
人材こそ日本の礎――販売員評価制度に込めた想い
4/28(月)
2025年
大西 洋 2025/04/27
私が「リーダーはどういった視点を持つべきか」と質問されたら、次のように答えるであろう。
リーダーとは、まず大きな視点から物事を語るべきだ。細部にばかり目を向ける経営者は、本来果たすべき役割を見失っている。
本来、社長と役員・事業部部長とでは、視座や責任の範囲が異なるため、明確な違いが求められる。私は社長という立場として、「国力」をテーマにした話から始めることにしている。
現在、日本のGDPは世界第4位であるが、近い将来には第5位へと後退する可能性が高い。そのような厳しい現状の中で、私たちは国力向上にむけて何ができるのか、また、先が不透明な時代において社会課題にどう貢献できるのかという視点を持ち、取り組むべき課題を見極めていく必要がある。
実はGDPの約6割は地方において生み出されている。つまり、地方の活性化が日本の国力を向上させるには不可欠なのだ。したがって、地方に眠る価値ある資源や文化をどのように活用するかの判断が、極めて重要である。
たとえば、人口減少が進む地域においては、優れた技術や匠の技、おもてなしの精神など、伝統的な価値を活かすことが再生の鍵となる。それらを現代の文脈で再解釈し、産業として昇華させることが、私たちの目指すところである。地方創生の一環として、私たち羽田未来総合研究所は地域の魅力を発掘し、社員一丸となって地方に新たな経済循環を生み出すというビジョンを掲げている。
近年、「インバウンド」という言葉が注目されているが、訪日外国人の人数を競うことは重要ではない。むしろ追求するべきなのは、来訪客の消費によって日本経済がどれだけ成長したのか、そしてそこに携わった私たちがどれほどの誇りを持てるのかという点である。インバウンドによる売上が伸びれば、それは実質的な「輸出」と同様の経済効果をもたらし、結果として国力の強化につながると考えている。
また、日本の大企業や上場企業には「中小企業をいかに支えるか」という大きな使命があると考えている。日本企業のおよそ9割は中小企業であり、日々多くの企業が、様々な理由から事業を断念せざるを得ない状況が続いている。
さらに、人口減少が加速する中で、人材育成のあり方も再考が求められている。自社のためだけに人を育てるのではなく、その人が将来別の場所で働いた時にも通用するような力を育むこと。社会全体にとって価値ある人材を育てるという視点が、これからの企業に不可欠であると考えている。
今こそ、企業も個人も、それぞれが自らの視座を高め、「日本再生」という大きなビジョンのもとで行動していくことが求められている。