ラジオ番組に100%の成功などない
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#25道草のススメ――変化の時代を生き抜くための“寄り道”の思考法
三木 明博 2025/10/25
技術革新の波は、あらゆるビジネスのあり方を根底から変えようとしています。例えば、かつて一世を風靡したカタログショッピング。カタログの制作や配布にかかる莫大なコストは、ワンクリックで何でも手に入る現代のネット通販の前では、大きな足かせとなっています。もちろん、カタログで買うことを好む層が完全にいなくなるわけではありませんが、ビジネスのやり方を変えていかなければ、厳しい状況に追い込まれるのは自明の理です。
この変化は、私たちが身を置くメディアの世界も例外ではありません。かつては、国から免許を与えられた電波という伝送手段を独占的に使うことで、広告宣伝費を主な収益源とすることができました。しかし、インターネットの登場により、誰もが情報を発信できるようになった今、その優位性は失われつつあります。もはや広告だけに頼るビジネスモデルは、限界を迎えているのです。
では、これから何で収益を上げていくのか。その答えは、それぞれの会社が自らの資産や強みを見つめ直し、模索していくしかありません。一つの活路として多くの企業が力を入れているのが、イベント事業です。イベントそのもので収益を上げたり、関連グッズを販売したりと、その形は様々です。
最近、ある人から聞いて驚いたのですが、今やアニメのイベントの入場料は1万円を超えるのが当たり前になっているそうです。かつては若者向けだからと安価に設定するのが常識でしたが、それではイベントを満員にしても赤字になってしまう。しかし、1万円を超えても、熱心なファンは喜んで足を運んでくれるというのです。
また、ある作詞・作曲家で、シンガーでもある方のライブに行った際には、ごくシンプルなデザインのTシャツが5,000円で売られていました。熱狂的なファンを持つトップアイドルならまだしも、と最初は驚きましたが、これもまた新しい時代の価値観なのでしょう。世の中は、私の知らないところで確実に変化している。そうした場面に出くわすたびに、新鮮な驚きを感じます。
このような変化の激しい時代だからこそ、私は意識的に「道草」をすることを大切にしています。
先日も、普段は通らない赤坂の路地裏に、ふと足を踏み入れてみました。すると、思いがけず面白い店を見つけることができたのです。時間がある時に街を歩くなら、いつも同じ道を選ぶのではなく、あえて違う道を通ってみる。そうすると、行き止まりにぶつかって引き返すこともありますが、道端に咲く美しい花や、ユニークな色遣いの家など、心惹かれる風景に出会うことができます。
一駅くらいの距離なら、電車に乗らずに歩いてみるのもいいでしょう。スマートフォンの地図に頼らず、駅のある方角だけを頼りに、自分の感覚で道を選んでみる。時には「一体どこに来てしまったんだ」と途方に暮れることもありますが、それすらも面白い体験です。効率だけを追い求めるのではなく、こうした寄り道の中にこそ、新しい発見があるのです。
最近、知人からいただいた朝顔が、季節外れの10月初めまで毎日美しい花を咲かせてくれていました。不思議に思って尋ねてみると、「花が枯れた後、種になる前に摘み取ってしまうと、株が栄養を種作りに使わない分、次々と新しい花を咲かせるんですよ」と教えてくれました。
これまで全く興味のなかったことでも、少し知るだけで世界の見え方は変わります。朝顔一つとっても、「今日も咲いているな」と気にかけるようになり、それが日々のささやかな楽しみになる。
人生を豊かにする発見は、何も壮大なものである必要はありません。むしろ、ごく身近なところに、私たちの知らないことは無数に転がっています。そうした小さな未知に触れたとき、「面白いな」「知ってよかったな」と感じられる心の柔軟性や感度を失わないこと。それこそが、予測不能な時代を楽しく生き抜いていくための、一番の秘訣なのかもしれません。


