THE CIO LOUNGE 第4回――成層圏通...
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THE CIO LOUNGE 第3回——AIオペレーターでコールセンターの生産効率は10倍に!ソフトバンク100%子会社が描くAI戦略とは?
ビジョナリー編集部 2026/03/04
FM大阪で放送中のラジオ番組『The CIO Lounge』。前回は「特定非営利活動法人 CIO Lounge」の矢島孝應(やじま たかお)理事長と加藤恭滋(かとう きょうじ)副理事長が登場し、AIが社会に大きな変化をもたらす中でCIOが果たすべき役割と、CIOや企業が“悩みを相談できる場”を持つ重要性について語った。
第3回(1月17日(土)オンエア)からはCIO Lounge会員の各社からゲストを迎える。初めて登壇するゲストはGen-AX(ジェナックス)株式会社 代表取締役社長CEO、砂金 信一郎(いさご しんいちろう)氏。“ジャパンクオリティ”のコールセンター業務を海外に展開する新サービスを構築するなど、AIの力で日本の国力を再び高めるという壮大な構想を語った。
孫正義会長の鶴の一声「生成AI、これはすごいことになるぞ」から誕生
珠久: Gen-AX株式会社はどんな会社なのか、設立の狙いから教えてください。
砂金: 当社はソフトバンク株式会社の100%子会社で、生成AI開発に注力しています。設立のきっかけは、孫会長が「生成AI、これはすごいことになるぞ」と号令をかけて、ソフトバンクのグループ内で生成AI開発の機運が高まったことでした。グループ内からAIに見識のある人々が集められ、そこからGen-AXという会社ができたのです。社名のGen-AXは、Generative AI(生成AI)を活用したAX(AIトランスフォーメーション)という意味です。AIを使って企業のあり方や仕事のやり方を、一から見直そうとの思いを込めています。
珠久: Gen-AXならではの商品、サービスについて教えてください。
砂金: X-Ghost(クロスゴースト)とX-Boost(クロスブースト)というものがあります。X-Ghostはコールセンターでの会話をAIで自動応答させる仕組みです。住所変更したいとか、返品したいといった会話をAIオペレーターに学習させると、人間かと聞き間違えるほど自然な応答をします。そして将来的には、オペレーターの方は部下となるAIオペレーターを10体ほど従えて、仕事を教え電話をさせる係になっていくと思います。その結果、生産効率は10倍になることが予想されています。
加藤: そんなに上がるんですか!
砂金: 一方、X-Boostは、顧客や社内からの問い合わせに回答する、照会応答業務を担うものです。ベテランの社員の方が持っている暗黙知(経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識)を集めてAIに学習させるのです。照会応答業務の担当者に、AIが出した答えのうちどれが正しいか判断してもらい、ベテラン社員の知見をAIに取り込んでいきます。特に、企業の中で使う用語や略語は、インターネット上の一般の言葉と若干違いますよね。そうした各社独自の文化に対応させることもできます。
加藤: ブーストというと、背中を押してくれているような仕組みに聞こえます。
砂金: おっしゃる通りです。AIは使えば使うほど学習して業務効率が上がります。将来的に多くのバックオフィスの業務をX-Boostが担うことを目指しています。
加藤: 暗黙知が言語化された形式知に変わる。このステップは素晴らしいと思います。
砂金: この点がうまいのはアメリカの企業で、とても合理的な発想でプロダクトをつくります。どんな文化や宗教、風習、商習慣の中でも使いやすい“グローバルスタンダード”を追求するのが特徴です。ただ、その設計が日本人にとって本当に心地よいかというと、少しズレを感じる場面もあります。だからこそ、私たちが日本企業としてプロダクトをつくる意味があると思っています。細やかな感覚に寄り添い、「かゆいところに手が届く」使い心地を実現することを目指しているんです。
コールセンターを日本の輸出産業に! 誇るべきジャパンクオリティ
砂金: 実は、このコールセンターのシステムを日本の輸出産業にしたいんです。海外のコールセンターへ、「荷物が届かない」と電話をすると、日本と比べて対応が乱雑に感じませんか。
