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2025

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    モバイルバッテリーが「爆発」したらどうなる?事故防止と責任について

    モバイルバッテリーが「爆発」したらどうなる?事故防止と責任について

    私たちの生活に欠かせないスマートフォンやモバイルバッテリー。その裏で、リチウムイオン電池の発火などによる事故が増えています。消費者庁の推計によると、2020年度からの5年間でその件数はおよそ2,350件。利便性と引き換えに潜むリスクに、注意が必要です。

    本記事では、バッテリーの事故の原因と対策、そして万が一公共交通機関で事故が発生した際の「責任のゆくえ」について、詳しく解説します。

    モバイルバッテリー爆発・発火事故の実態

    モバイルバッテリーの事故のほとんどはリチウムイオン電池に起因します。リチウムイオン電池は高いエネルギー密度を持ち、繰り返し充電ができるという利点がある一方で、次のようなリスクを抱えています。

    • 劣化による内部ガス発生と膨張:劣化が進むと電解質が酸化し、内部でガスが発生します。これがバッテリーの膨張を招き、外部から衝撃が加わるとショート→発火という流れが生まれることがあります。
    • 品質の低い製品問題:安価なバッテリーや無名メーカーの製品は、安全装置が不十分なケースも多く、発熱や過充電を防げず事故につながるリスクが高まります。

    事故を防ぐためにできる対策

    高温を避ける

    バッテリーは高温環境に弱いです。真夏の車内や直射日光が当たる場所での放置・使用は厳禁です。また、カバンやポケットの中でも熱がこもりやすいため注意が必要です。

    強い衝撃や圧力をかけない

    落としたりぶつけてしまったりすると、バッテリー内部のショートや損傷を招きます。精密機器として丁寧に取り扱いましょう。

    パススルー充電(充電しながらの使用)は控える

    モバイルバッテリーを充電しながら同時にスマホ等を充電する「パススルー充電」は、発熱が大きく、バッテリーの劣化や事故のリスクを高めます。

    保管環境に気を配る

    使用しないときも、直射日光や高温多湿な場所は避けて、25度前後の通気性の良い場所に保管しましょう。また、バッテリー残量が0%のまま長期間放置するのも劣化を早めます。

    PSEマーク付き・新品を選ぶ

    2019年2月以降、モバイルバッテリーには「PSEマーク(電気用品安全法適合)」の表示が義務化されています。PSEマークのある新品を選び、フリマや中古品は注意が必要です。

    【もしもの時】公共交通機関で爆発事故が発生したら…責任の所在は?

    バッテリー所有者の責任

    事故の原因が「所有者の不適切な取り扱い」にある場合、損害賠償を求められる可能性があります。

    • 取扱説明書に反した使い方(非純正充電器の使用、過充電など)
    • 強い衝撃を与えた
    • 高温の場所に放置した
       

    などが該当します。

    製造メーカーの責任

    「通常有すべき安全性の欠如(=欠陥)」が原因なら、製造物責任法(PL法)に基づき、メーカーや輸入業者が損害賠償責任を問われます。たとえば、「正しく使っていたのに突然爆発した」「設計上の安全対策が不十分だった」といった場合です。

    鉄道会社の責任

    新幹線や鉄道会社には乗客の安全を守る義務がありますが、事故発生時の避難誘導や初期対応に重大な不備がない限り、責任を問われることは限定的です。ただし、対応が極端に遅れた場合などは別です。

    「連帯責任」もありうる

    もし事故の原因が「バッテリーの欠陥」と「所有者の不適切な使用」の両方にある場合、メーカーと所有者が連帯して損害賠償責任を負う可能性もあります。

    実際の損害賠償の範囲は?

    公共交通機関でバッテリーが爆発し、運行が遅延した場合には

    • 車両の修理費用
    • 乗客への補償(遅延による損害)
    • 運休・遅延による鉄道会社の逸失利益
       

    などが賠償対象となり得ます。過去には、山手線でのモバイルバッテリー発火事故で約9万人に影響が出た例も報道されています。

    事故を防ぐために今日からできること

    • 新品・PSEマーク付き製品を選ぶ
      フリマや中古は避ける、怪しい激安品には手を出さない
    • 過充電・高温・衝撃を避ける
      充電中は目の届く場所に置く、カバンの奥深くやポケットで長時間使用しない
      高温を避けるには、エアコンの効いた室内に置いたり、専用の冷却グッズを使用
      保冷剤で冷却すると、急激な温度変化や結露によって故障の可能性があります。
    • 異常を感じたらすぐ使用中止
      膨張や異常発熱、変な匂いがしたら即停止・廃棄を検討
    • 廃棄も正しく!
      モバイルバッテリーは自治体の指示や家電量販店のリサイクルBOXへ

    まとめ

    モバイルバッテリーの事故の影響は、個人だけでなく何万人もの生活に波及する可能性があります。

    • 「安いから」「便利だから」と安易に選ばず、安全性を優先。
    • 使い方や保管方法、日々のちょっとした注意が、重大事故を防ぐ
    • 万が一事故が起きたとき、責任の所在は自分にも及ぶ可能性がある
       

    あなたの行動が、次の事故を防ぎます。便利な時代だからこそ、“安全”をあなた自身の手で守っていきましょう。

    #モバイルバッテリー#バッテリー事故#リチウムイオン電池#PSEマーク#バッテリー安全#製造物責任#損害賠償#スマホ充電#注意喚起#ガジェット

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