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ひっそり進む「マンガ離れ」──なぜ子ども・若者はマンガを読まなくなったのか
ビジョナリー編集部 2026/04/15
近年、マンガ市場は電子版の普及も追い風となり、売上規模が過去最高を記録するなど活況を呈しています。しかしその一方で、若年層の「マンガ離れ」が進み、子どもや10代の読書習慣が大きく変化している実態が浮かび上がっています。
世界に誇る「マンガ大国」日本で、子どもや若者たちの間でマンガ離れが進行している変化は、想像以上に深刻なものかもしれません。
マンガ市場拡大と若年層の空白
マンガ市場は近年も盛り上がりを見せ、コミックスや電子版を合わせた売上規模が過去最高水準を記録しています。しかし、利用者層の偏りが顕著になっています。
とくに10代を中心とする若年層の「マンガ離れ」は、出版業界では大きな懸念材料となっています。20年前には高校生で月に10冊以上の雑誌を読むのが普通でしたが、最新の調査では月に1冊程度まで激減しています。
小学生や中学生も例外ではなく、かつてクラスの半数以上が読んでいた雑誌も、いまや読者数がほぼ半減しているという調査もあるほどです。
デジタル化の波と読まない子どもたち
「紙の雑誌は読まなくなっても、スマホでマンガを楽しんでいるのでは?」と考える方も多いでしょう。しかし実際には、成人層では電子コミックの利用が拡大していますが、未成年の読書行動を見てみると、意外なほどデジタルコミックへの移行が進んでいません。
たとえば、日本の小学生の電子コミック利用率はわずか15%、中学生で35%、高校生でも約半数程度です。この背景には、アプリや電子書籍サービスが「大人向け作品」を中心に成長してきた経緯が大きく影響しています。
その結果、決済手段が限られる子どもがアクセスできる作品が少なく、結果として若年層が遠ざかる事態になっているのです。
選ばれなくなった「マンガ」という選択肢
さらに、エンタメの多様化も一因となっています。SNSや動画配信サービス、ショート動画アプリなど、手軽に刺激的なコンテンツが楽しめる時代。隙間時間にスマホを手に取り、TikTokやYouTubeのショート動画を視聴することが、彼らの日常になっています。
また、学校や習いごと、プログラミングや英語学習など、子どもたちの生活は以前にも増して多忙です。自発的にマンガを読む時間が確保しにくくなった実情も見逃せません。
読書習慣の「二極化」
興味深いのは、「まったく読まない」子どもが増える一方で、「たくさん読む」子どもはほとんど減っていない、という調査結果です。つまり、本を読む層と、ほとんど読まない層の「二極化」が進行しているのです。
小学生・中学生の調査でも、不読率(1か月に1冊も読まない割合)は過去10年で大幅に上昇し、読書好きだった層が減るのではなく、読む子はずっと読み続け、一方で「読まない」子が増えているのです。この構図は、大学生や社会人にまで共通して見られる傾向です。
「物語との出会い」が減った現代の子どもたち
かつて、学校の図書館や友達同士の貸し借り、家族の影響など、日常の中で「物語と出会う」機会が豊富にありました。特に小学生時代に好きなマンガや本に出会った経験は、その後の読書習慣や想像力の基礎になっていました。
しかし現在は、そうした自然な出会いの場が減少しています。学校での読書活動も、授業の増加などで時間が圧迫され、「朝の読書」のような習慣も形骸化しつつある現状です。
未来へのヒント──「再び物語に出会える社会」へ
ここまで見てきたように、子どもや若者のマンガ離れは、「物語と出会い、想像力を育む時間」そのものが失われつつあるという、より根本的な問題を映し出しています。
短い動画やSNSが主流となるいま、「じっくり読み、考える」という体験の価値を、私たちは問い直す時期に来ているのかもしれません。
一方で、分厚い本や長編に「挑戦してみたい」と手を伸ばす若者も、確かに存在しています。このような「読書家」の存在が、文化を支える希望であることも事実です。 だからこそ、家庭や学校でも「自由に本を選び楽しめる」場や時間を増やす努力が求められています。
まとめ
「マンガは誰もが読む」時代から、選ばれる時代に変わってきています。しかし、「物語を楽しむ力」「人をつなぐ力」などの魅力は、今も決して色褪せていません。
大人も子どもも、もう一度じっくりマンガの世界に足を踏み入れてみる。そんな小さなきっかけが、次世代のクリエイターや読者を生み出し、文化の新たな時代を築く一歩になるかもしれません。