珠久: 分かります! 日本の丁寧なサービスを求めちゃうんですよね。
砂金: だから何語でも話せる、日本式のAIオペレーターを作るんです。日本式のおもてなしができる、クオリティの高いコールセンターは世界中で必要とされるはずです。コールセンターは国内業務でも1兆円規模です。加えて英語や中国語を話せる人材がなかなか採用できない現実があります。
加藤: 素晴らしいです。コールセンターを輸出っていう発想はなかったです。
砂金: 例えば、新幹線を輸出するとします。大事なのはその車体ではなく、1分も遅れることなく運行できる、運用ノウハウです。そう思うと、日本のノウハウにビジネスチャンスがいっぱいあるのではないでしょうか。
加藤: ほとんどの技術はアメリカ発で、日本のデジタル赤字は約6兆円と非常に大きくなっています。ただ、我が国の持つ技術ももっとうまく使えるはずなんですよね。より生産性を上げて、グローバルに打って出るのが、日本流だと思うのです。
かつて『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本的経営を高く評価したベストセラー)の時代がありました。当時のさまざまな現場での改善活動が、日本を強くしたんです。今は人口の減少や働き方改革などで働き手が減り、現場の活動にも影響が出ていますが、そこをAIでカバーできたら、日本の国力はもう一度復活するんじゃないかと思います。
日本にしかない「AI×●●」を武器に
珠久: それでは最後の質問になります。政府CIO補佐官、デジタル庁のインダストリアルユニット長も兼任されている砂金さんから、日本政府が推進するDXに提言はありますか?
砂金: あくまで個人的な考えですが、全部国内で作らなきゃいけないという考えから一旦離れることです。この技術は海外から持ってきてもいい、ここは自分たちで作ろうと線引きして、もっと柔軟にやった方がいい。
ただ、アメリカや中国の技術では作れるのに、日本では作れないことに対して、研究者やエンジニアはやっぱり諦めちゃいけない。勝てないと分かっていても、その作り方は自分たちで理解している必要があります。訳も分からないけど使いますというのは、良くないですよね。国策としてきちんと向き合えたらと思います。
珠久: 作れなくとも、理解はしておくと。
砂金: それからAI技術だけでは勝てないけれど、AIと他の何かとの組み合わせで「ここは無限の強さを持っている」ものを見つけたいですね。そこに、助成金なり、規制緩和なりをするのがいいと思います。漫画、アニメ、ゲームのようなコンテンツ産業を含めて、日本が持っている強みを見つけて、他国とは違う戦い方をできたらと。
珠久: 未来は明るいですね。本当に素敵なお話をどうもありがとうございました。

※こちらから、番組収録時のディレクターカット版をポッドキャストでお聞きいただけます。
https://www.fmosaka.net/_ct/17817262
※こちらから、収録の雰囲気も楽しめる動画をYouTubeでご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=1H8O2M_MKUU
<番組情報>
番組名:「The CIO Lounge」
放送日時:毎週⼟曜⽇ 7:00〜7:25
放送日:2026年1月17日(土)7:00〜7:25
放送局:FM大阪
ゲスト:砂金 信一郎(Gen-AX株式会社、代表取締役社長CEO)
1974年、東京生まれ。東京工業大学を卒業後、日本オラクル、ローランド・ベルガー、マイクロソフトを経て、LINE(現LINEヤフー)でプラットフォーム推進やAIカンパニーCEOを務めて現職。2019年度より政府CIO補佐官、2021年デジタル庁発足時よりインダストリアルユニット長を兼任。
コメンテーター: 加藤 恭滋(特定非営利活動法人 CIO LOUNGE副理事長)
元大和ハウス工業株式会社上席執行役員・情報システム部長。経理部門に配属され、3度の会計システム開発に従事。2010年から情報システム部長(2021年3月定年)。趣味はゴルフ。
パーソナリティー:珠久 美穂子(FM大阪DJ)
大阪府出身。2000年にFM大阪の『Hit Street Midnight Special』でDJデビュー。趣味はドローン、ゴルフ、テニス。珠算検定2級、暗算検定2級、秘書検定2級。


