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「呪い」と伝説に彩られた都心の聖地――大手町・将門塚の謎と歴史
ビジョナリー編集部 2025/12/02
東京・大手町。日本のビジネスの中心地として高層ビル群が林立するこのエリアに、緑に囲まれた一角があることをご存知でしょうか。
その名も「将門塚」。
日々忙しく行き交うビジネスマンや観光客の間に、不思議と静かな空気が流れるこの場所は、東京都指定の史跡でありながら、数々の伝説と“呪い”の噂が絶えません。
今回の記事では、将門塚の地名の由来から、現代にまで続く伝承、そして“呪い”と呼ばれる理由までを解説いたします。
将門塚とは?
将門塚は、10世紀の武将・平将門の首を祀った塚として知られています。平将門は平安時代中期、関東で民衆に慕われながらも、朝廷に反旗を翻し「新皇」を名乗った人物です。
その生涯は、親族間の争いから始まり、最終的には関東八か国を制圧するまでに至りました。しかし、940年(天慶3年)、藤原秀郷・平貞盛らとの戦いに敗れ、命を落とします。
その首は都・平安京の七条河原で晒されたものの、首は何日経っても腐らず、夜な夜な「胴体を連れて来い、もう一度戦おう」と叫び続けたと伝えられています。 そしてある夜、将門の首は白い光を放ち、関東の空へと飛び去って行ったというのです。
江戸に戻った将門の“首”
伝説によれば、飛んでいった首が落ちたのが、現在の千代田区大手町でした。この地に住む人々は恐れおののき、将門の首を埋葬して塚を築きました。これが「将門塚」の始まりです。
また、将門の体が落ちた場所が「神田」、首が落ちたのが現在の将門塚(大手町)という説も残っており、地名そのものが平将門の伝説に根ざしていることが分かります。
なぜ“呪われている”と言われるのか?
将門塚にまつわる“呪い”や“祟り”の伝説は、実際に起きた事件や不可解な出来事が積み重なり、「この地を動かしてはならない」という暗黙のルールが現代まで続いています。
祟りの始まり——度重なる天変地異
将門塚が築かれた後、13世紀には塚が荒廃し、周辺で水害や不審な事故が相次ぎました。人々は「これは将門の怨霊の祟りだ」と恐れ、再び丁重な供養が行われることになります。
1307年には時宗の僧・真教上人が「蓮阿弥陀仏」の法号を贈り、板石塔婆を建てて手厚く供養。これにより、ようやく将門の霊が鎮まったと伝えられています。
時代を超えて続く怪異——近代の事件
驚くべきことに、将門塚の「祟り」は近代以降も語り継がれています。
- 関東大震災後(1923年)
震災で倒壊した首塚跡地に、旧大蔵省が庁舎を建てようとしたところ、工事関係者や職員に不幸が続出。さらには落雷による火災、大蔵大臣の急死などが相次ぎました。最終的に庁舎は取り壊され、塚は復元されることになります。 - 戦後(1945年以降)
戦後、GHQがこの地に駐車場を整備しようと工事を始めた際、ブルドーザーが転倒し運転手が死亡する事故が起きました。これを受けて工事計画は白紙となり、塚は再び守られる形となったのです。
現代の「パワースポット」としての将門塚
カエル像の意味:無事「帰る」願いを込めて
カエルの像は、将門の首が京都から江戸へ“帰ってきた”伝承になぞらえ、「出張や転勤などで遠くへ行く人が、無事に本社へ“帰る”」ことを願って奉納されるようになりました。
1980年代には、海外支店長の無事帰還を祈って奉納されたカエル像が話題となり、以来ビジネス街・大手町ならではの祈願スポットにもなっています。
神事と伝統行事
また、将門塚はもともと「神田明神」の創建地とも伝わります。神田明神は、東京の総鎮守として知られ、将門命を祭神の一柱とし、将門塚の保存や供養の神事を今も執り行っています。
毎年2月14日には将門の命日法要が行われ、5月には大神輿が塚の周囲を練り歩くなど、1000年以上続く伝統が今も息づいているのです。
平将門の人物像
将門は、しばしば“朝敵”“逆賊”というイメージで語られますが、実際には関東の民衆から厚く慕われた英雄でもありました。
朝廷の横暴な支配や重税に苦しむ人々を救おうと立ち上がり、時に米を分け与え、地方の自治や政治改革に尽力した記録も残っています。
また江戸時代には、徳川家康の側近・南光坊天海が、江戸幕府の守護のために将門の霊力を活用したと伝わり、「江戸の守り神」として将門を祀る神社が都内各地に点在しています。
まとめ
1000年を超えて語り継がれる将門塚。
そこには、祟りや呪いへの恐れだけではなく、「故郷への想い」「大切なものを守る意思」「人々の信仰と畏敬の念」が込められています。
現代のコンクリートジャングルにぽっかりと空いたこの空間は、歴史の重みと人間の想いが交錯する、唯一無二のパワースポットなのです。
もし大手町を訪れることがあれば、ぜひ一度将門塚に足を運んでみてください。


