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大好きな家族を安心して送り出すために。ペット葬の基礎知識
ビジョナリー編集部 2025/12/08
ペットとの別れは、想像以上に深く心を揺らす出来事です。かつて”飼う”存在だったペットは、今や”共に暮らす家族”へ。「家族の一員」として人と同じような葬儀を望む声も増えています。
この記事では、ペット葬の主な種類や流れ、費用相場、選び方のポイントまでわかりやすく解説します。大切な家族を後悔なく見送るための参考にしてください。
※ 記事内の金額は2025年11月時点のものです。実際の料金に関しては公式のサイトやお問い合わせなどで確認をしてください。
ペット葬が増える背景
- ペット=家族という価値観の変化
長生きするペットが増え、日々の生活に欠かせない存在になりました。少子高齢化や単身世帯の増加のなかで、ペットは“心の支え”であり、“もうひとつの家族”。「ペットロス」という言葉が一般化したのも、ペットへの愛情がこれまで以上に深くなった証しです。 - 住環境や社会の変化
マンション住まいの家庭の増加などで、「庭に埋める」という選択肢が取りにくくなりました。
さらに、ペット霊園や訪問葬儀等、供養や埋葬に対する情報やサービスも多様化し、選択肢が増えたことも大きな要因です。
ペット葬にはどんな種類があるのか?
ペット葬儀は大きく分けて「火葬」と「土葬」に分かれます。ここでは最も利用されている火葬を中心に、具体的な葬儀の種類を解説します。
火葬(合同葬・個別葬・立会葬)
合同葬(ごうどうそう)
ペットをまとめて火葬する方法です。
特徴とメリット・デメリット
- 費用を抑えられる(1万円台~)
- 他のペットと一緒に見送れる温かさ
- 遺骨が戻らない(お骨上げ不可)
「費用を抑えつつもしっかり供養したい」「他のペットと一緒に眠ってほしい」という方に選ばれています。自治体の火葬サービスも多くがこのスタイルです。
個別葬(こべつそう)
1体ずつ火葬し、遺骨を家族のもとへ返す方法です。
特徴とメリット・デメリット:
- お骨を手元に残せる
- 最後まで見送ることができる
- 合同葬よりも費用が高い(2万円~5万円程度)
「うちの子だけを静かに見送りたい」「お骨を自宅に保管したい・納骨したい」という方に最適です。
立会葬(たちあいそう)
家族が火葬に立ち会い、お別れのセレモニーや収骨まで行えるプランです。
特徴とメリット・デメリット:
- 人の葬儀と同じような手厚い見送りが可能
- 費用は最も高額(3万円~8万円程度)
- セレモニーやお焼香、僧侶の読経も選択可能
「家族全員で最後まで見送りたい」「思い出をしっかり残したい」というご家庭に選ばれています。
【コラム:移動火葬車って何?】
最近増えているのが「移動火葬車」を使ったサービスです。葬儀社が自宅まで専用車で来てくれ、その場で火葬や簡易葬儀が行えます。
「慣れ親しんだ家の近くで送り出したい」「遠方の霊園まで行けない」という方に好評です。
土葬(どそう)
自宅の庭などに直接埋める方法です。
ポイント
- 法律上、自宅敷地内なら埋葬は可能
- 衛生面や近隣配慮、埋葬の深さ(最低でも50cm以上)に注意
「自然に還ってほしい」という方が今も選ぶことがあります。
ペット葬の流れ
具体的な流れを知っておくことで、納得のいく見送りができます。
ペット葬の一般的な流れ
1. 安置と準備
- 亡くなったあとは、清潔なタオルや棺に安置
- 夏場は保冷剤やドライアイスで冷やし、腐敗を防ぐ
- 手足を自然な姿勢に整える
2. 葬儀社・火葬場へ連絡
