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はしか患者が急増中――今、何が起きているのか?
ビジョナリー編集部 2026/03/30
2026年春、はしかの患者数がここ数年で例を見ないほど急増しています。これには、専門家や行政も警戒を強めています。なぜ今、流行が加速しているのでしょうか。その理由と現状、そして私たちが取るべき対応策を整理します。
広がる感染と現状
はしかの患者数は2026年3月中旬までに139人確認されています。これは、昨年同時期の4倍以上となり、2020年以降で最も高い水準に達しています。注目すべきは、感染者の多くに海外渡航歴がなく、国内で感染が連鎖している点です。
首都圏の公共交通機関や空港、スーパーなど、日常生活の様々な場所で感染例が報告されています。こうした動きは、このウイルスの強い感染力と、現代社会での伝播のしやすさを浮き彫りにしています。
“最強クラス”の感染力
このウイルスの感染力は、他の感染症と比べてもきわめて強いとされています専門家によると、免疫のない人が感染者と同じ空間にいただけで、ほぼ確実にうつると考えられています。その理由は、主な感染経路が「空気感染」であるためです。咳やくしゃみだけでなく、患者が去った後の空間にもウイルスがしばらく残り、後から入った人が感染する危険性があるのです。
インフルエンザの場合、1人の患者が2~3人程度に広げるとされていますが、はしかの場合は約5倍の10人以上と言われています。
症状の現れ方と見落としやすさ
感染後の初期症状は、発熱や咳、鼻水といった風邪と区別がつきにくいものです。口の中に現れる白い小さな斑点(コプリック斑)が特徴的ですが、これは短期間しか見られません。その後、高熱や全身の赤い発疹が現れてようやく「はしか」と分かるケースが多いのです。
最近は、ワクチン接種の普及や個人の感染歴の違いから、典型的な症状が出ない患者も増えています。熱や発疹が軽く済んだり、コプリック斑が見られなかったりすることもあるため、本人も周囲も気付かないまま他の人へ感染させてしまうことが少なくありません。また、医療現場でも診療経験が減っているため、診断が難しくなっている現状もあります。
治療法がないという現実
治療は、高熱や脱水への対応、安静、十分な栄養といった、いわゆる“対症療法”が中心です。症状が重い場合や、乳幼児、高齢者、妊婦、免疫力が弱い人の場合は、入院が必要になることもあります。特に怖いのは、肺炎や脳炎、中耳炎などの合併症です。脳炎は約1,000人に1人の割合で発症し、後遺症や生命に関わることもあります。さらに、回復後もしばらく免疫力が大きく低下し、他の病気にかかりやすくなることも知られています。
大人の感染が目立つ理由
現在は成人の発症が増えています。その背景には、世代ごとのワクチン接種歴の違いがあります。2006年以降、1歳と就学前の2回接種が定期化されたため、子どもの患者は大幅に減少しました。しかし、その過渡期に生まれた層や、1回しか接種しなかった世代、あるいは年齢が上がるにつれて免疫が薄れてきた人々が、十分な抵抗力を持たないまま社会で活動しています。
最近の例でも20~30代の社会人が発症し、その後スーパーや病院、交通機関などで多数と接触していたことが判明しています。「大人のはしか」が新たな社会問題になりつつあるのです。
予防接種歴のチェック
この機会に、ご自身やご家族のワクチン接種歴を振り返ってみましょう。はしかの予防には、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)を2回受けることが推奨されています。1回で約93~95%、2回で97~99%の予防効果が期待でき、特に1歳で1回目、就学前に2回目を受けることが大切です。
「何回打ったか分からない」「母子手帳が見つからない」という方は、医療機関で抗体検査を受けたり、記録がなくても追加接種を行うことが推奨されています。すでに免疫があっても、追加でワクチンを受けることによる問題はほとんどありません。迷ったときは、かかりつけ医に相談してみましょう。
特に、妊娠を考えている方や、医療・教育・サービス業など多くの人と接する職種の方は、接種歴の確認が重要です。妊婦がかかると流産や早産のリスクが高まるため、妊娠前にパートナーと一緒に予防接種を済ませておくことも大切です。
社会全体で“予防の輪”を
感染症の流行を防ぐには、個人の努力だけでなく、社会全体で高いワクチン接種率を維持することが不可欠です。はしかでは、全体の95%以上が免疫を持っていれば、大規模な流行を防ぐことができるとされています。しかし、どこかで接種率が下がると、そこから一気に感染が広がるリスクがあります。また、流行が続く国や地域への渡航を予定している方は、出発前に追加接種を検討しておくと安心です。もし感染者と接触した場合でも、72時間以内にワクチンを打つことで発症を防げることが知られています。
もし感染が疑われたら
発熱や発疹などの症状が現れた場合は、まず外出を控え、かかりつけの医療機関に電話で相談しましょう。非常に感染力が強いため、直接受診する前に受診方法や注意点を確認することが大切です。また、症状が落ち着いた後も、しばらくは無理せず安静を保ち、学校や職場への復帰時期は医師と相談して決めましょう。
まとめ
時代の変化とともに、はしかの流行もその姿を変えています。今や大人も油断できない感染症となったこの病気は、決して軽視できません。社会全体で「守りの輪」を広げることが、私たち自身や大切な人々の命を守る最善の方法です。今一度、ワクチン接種歴を確認し、万全の備えを整えましょう。


