリアのデベロッパーの方々が争い合うのではなく、に連携してプロセスをともにしている点です。この対話そのものがTCSの最大の成果です」
杉山氏は、全9エリアの展開を紹介しつつ、今年の大きな目玉である新宿エリアでの「自主イベント」についても詳細を明かした。
「一つは新宿の住友ビル三角広場で行う『東京トレイルズ』。一組のデザイナーに焦点を当て、彼らが東京からどんな影響を受けてものづくりにつなげてきたかを可視化します。もう一つは、世界初の試みとなる『東京ヴィンテージファッションウィーク』です。約100店舗のブースが並び、来場者が実際に参加し、購入し、交流できる新しい場を提示しています」
▲「東京という一つの『人格』をつくるための対話に感銘を受けた」と語った統括ディレクター・杉山央氏
スペシャルトークセッション:本田翼×大西会長「東京の創造力をどう定義するか」
次に、スペシャルゲストの女優・本田翼さんが登壇し、大西会長とのトークセッションが行われた。ここでは、大西会長が本年のテーマと東京の未来について、より踏み込んだ持論を展開した。
――テーマ「フューチャーヴィンテージ」に込められた想い
大西会長: 「今、世界は混迷の時代にあり、未来が見出しにくい環境にあります。その時にベースとなるのは、やはり過去に作られてきた文化的価値や東京の歴史です。それを『ヴィンテージ』と表現しました。ただ過去をそのまま持っていくのではなく、そこに新しい価値を加えてイノベーティブな未来を創り上げる。それが『FUTURE VINTAGE(フューチャーヴィンテージ)』に込めた願いです」
本田さん: 「ヴィンテージがあるから未来があって、またそれがヴィンテージになっていく。その循環が腑に落ちました」
――世界に誇れる「東京の創造力」とは?
大西会長: 「歴史的に見れば、日本や東京の『ゼロから物を作り上げていく創造力』は世界で高く評価されています。ただ、未来に向けてはそれだけでは足りない。ファッションの創造力において、例えばパリやミラノに勝てない部分があるならば、圧倒的に違った文化的価値を創造していく。ニューヨークやロンドンとも違う、東京ならではの付加価値をどうつけるかが今後のキーになるでしょう」
本田さん: 「私は、日本全体が使いやすく便利で清潔になっていると感じます。ファッションにおいても、実用面での『人に寄り添っている進化』。この創造力は世界に誇れる点ではないでしょうか」
――東京らしさを感じる注目のエリア
トークセッションの終盤、フリップによるエリア紹介では、大西会長はあえて9エリア外の 「上野周辺」 を挙げた。
大西会長: 「東京は多様性の街です。港区や渋谷の高層ビル群は、ある意味でハードがトゥーマッチ(過剰)な状態。一方で上野や浅草といった下町には、古くからの文化や歴史が息づき、そこから若いアーティストや新しい街づくりが生まれています。美術館とキャラクターのコラボなど、これこそが東京の多様性を象徴する姿ではないでしょうか」
▲大いに盛り上がった本田翼さんと実行委員会会長・大西洋氏とのトークセッション
祝辞:小池百合子都知事が期待する「ファッション都市・東京」の確立
式典の終盤には、東京都の小池百合子知事のビデオメッセージを放映。祝辞とともに、東京のプレゼンス向上への期待を語った。
「東京クリエイティブサロンは7年前に始まり、コロナ禍という困難を乗り越えながら工夫と挑戦を重ね、今なお進化を遂げております。東京の街が桜色に染まるこの季節に、ファッションをはじめとする東京のクリエイティブの魅力が世界に発信されるシーンを、多くの方が心待ちにされています」
小池知事は、インバウンド需要が高まる現状を好機と捉え、各エリアの個性を活かした発信が東京を世界に誇るファッション都市へと押し上げていくと確信を込めて述べた。
「ファッションによる世界平和」を目指して
セレモニー後には祝賀会が開催され、乾杯の音頭をとったのは、実行委員会の廣内武顧問。廣内顧問は、ファッションが持つ根源的な力を熱く語り、会場を一つにまとめた。
「ファッションは人々の生活に潤いと彩りをもたらし、生きる喜び、前に進もうという意欲をかき立ててくれます。東京からファッションを発信することで、世界の平和に貢献できることを願っております」
最後には「喉が渇きましたので、話はこれで終わります」とユーモアを交えて締めくくり、廣内顧問の力強い発声とともに、10日間の祭典の成功を祝して会場全体で杯を交わした。
▶「東京クリエイティブサロン 2026」を主催する実行委員会会長 大西 洋氏の半生を綴った連載記事「原石からダイヤへ」はこちら