- 希望の方法(合同・個別・立会い)を伝える
- プランや費用、引き取り方法などを相談
3. お迎え・搬送
- 移動火葬車の場合は自宅前で火葬
- 霊園や火葬場まで送迎してもらうことも多い
4. お別れ・火葬
- 立会プランではお別れのセレモニーや読経も可能
- 火葬後、合同葬なら共同墓地へ埋葬、個別葬なら返骨
5. 納骨・供養
- 共同墓地や納骨堂、自宅供養などを選択
費用の目安
ペット葬儀の費用は「方法」「ペットの大きさ」「オプション」によって大きく変わります。
火葬費用の一般的な相場
※あくまで目安です。業者・地域・プランによって変動します。
- 小動物(1kg未満)
合同葬:8,000円~、個別葬:15,000円~、立会葬:20,000円~ - 猫・小型犬(5kg以下)
合同葬:15,000円~、個別葬:20,000円~、立会葬:35,000円~ - 中型犬(25kg以下)
合同葬:20,000円~、個別葬:25,000円~、立会葬:40,000円~ - 大型犬(25kg以上)
合同葬:40,000円~、個別葬:45,000円~、立会葬:55,000円~
供養・納骨の費用
- 共同供養塔や合同墓地:1万~3万円
- 個別納骨堂や墓地:1万円~(年間維持費別途)
- 自宅供養用骨壺や仏壇:数千円~
【ワンポイント】
自治体の葬儀サービスは費用が格安(1,000円~3,000円)ですが、返骨不可・埋葬場所が選べない場合が多いので注意が必要です。
どこに依頼すればいい?
自治体の葬儀サービス
- とにかく安価
- 合同火葬・共同墓地が基本
- お骨は戻らないケースがほとんど
民間のペット葬儀社・霊園
- 多様なプランとオプション(個別、立会、セレモニー等)
- お骨の返却、納骨堂・墓地も選択可能
- 対応が丁寧、希望に合わせやすい
【選び方のポイント】
- 家族でどんな見送り方をしたいか、事前に話し合う
- 口コミや実績、スタッフの対応を確認
- 希望のプラン・費用を明確にして見積もりを取る
供養の方法も多様化――遺骨をどうする?
ペットの遺骨の供養方法は、家族の想いによってさまざまです。
- 合同墓地・共同供養塔に納骨
- 個別の納骨堂や墓地に納骨
- 自宅で骨壺や仏壇に保管
- 遺骨アクセサリーやメモリアルグッズに加工
最近は「人と一緒に入れるお墓」や「樹木葬」など、ペットと家族が共に眠れる新しい形の墓地も登場しています。
「うちの子にぴったりの供養の形は?」と迷ったら、複数の霊園や葬儀社に相談してみるとよいでしょう。
お別れにあたって注意したいこと
- 家族の意見をすり合わせて決める
最後の見送り方は、家族ごとに希望が異なる場合も。十分に話し合い、納得できる方法を選びましょう。 - 火葬時に棺に入れるものは要確認
お花や写真、好きだったおやつなどはOKでも、缶詰やプラスチック製品はNGの場合が多いです。事前に業者へ確認しましょう。 - 大型ペットは火葬できる場所が限られる
体重や体長によっては自治体での火葬ができないことも。事前に相談が必要です。 - 犬の場合は死亡届の提出を忘れずに
登録済みの犬は、死亡後30日以内に自治体へ届け出が必要です。マイクロチップの情報変更もお忘れなく。
まとめ
ペット葬には「正解」も「形式」もありません。大切なのは、家族の納得と、ペットへの感謝の気持ちです。
- どんな形でも「うちの子らしい」送り方を選ぶ
- 事前に情報を集めて、迷わないようにする
- 費用や流れも確認し、心の準備をしておく
「最期まで家族として見送りたい」
そんな想いに応える選択肢が、いまはたくさんあります。愛するペットとのお別れに後悔がないように、事前に準備をしておくと安心です。


