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“ネット出身”が強すぎる! 米津玄師/藤井風/YOASOBIの成功の秘密
ビジョナリー編集部 2025/12/23
いまでは音楽番組やSNSで名前を見かけるのが当たり前になった人気アーティストたち。
しかし、そんなトップスターの中には “実はネット配信から始まった” という、少し意外な出発点を持つ人たちがいます。
その代表が、米津玄師、藤井風、YOASOBIの3組。
彼らは、まだ“配信”が主流ではなかった時代にネットへ作品を投稿し、そこから世界へと羽ばたきました。
今回の記事では、そんな3組の“原点”と“飛躍”に迫ります。彼らの成功の裏には、現代のネット発ムーブメントを象徴する、驚くほど共通したポイントが隠れているのです。
米津玄師
まずは、ネット配信の代表格ともいえる米津玄師の軌跡から見ていきましょう。米津玄師のキャリアは、ボーカロイドクリエイター「ハチ」として2009年にニコニコ動画へ楽曲投稿を始めたことから始まります。「マトリョシカ」「パンダヒーロー」など、ネット発のボカロ曲がミリオン再生を達成し、ボーカロイドファンの間で知らない人はいないほどの存在感を放つようになりました。当時から楽曲制作だけでなく、イラストや動画編集も自身で手掛けるなど、マルチな才能を発揮。その独特な世界観はネット上で瞬く間に拡散され、多くのクリエイターやリスナーに衝撃を与えました。
2012年には本名である「米津玄師」名義でアルバム『diorama』をリリース。作詞・作曲・アレンジからミックス、さらにはアートワークやMV制作まで、全てを一人で手掛けたこの作品は、オリコン週間アルバムランキング6位という快挙を達成。ネット発のアーティストがここまでの結果を残すのは、当時としては異例のことでした。
以降、彼はその勢いをさらに加速させます。特に「Lemon」は史上最速で300万ダウンロードを突破し、NHK紅白歌合戦ではテレビ初歌唱も経験。2020年のアルバム『STRAY SHEEP』は世界のランキングでも評価され、グローバルチャートで日本人アーティスト最高位を記録しました。
藤井風
楽器の才能、独自の歌声、高身長、親しみやすいキャラクター。藤井風も、最初は配信からその才能を世に知らしめていきました。
岡山県で生まれ育ち、幼少期から父親の影響で幅広い音楽に親しんでいた藤井風。「これからはYouTubeの時代だ」という父親のアドバイスに従い、小学生の頃から演奏動画を投稿するようになります。当時の動画は今もYouTubeで見ることができ、ピアノでJ-POPを弾きこなす少年時代の姿が印象的です。
高校進学を機に一度配信を休止しますが、卒業後の2017年に再び動画投稿を再開。今度はピアノ弾き語りで洋楽や邦楽をカバーし、その表現力と音楽センスに国内外から注目が集まりました。
2019年には東京に拠点を移し、ワンマンライブや大型フェスへの出演、さらには若手注目アーティストが担当する深夜番組枠である『オールナイトニッポン0 (ZERO)』のパーソナリティ抜擢など、まさに“ネット発の超大型新人”として旋風を巻き起こします。そして2020年、待望のデビューアルバム『HELP EVER HURT NEVER』が各チャートを席巻。日本武道館公演を成功させ、配信ライブでも多くのファンを魅了しました。
YOASOBI
「小説を音楽にするユニット」というコンセプトでデビューしたYOASOBIも、配信から世界へと躍進した代表的アーティストです。
Ayaseさん(コンポーザー/ボカロP)とikuraさん(シンガーソングライター)による2人組で、2019年に活動を開始。そもそものきっかけは、小説投稿サイト「monogatary.com」のスタッフから「小説原作の音楽ユニットをやりたい」と声がかかったこと。AyaseさんはボカロPとしてすでにネット上で高い評価を得ており、そこへInstagramで弾き語りを投稿していたikuraさんを迎え、YOASOBIが誕生します。
デビュー曲「夜に駆ける」は、小説『タナトスの誘惑』を題材にした楽曲で、配信後すぐにYouTubeやストリーミングサービスで爆発的な再生数を記録しました。彼らの楽曲は、文学的な歌詞と現代的なサウンドが融合し、日常に寄り添うリアルな感情を描き出すことで、若者を中心に共感を呼びました。
また、MVやアートワークにも力を入れ、映像クリエイターや漫画家とコラボレーションすることで、ネット発ならではの多層的な世界観を構築。最初は顔出しをしておらず、謎めいた存在感がさらに話題を呼びました。
YOASOBIの楽曲はSNSや動画配信サービスを通じて一気に拡散し、紅白歌合戦への出演や各配信チャートの年間首位獲得など、ネット発のアーティストが“スター”へと成長していく過程を体現しています。
配信から世界を目指す──新時代アーティストの共通点
米津玄師、藤井風、YOASOBIに共通しているのは、「配信」という現代ならではのプラットフォームを最大限に活用し、独自性を武器に世界へと羽ばたいた点です。 音楽制作だけでなく、映像、アートワーク、ストーリーテリングなど、総合的なクリエイティブでリスナーを魅了しています。配信という形を選ぶことで、従来の音楽業界の枠にとらわれず、自由な表現とスピード感をもって自分の世界観を発信しています。
音楽はいつの時代も自由で、誰にでも開かれた表現です。
配信という小さな発信源から世界へ――米津玄師、藤井風、YOASOBIの躍進は、その可能性を鮮やかに示してくれました。この新しい潮流は、これからも確実に広がり続けていくでしょう。
ぜひ一度、彼らの“出発点”に触れてみてください。きっと、思いがけない発見と新たな感動があなたを待っています。


