SHARE
親の介護・支援で「貯蓄」を切り崩す子が6割、浮き彫りになる過酷な実態
ビジョナリー編集部 2026/06/23
親の予期せぬ入院や通院、介護。それは、ある日突然、子世代の「時間」「精神」「お金」に多大な負担を強いることになる。ライフネット生命が実施した「親の入院・通院・介護に伴う子の負担実態調査」からは、多くの家庭が直面するシビアな現実が見えてきた。
【備えの現状】約4割の親が「準備なし」、約3割の子世代が親の経済状況「全く知らない」
まず、親自身の準備状況が芳しくない。入院・通院・介護に対し、39%の親が「特に準備はしていなかった」という結果が出た。さらに深刻なのは、子が親の経済状況を把握できていない点だ。実の親の貯蓄を「全く把握していなかった」と答えた人は25%(n=754)にのぼり、義理の親となればその割合は30%(n=225)にまで跳ね上がる。

【お金と時間の実態】親の支援のために自らの「貯蓄」を削る子世代
親の備えが不足している場合、そのしわ寄せはダイレクトに子へと向かう。親の支援により家計に影響が出た人のうち、60%が「自身の貯蓄の切り出し・貯蓄ペースの鈍化」で対応している。

子世代の負担額は介護で平均31万円
金銭的な負担額も決して小さくない。子世代が負担した平均額は、入院で19万円、介護では31万円に達する。特に介護においては、支援経験者の9%が100万円を超える負担をしており、状況次第では家計を揺るがす大きな支出となるリスクを孕んでいる。

介護の支援は「ほぼ毎日」が最多という過酷さ
時間の拘束も無視できない。最も負担が大きかった時期の1カ月あたりの支援日数は、入院では「7~10日(17%)」、通院では「1~2日(23%)」が最多だが、介護になると「ほぼ毎日」という回答が22%でトップとなる。精神的・肉体的な拘束力は介護において一段と強まる。

【子世代の葛藤】介護経験者の約5人に1人が「退職」を選択
浮き彫りになる介護離職の深刻さ
仕事への影響はさらに甚大だ。支援によって自身や家族の仕事に影響があった人(n=276)のうち、「休暇の取得(72%)」や「勤務時間の調整(67%)」を余儀なくされるケースが突出している。特筆すべきは、介護経験者(n=118)の18%が「退職」を選択している点だ。いわゆる「介護離職」が、子世代にとって現実的な脅威となっている。
支援の壁となる「時間の捻出」
支援にあたっての苦労として、45%が「サポートの時間を捻出すること」を挙げており、次いで「移動などによる肉体的疲労(37%)」「疲労などによる体調不良(36%)」が続く。仕事と支援の両立がいかに困難であるかがうかがえる。
影響がない人はわずか11%、「精神的な余裕」を失う人々
親の支援が自身の生活に「影響がなかった」と答えた人はわずか11%に過ぎない。59%が「自由時間や家族との時間」に影響があり、57%が「精神的な負担やストレス」を感じている。
当事者からは、「フルタイムで働きながらの支援で時間が取れず精神的に余裕がなくなった」「育児と介護で大変だった」「職場への申し訳なさと親への義務感の間で常に葛藤」といった、悲痛な声も寄せられている。

【今後のために】リスクを回避する「事前の備え」と保険の有効性

こうした過酷な経験をした世代の多くは、「自分の子には同じ苦労をかけたくない」と強く感じている。そのため、「医療保険」や「介護保険」での備えを重要視する声が多数上がっている。保険は、予期せぬ金銭的負担を軽減し、ケアの選択肢を広げるための有効な手段となり得る。
不測の事態における負担を最小限に抑えるためには、親が元気なうちに「資産状況」や「どのように対応してほしいかという希望」を親子で共有しておくことが不可欠だ。自分たち自身の生活を守るための「備え」を始めるのに、早すぎるということはない。
調査対象
3年以内に親(義理の親も含む)の入院・通院・介護のいずれかにおいて、自身に金銭的負担または時間的負担が発生した30~69歳の男女824人(有効回答数)
調査の詳細はライフネット生命「親の入院・通院・介護に伴う子の負担実態調査」で公開されている。


