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2025

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    落とし物の“リアル”──3か月ルールから報酬、トラブル事例まで一気に理解

    落とし物の“リアル”──3か月ルールから報酬、トラブル事例まで一気に理解

    本記事では、「落とし物を落としてからどれくらいで権利がなくなるのか?」という疑問に、具体的な事例や法律の知識を交えて分かりやすく解説します。

    万が一の際に慌てないためにも、ぜひ知っておきたい落とし物の「期限」と「注意点」、そしてトラブルを避けるコツをまとめました。

    落とし物の真実

    令和6年、警視庁には実に約440万件もの落とし物が届けられました。※1

    最も多かったのは「証明書類(約83万点)」や「有価証券類(約46万点)」、「衣類履物類(約44万点)」など、日常的なものばかりです。

    落とした人の「権利の期限」はいつまで?

    落とし物をしてしまった場合、所有権はどれくらいで失われてしまうのでしょうか?

    • 原則:3か月間
      警察が落とし物を公告してから「3か月以内」に名乗り出て、落とし物の特徴と一致すれば、返還を受けることができます。
    • 3か月を過ぎた場合
      拾った人が所有権を取得しますので、原則として「返してほしい」と要求することはできません。どうしても返してほしい場合は、拾得者に譲ってもらえるか交渉するしかありません。
    • 警察での保管期限切れ(引取期間)
      拾った人が引取期間(2か月)を過ぎても受け取らなかった場合、落とし物の所有権は都道府県に帰属します。

    こんな落とし物は「拾った人のもの」にならない

    • クレジットカード、身分証明書、携帯電話など
      法令の規定により名義人以外の所有を禁じているため、拾った人のものにはなりません。個人情報保護の観点でも、所有権移転は不可です。
    • 刀剣や銃、違法薬物など
      もちろん、これらはそもそも所持自体が禁止されています。

    落とし物を拾ったらどうする?

    路上の場合

    拾った日から1週間以内に、近くの警察署や交番に届け出る必要があります。 届け出をすると、「拾得物件預り書」が交付されます。これは後に所有権を主張する際、必要になる大切な書類です。

    お店や駅などの施設内の場合

    拾った時から24時間以内に、その施設へ届け出が必要です。
    この場合は、施設の管理者が警察へ届ける流れとなり、施設側と拾得者の両方に権利が発生します。

    注意!

    これらの期限を過ぎてしまうと、拾った人としての権利(報労金や所有権の請求権)は消滅します。

    拾った人の「3つの権利」とは?

    落とし物を届けた人には、主に次の3つの権利があります。

    1. 報労金(お礼)を請求できる
      持ち主が見つかった場合、落とし物の価値の「5%〜20%」の間で報労金を請求できます。
      お店や駅などの施設で拾った場合は、その半分(2.5〜10%)が拾った人の取り分となります。残りの報労金は施設の取り分となります。
      ちなみに「1割」というのはあくまで相場で、法律で定められているわけではありません。
    2. 3か月経過後に持ち主が現れなければ、所有権を得られる
      警察が公告をしてから「3か月」経過しても持ち主が分からない場合、落とし物は拾った人のものになります。
      ただし、クレジットカードや身分証明書、携帯電話など、個人情報が入った物や法律上名義人以外が所持できない物は、所有権を取得できません。
      警察から「持ち主が現れませんでした」と連絡は来ないため、自分で引取期間(2か月以内)を覚えておき、警察署に受け取りに行く必要があります。
    3. 届け出や保管にかかった費用を請求できる
      例えば、落とし物を届けるために使った交通費や、ペットなどの世話や治療費など、実際にかかった費用は持ち主に請求できます。
      ただし、落とし物が自分のものになった場合、警察での保管費用を負担する場合もあります。

    実際にあった!落とし物をめぐるトラブル事例

    2023年4月、大阪市内で43万円が入った財布を拾って警察に届けた男性が、持ち主からの「お礼がない」として訴訟を起こしたニュースが話題となりました。
    結果的に拾った男性は「お金が欲しかったわけではなく、謝意を伝えてくれれば訴えなかった」と語り、最終的に和解金7万円で決着しました。
    これは、報労金の請求ではなく「感謝の気持ちがない」という点が争点になった珍しい例です。

    落とし物をしないための工夫と、いざという時の備え

    • カバンや財布には連絡先のメモや名刺を入れておく
      持ち主情報が分かるだけで、返還率は大幅にアップします。
    • 貴重品はメーカー名や製品番号を控えておく
      時計やカメラなど、特定できる情報があると見つかりやすくなります。
    • カード類をなくした場合は、警察だけでなくクレジット会社・銀行にも速やかに連絡を
      不正利用を防ぐためにも、迅速な対応が大切です。

    トラブル回避のための心得

    • 「権利」だけでなく「マナー」も大切に
      法律上の権利を主張することも大切ですが、お互いの気持ちよい対応がトラブル防止につながります。お礼の一言や、拾ってくれた人への感謝の気持ちを忘れずに。
    • 迷った時はプロに相談
      落とし物をめぐるトラブルや疑問があれば、弁護士などの専門家に相談しましょう。

    まとめ

    落とし物の扱いには、警察の公告から3か月以内に持ち主が権利を主張できることや、その後2か月以内に拾得者が受け取りに行く必要があるなど、明確な期限と手続きが定められています。

    クレジットカードや身分証明書のように所有権が移らない物もあるため、種類によって対応が変わることも知っておく必要があります。

    落とした時も拾った時も、正しい知識を持っていれば迷うことはありません。
    誰にでも起こりうる落とし物トラブルを防ぐためにも、ルールを理解し、適切な手続きを踏めるよう備えておきましょう。

    参考文献

    ※1:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/jokyo_tokei/kakushu/kaikei.html

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