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2026

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    あなたの周りにも?「香害」という知られざる悩み

    あなたの周りにも?「香害」という知られざる悩み

    日々の生活で、「なんだか体調が優れない」と感じたことはありませんか。もしかすると、その原因が身近な“香り”にあるかもしれません。最近、「香害(こうがい)」という言葉が広まってきています。しかし、まだ多くの方にとっては馴染みのない言葉かもしれません。

    意外にも、香りが引き起こす健康への影響は、まだ十分に理解されていない分野です。今回は、香害とは何か、そして私たちができる対策などを一緒に見ていきましょう。

    香害とは何か

    「香害」とは、私たちの身の回りに存在する、柔軟剤や洗濯用洗剤、香水、消臭剤、さらにはシャンプーや制汗剤など、人工的な香りを持つさまざまな製品によって、心身の不調が引き起こされる現象を指します。

    実際に現れる症状は多岐にわたります。頭痛やめまい、肌荒れ、吐き気、呼吸のしづらさ、喉や目の痛み、さらには集中力の低下や気分の落ち込みまで、個人によってさまざまです。これらはアレルギー反応とは異なり、医学的な検査でも原因が掴めない場合が少なくありません。そのため、周囲の理解を得られずに悩んでいる方もいます。

    また、大人だけでなく、学校生活を送る子どもたちにも香害による体調不良が広がっています。日本臨床環境医学会の全国調査では、中学生以下の8%以上が香りにより不調を感じた経験があると報告されています。

    香り製品の技術進化によって、かつては数時間で消えていた香りが、いまや一日中持続したり、空気中や衣服に長く残るようになっています。このことも、香害の拡大に寄与しているのです。

    化学物質過敏症との関係

    香害は、「化学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう)」という疾患とも深く関係しています。化学物質過敏症とは、日常的に触れるさまざまな化学物質に少しずつ、あるいはある日突然、身体が強く反応するようになり、微量であっても頭痛や吐き気、倦怠感、心身の不調が現れる状態です。

    この病態は、かつてはシックハウス症候群(新築やリフォーム直後の建物で発症する症状)が話題となりましたが、最近では主な原因が芳香剤や柔軟剤、香水など人工的な香りを放つ製品に移りつつあります。

    発症のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、神経系や自律神経への影響が指摘されています。特に、もともと健康だった人が、ある日を境に突然発症するケースも多くあります。

    さらに、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー体質を持つ人は、化学物質過敏症を発症しやすい傾向があるといわれています。最新の日本国内の調査によれば、人口の7%強が化学物質過敏症の症状を持つと推定されており、その数はおよそ100万人以上にも上るとみられます。

    また、コロナ禍以降は、抗菌・除菌グッズやアルコール消毒液などの使用が急増し、それが新たな原因物質となっている現状もあります。

    本人ができる香害対策

    香害による体調不良を感じた場合、どのような対策が考えられるのでしょうか。現状では、根本的な治療法や確実な予防策は確立されていません。そのため、まず最優先すべきは「できるだけ原因となる香り製品から距離を取る」ことです。

    たとえば、無香料や香りの少ない洗剤・柔軟剤・シャンプーなどに切り替えることが有効です。また、外出する際は高性能のマスクを着用したり、混雑する場所や密閉空間を避けることも有効です。

    加えて、職場や学校に事情を説明し、必要に応じてリモートワークや時差通勤など柔軟な対応をお願いすることも大切です。実際、症状が重い方の中には、出社時間をずらしたり、マスクの上からハンカチで香りを遮断したりと、さまざまな工夫を重ねています。

    ただし、香害はまだ社会全体の理解が十分に進んでいないため、本人が声を上げづらい現実があります。それでも、健康を守るためには周囲に自分の状況を伝え、少しずつ対話を重ねていくことが大切です。また、体調不良が長引く場合や日常生活に支障が生じている場合は、化学物質過敏症に対応した医療機関を受診し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。

    周囲ができる配慮

    問題の解決には、他人への「配慮」がかかせません。自分では良いと思って使っている柔軟剤や香水、消臭剤などが思わぬ形で人の健康を害することがあります。

    大切なのは、「自分が心地よい香り」と思っているものが、他の人にとっては苦痛や体調不良の引き金になる可能性があると知ることです。

    例えば、家族や同僚が悩んでいる場合、香り付き製品の使用を控えたり、無香料の商品に切り替えることができるでしょう。職場や学校での柔軟な対応も、当事者にとっては大きな救いとなります。

    また、自治体や企業が啓発活動を進めており、公共の場では「フレグランスフリー(無香料)」の意識が広がりつつあります。図書館や病院、電車など多くの人が利用する場所では、とくに周囲への配慮が求められます。

    周囲の理解が進むことで、香害に悩む方々が孤立せずに安心して暮らせる社会が実現します。これは、誰もが快適で健康的な生活を送るための第一歩です。

    まとめ

    香害は、目に見えないからこそ気づきにくい問題ですが、多くの人の健康や生活に影響を及ぼしています。そして「お互いの立場を想像し、思いやること」がこれまで以上に重要になっています。

    自分自身や身近な人の健康を守るため、日常的に使う製品を見直したり、無香料の選択肢を意識するだけでも、香害のリスクは大きく減らせます。また、困っている人がいたら「気のせい」と片付けず、きちんと耳を傾けることから始めてみてください。

    「香り」は、心地よさやリラックスをもたらす一方で、時には健康を脅かす存在にもなります。社会全体で理解が深まれば、誰もが安心して暮らせる未来がきっと訪れるはずです。

    #香害#化学物質過敏症#フレグランスフリー#無香料#柔軟剤#香水#健康被害#体調不良#アレルギー#健康リスク

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