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移住・子育て支援の聖地!大分県「豊後高田市」が奇跡を起こした理由
ビジョナリー編集部 2026/04/23
多くの自治体が人口減少という出口の見えない課題に直面する中、鉄道もない大分県北東部の小さな町が、全国から「異例の成功例」として注目を浴びています。それが、豊後高田市です。近年、移住に関する自治体ランキングにおいて、全世代・若者・子育て・シニアの全部門で1位を獲得し、数年連続で日本一という前人未到の快挙を成し遂げました。この町がいかにして「選ばれる街」へと変貌を遂げたのか、その歩みを紐解きます。
消滅可能性自治体としての危機と人口衰退の経緯
この地域がかつて直面していたのは、目を背けたくなるほど厳しい現実でした。高度経済成長期から平成初期にかけて、若者の都市部への流出と少子高齢化に歯止めがかからず、かつての賑わいは失われる一方でした。
特に2000年代以降、産業の衰退とともに「このままでは町がなくなってしまう」という危機感は日増しに強まりました。2014年には、民間の研究機関の調査において、存続が危ぶまれる「消滅可能性自治体」のひとつとして名を連ねる事態となったのです。
当時は、鉄道が通っていないという交通上の不利も重なり、将来への希望を見出しにくい閉塞感が漂っていました。まさに「崖っぷち」とも言える状況の中で、街の存続をかけた大きな転換点を迎えることになります。
市長の決意と「異次元」の大規模改革
この停滞を打ち破ったのが、2017年に就任した佐々木市長による大規模な改革でした。当時すでに80代を迎えていた市長は、民間企業での経験を活かし「現状を打破するには常識を覆す投資が必要だ」と決断。まず着手したのは、子育て世代の経済的負担を徹底的にゼロにすることでした。
「教育に隔たりを作らない」という強い信念のもと、0歳から高校卒業までの保育料、授業料、医療費、さらには給食費までもが完全に無料化されました。また、移住者向けに100坪もの住宅用地を無償提供する「定住促進無償宅地」制度など、他の自治体では類を見ない大胆な施策を次々と打ち出したのです。こうした施策を支える財源は、ふるさと納税の戦略的活用や徹底した行政コストの削減によって安定的に確保されました。
劇的な成果と移住者が語る街の魅力
これらの改革は、数字として劇的な成果をもたらしました。2017年以降の8年間で、人口の1割強にあたる2,500人以上が市外から流入。転入者が転出者を上回る「社会増」を継続し、ついに消滅可能性自治体リストからの脱却を果たしました。
実際に移住してきた人々からは、「広い庭で子どもがのびのびと遊び、家庭菜園を楽しめる環境は都会では考えられなかった」という声や、「給食費まで無料という手厚い支援のおかげで、将来への不安が消えた」といった喜びの声があがっています。また、地元出身の母親たちが相談役となる「花っこルーム」などの拠点が、新しい住民を温かく迎え入れ、地域での孤立を防いでいます。観光面でも「昭和の町」などの資源を磨き直したことで訪問者が急増し、街全体に再び活気が戻っています。
私たちが学ぶべきこと
豊後高田市の挑戦が教えてくれるのは、たとえ特別な資源がなくとも、現場の声に基づいた「本気の取り組み」があれば未来は変えられるということです。単なる制度の充実だけでなく、行政と住民が一体となって新しい仲間を「自分ごと」として迎える姿勢こそが、街を再生させる真の原動力となりました。
人口減少という大きな壁に対し、「やればできる」という強いメッセージを発信し続けるこの町の歩みは、これからの日本における地方創生の新たな指針となるでしょう。知恵と情熱を注ぎ、優先順位を明確に定めて改革を進めること。その積み重ねが、社会の未来を切り拓く鍵となるのです。


