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カスハラの実態と対策:現場のストレスを減らす6つのステップと組織の守り方
ビジョナリー編集部 2025/11/18
近年、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。
ある調査では直近1年でカスハラを受けたことがある担当者は64.5%、さらに6回以上経験した人も1割超という驚くべき数字が出ています。
「また今日も、大声で怒鳴られた」「無理な要求を延々と繰り返された」
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
では、そんなカスハラに直面したとき、どう対応すればよいのでしょうか?
本記事では、現場での具体的な対処法から、組織としての守り方、さらに従業員の心を守るメンタルヘルスケアまで、わかりやすく解説します。
「カスタマーハラスメント」とは何か?
カスタマーハラスメントの定義
- 顧客や取引先が従業員に対して行う、過剰な要求や暴言・迷惑行為
- 暴言や暴力、執拗なクレーム、理不尽な要求、個人情報の詮索などが代表例に挙げられます。
正当なクレームとの違い
正当なクレームとカスハラの境界は、「要求の内容や伝え方が社会通念上妥当かどうか」が重要な分岐点です。
- 正当なクレーム:事実に基づき、妥当な範囲で改善や説明を求めるもの
- カスハラ:怒号・脅迫・人格否定・執拗な要求・金銭や過剰な補償要求など、明らかに行き過ぎた行為
たとえば、「1時間も待ったので早く案内してほしい」と伝えるのは正当ですが、「いつまで待たせるんだ!ふざけるな!」と怒鳴る、机を叩く――これはカスハラに該当します。
カスハラが従業員・企業にもたらす深刻な影響
従業員の心を蝕む「見えないダメージ」
カスハラを受けた担当者には、しばしば以下のような症状が報告されています。
- 頭痛や不眠、胃腸障害などの身体症状
- イライラや集中力低下、不安、うつ傾向といった精神症状
- ひどい場合は**うつ病・適応障害・バーンアウト(燃え尽き症候群)**に発展
実際、カスハラに適切な対策を講じていない職場ほど、「従業員の離職率が上がる」「職場全体の士気が下がる」「生産性も低下する」という悪循環を招きます。
企業にとっても見逃せないリスク
カスハラは一個人の問題にとどまらず、企業にとっても大きな影響を及ぼす可能性があります。
- 人材流出・採用難・教育コストの増加
- 顧客対応に追われ、本来の業務が滞る
- 企業イメージや信頼の毀損
「従業員を守ることが企業の未来を守ること」――今や、企業規模を問わず共通認識となりつつあります。
現場でできる!カスハラ対応の「6つのステップ」
「実際に罵倒や執拗な要求を受けたらどうすれば…?」
そんな不安に直結する、現場のための具体策をご紹介します。
1. まずは「話をよく聞く」姿勢を示す
- 最初から敵視せず、「ご不便をおかけし申し訳ありません」と誠意をもって対応します。
- ただし、理不尽な要求には深入りしすぎないことも大切です。
2. 理不尽な要求は「受け流す」
- 「冷静になってください」と諭しても逆効果な場合も多いため、相手が落ち着くまで静かに話を聞き、必要以上に反応しません。
3. 不明確な点は「わからない」と正直に伝える
- その場しのぎの曖昧な回答はトラブルの火種に。
- 「現時点ではわかりかねます」と明言し、後日回答にするなど誠実なスタンスを保ちます。
4. 「3つのかえる」で状況をリセット
- 人を代える:別のスタッフ・上司に交代し、空気を変える
- 場所を変える:人目の少ない応接スペースなど、落ち着ける場所へ
- 時を変える:一度仕切り直すことで、クールダウンの時間を作る
5. 相手の名前・連絡先を確認する
- 「弊社の規定で匿名のご要望にはお応えできません」と伝え、抑止効果を狙います。
- 名前や住所を尋ねることで、その場を収束させやすい場合も。
6. 執拗な場合は「警察を呼ぶ」と毅然と告げる
- 暴力や脅迫など、身の危険を感じる場合はためらわず警察に相談してください。
- 「それでも続くなら、警察への通報も検討せざるを得ません」と冷静に伝えることが重要です。
現場スタッフの「よくある悩み」へのアドバイス
Q. 「名前や名札をしつこく聞かれたら?」
A. 個人情報は安易に伝えないことが鉄則です。
「会社の方針でお答えできません」と断って問題ありません。個人で判断せず、組織のルールに従いましょう。
Q. 「1人で対応していて怖くなったら?」
A. 決して1人で抱え込まず、速やかに上司や同僚にサポートを求めてください。
相手に「こちらも怖いと感じています」と伝えることで、冷静さを取り戻してもらえる場合もあります。
Q. 「SNSで拡散するぞ」と脅されたら?
A. 「お客様のご判断にお任せします」と毅然と対応し、過度に動揺しないことが大切です。
ルールに沿った対応を心がけましょう。
組織が今すぐ取り組むべき「カスハラ対策」
カスハラ対応は、現場スタッフ1人のスキルに頼るものではありません。組織全体で守る仕組みづくりが求められています。
1. 社内ルール・マニュアルの整備
- カスハラの定義や、対応の流れ(報告・相談・記録方法など)を明文化し、全員に周知徹底します。
- どこまで対応するかの「線引き」を明確にし、現場の迷いを減らします。
2. 従業員教育・ロールプレイング
- ケーススタディを用いた研修や、実際の対応シミュレーションを行い、現場力を高めます。
- 「もしもの時」に備えた練習が、落ち着いた対応につながります。
3. 複数人対応・証拠保全
- 面談や難しいクレーム対応は必ず複数名で対応。
- 必要に応じて録音・録画や記録係を設け、水掛け論やトラブルを防ぎます。
4. 法的知識の共有・弁護士との連携
- どこまでが法的に対応すべき範囲かを理解し、「理不尽な要求には応じない」姿勢を組織全体で共有します。
- 迷った際は、弁護士など第三者の専門家に相談できる体制を整えましょう。
5. メンタルヘルスケアの充実
- ストレスチェックやカウンセリング体制を設け、従業員の心のケアも重視します。
- 早期発見・早期対応が、長期的な離職防止や職場の安定につながります。
まとめ:「従業員を守る」ことが、強い組織をつくる
カスハラへの対応で何より大切なのは、「一人で抱え込まないこと」、そして「組織として守る仕組みをつくること」です。
- 現場では冷静な初動対応と、毅然とした態度
- 組織全体でのルール整備・教育・サポート体制構築
- 従業員の心のケアを怠らないこと
これらを徹底することで、
「従業員が安心して働ける職場」
「お客様にも誠実に向き合えるサービス提供」
という好循環が生まれます。


