その不安、「性格」ではなく「全般不安症」かもしれ...
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お口ポカンに要注意ーー口腔機能発達不全症とは
ビジョナリー編集部 2026/05/25
「いつも口がぽかんと開いている」「食事のときに食べ物をよく噛まずに飲み込んでいる」「なんだか発音がはっきりしない」。それは、子どもの口の筋肉や機能がうまく育っていない「口腔機能発達不全症」のサインかもしれません。
気づいていますか?子どもの“お口のサイン”
この新しい病名は、2018年から保険診療の対象になったことで少しずつ知られるようになってきました。子どもが「食べる」「話す」「呼吸する」そして「口を閉じる」といった口の基本的な働きのバランスが崩れ、発達が十分でない状態を指します。とくに、顎や舌、唇の筋肉が十分に発達していないと、食事や会話、呼吸の仕方にさまざまな影響が現れます。
実際、近年の調査(新潟大学などの研究グループによる全国調査など)では、日常的にお口がポカンと開いている子どもは全体の約3割(30.7%)にのぼるというデータも報告されています。
実際の症状としては、食事中にクチャクチャと音を立ててしまう、食べこぼしが多い、すぐに飲み物で食べ物を流し込んでしまう、極端に食べるのが遅いまたは早すぎるという特徴が見られることがあります。日常生活においては、気がつくと口が開いている「お口ポカン」や、鼻が詰まっていないのに口で呼吸している、睡眠中にいびきをかいている、といった様子も特徴的です。会話の場面では、「サ行」や「タ行」などの発音が不明瞭だったり、話しているときに舌がよく見えるなども要注意です。
このようなサインは、子どもの年齢や成長段階によって現れ方が異なりますが、複数当てはまる場合は専門家へ相談することが推奨されています。
現代の生活が影響?子どもの“お口トラブル”が増える理由
「うちの子の食べ方が変なのは親の責任?」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近の生活環境の変化がこの問題を加速させていることも事実です。
ひとつは食生活の変化です。現代は柔らかい食材や調理技術の進歩によって、あまり噛まずに食べられる「軟食」が食卓に並ぶ機会が増えました。昔に比べて固いものに歯を立てる体験が減ったことで、顎の骨や口周りの筋肉が鍛えられにくくなっています。さらに、食事中にテレビを見たり、タブレットを操作したりしながら食べる「ながら食べ」も、噛む意識を薄れさせる要因となっています。
また、遊びや日常生活も大きく変わりました。外で元気に走り回る、シャボン玉を吹いたり風船を膨らませたり、といった口を使う遊びは減少傾向にあります。口の筋肉は、こうした運動や遊びを通して自然と鍛えられるものですが、現代の子どもたちはその機会が少なくなっているのです。
さらに、アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまりも無視できません。鼻呼吸が難しいと、どうしても口で呼吸する習慣がついてしまい、常に口が開いたままの状態が続きやすくなります。これが口周囲の筋肉を緩ませ、口の機能が育ちにくくなる悪循環を生み出しています。
そして、マスク生活の影響も指摘されています。マスクをしていると口元が外から見えにくいため、周囲が口の動きの異常に気づきにくくなります。また、息苦しさから口呼吸が習慣化してしまう場合もあります。
このように、子どもの口腔機能の発達には、現代ならではのさまざまな背景が関わっています。まずは現状を知り、できることから取り組むことが大切です。
お口の発達不足が成長に及ぼす“知られざる悪影響”
口腔機能発達不全症は、見過ごし続けると子どもの将来に影響を及ぼすことがあります。
まず顔つきや歯並びへの影響です。常に口が開いていると、頬や舌から歯にかかる適度な力が働かず、顎が細く小さくなり、歯がきれいに並ぶスペースが失われていきます。その結果、歯並びが乱れたり、将来的に矯正治療が必要になるケースも増えてきます。舌が前に出る癖があると、前歯が前方へ押し出されるなど、顎全体の成長バランスにも悪影響を及ぼします。
さらには全身の健康にも無関係ではありません。口呼吸が続くと、ウイルスやホコリ、冷たい空気が直接体内に入りやすくなり、風邪を引きやすくなったりアレルギー症状が悪化しやすくなったりします。本来、鼻呼吸をすることで空気は温められ、加湿され、異物が除去される役割がありますが、この大切な仕組みが働かなくなるのです。
また、睡眠の質にも影響します。夜間に口で呼吸していると眠りが浅くなりやすく、朝起きても疲れが残りやすくなります。その結果、日中の集中力が低下したり、イライラしやすくなったりすることもあります。呼吸が浅いことで脳への酸素供給量も減り、学習や運動のパフォーマンス低下につながるケースも報告されています。
子どもの口腔機能を鍛える工夫とサポート
まず、家庭での食事の工夫がとても大事です。食材は少し大きめに切り、前歯でかじり取る動作を促すメニューを取り入れてみてください。例えば、とうもろこしを芯ごとかじる、骨つき肉をかぶりつくといったメニューが効果的です。また、椅子に深く腰掛けて足裏をしっかり床につけ、正しい姿勢で食べることも忘れずに意識しましょう。よく噛むことを促すために、「30回噛んでから飲み込もう」と声かけするのもひとつの方法です。
遊びの中にもトレーニングの要素を組み込むことができます。シャボン玉を吹く、ピロピロ笛や風船を膨らませる、変顔をしながらお口や舌を動かす「にらめっこ」など、楽しみながら口周りの筋肉を鍛えることができます。このような遊びは、自然と口を使う習慣を身につけるのに役立ちます。
また、最近では歯科医院との連携も進んでいます。2022年から、一定の基準を満たす18歳未満の子どもについては、口腔機能発達不全症の管理や指導を保険で受けられるようになりました。専門的なトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)も必要に応じて受けることができます。かかりつけの歯医者さんに相談すれば、家庭でのトレーニング方法や日常生活での注意点も具体的にアドバイスしてもらえます。
おわりに
ほんの少しの工夫や意識で、子どもの将来の健康に大きな差が生まれることも事実であり、口腔機能発達不全症は現代の生活環境のなかで誰もが直面しうる課題です。今日からできる小さな取り組みが、将来の大きな笑顔につながる第一歩となります。


