一般企業こそIT/デジタル人材の育成を急ごう!
SHARE
THE CIO LOUNGE 第10回――デジタル体験を可視化。トラブルを未然に防ぐ「DEX」が導く「攻めのIT」とは
ビジョナリー編集部 2026/04/10
FM大阪で放送中のラジオ番組『THE CIO LOUNGE』。前回はアサナジャパンの兼城ハナ氏を迎え、現代日本の働き方の課題とDXによる解決策を探った。3月7日(土)オンエアの第10回では、IT時代の働き方を考えるうえで新たな指標として注目される「デジタル・エンプロイー・エクスペリエンス(DEX)」を特集。Nexthink合同会社ジャパンプレジデントの萩野武志(はぎの・たけし)氏を迎え、従業員の“困りごと”を先回りして解決する最新のIT運用について語ってもらった。コメンテーターはNPO法人CIO Lounge副理事長の加藤恭滋氏。
ITトラブルを“事前に減らす”──従業員を快適にする新指標「DEX」とは
珠久: Nexthink合同会社では、どんなことを提供し、支援されているのですか。
萩野: 「デジタル・エンプロイー・エクスペリエンス(DEX)」領域をリードする企業として、各企業の従業員のデジタル体験向上を支援しています。DEXという言葉は日本ではまだあまり馴染みがないと思うので少し説明すると、従業員が日々使うPCやアプリ、ITサポートなどの体験を総合的に捉える概念で、海外ではIT部門の新しい指標として注目されています。Nexthinkは、従業員がトラブルに見舞われる前に問題を察知し、事前に対処するシステムを提供しています。これによりトラブルによるタイムロスを防ぎ、ヘルプデスクや問い合わせ対応のコスト削減につながります。同時に、社員がイライラやフラストレーションを抱えず、快適に仕事ができる環境を整えることができます。
加藤: 日本はそこになかなか目が向かないんですよね。従業員はITを駆使して仕事をしていますが、実はトラブル対応に多くの時間を奪われて業務品質や生産性を毀損しているわけです。だからこそ、その解決を図る重要性を経営者に理解してもらう必要があるのです。
珠久: 今のお話を伺っていると、私が経営者なら「やります!」っていうところです。
加藤: でも評価することは難しいですよね。トラブルが起きてから対処した場合は評価がしやすいですが、トラブルを未然に防ぐ取り組みは「正常に動くことが普通でしょ?」と経営陣には取られがちです。ログを分析し、「こうした対応によって発生する可能性のあったリスクを事前に減らした」と有効性を示す必要がありますよね。
萩野: おっしゃる通りです。例えば大企業では「パソコンが遅い」、「アプリケーションが動かない」、「Wi-Fiがつながらない」、「パスワードを忘れた」といった問い合わせが月に3,000~4,000件、システム管理者に届きますよね。Nexthinkのシステムはこれらの事象をカテゴライズし、導入後にどれだけ問い合わせが減ったのかを定量的に評価することもできるので、ぜひ一度試していただきたいと思います。

AI活用の“成功ノウハウ”を横展開する「AI Drive」
珠久: ではその中でも、主力のサービスについて教えてください。
萩野: 弊社は「Infinity」というプラットフォームのもとでトラブルの予測・検知・修復を自動で行っています。私たちのサービスの考え方は先ほども申しました通り、リアクティブ(事後対応)でなく、プロアクティブ(事前対応)です。つまり問題が起きてから対応する「守りのIT」から、事前に防ぐ「攻めのIT」への転換を図っています。 そして最近はその進化版として、AIの活用を可視化する「AI Drive」という機能をリリースしました。
珠久: これはどういったものなのでしょうか?
萩野: 今あらゆる企業でAIの導入が進み、経営者も投資していますが、AIの活用を促進するには成功事例を横展開することが重要ですよね。ある社員がAIを使って優れた営業提案書を作ったら、その方法を他の社員にも共有したい。そこで、その人がどのようにAIを活用したのかを見える化するのが「AI Drive」です。ChatGPTやGeminiといった生成AIを、どの部署の誰が、どの業務でどのくらい使ったのか把握できます。プライバシーの問題があるため入力内容そのものは見えませんが、翻訳、経営資料の作成、品質マニュアル作成など、用途レベルでは把握できます。
加藤: この番組でもAIの話題はたびたび出てきましたが、これまでは何かの目的を達成するための手段としてのAIでした。今回のツールは、AIがどのように使われ、どのような成果を挙げているのかを分析してくれる。AI導入を企画する側としては、裏付けとなるデータが得られるわけで、とても心強いですね。
萩野: 企業の事情に合わせたAI導入の支援も可能です。例えば会社が利用を認めているAIがCopilotだとします。その場合、ChatGPTに社外秘情報を入力しようとすると、自動的に会社で許可されているCopilotへ誘導することができます。また、人事部など個人情報を扱う部署は、会社が認めているAIであっても利用をためらう傾向があります。そこで「この領域は使ってよい」、「この領域は使ってはいけない」といったガイドラインの作成も支援します。
加藤: ガイドライン自体の提案もあるのですね。私が現役の頃は、担当者が何度もダメ出しを受けながら時間をかけて作っていたものですが、それが一瞬でできるわけですね。
可視化から自動解決へ──“働ける環境”を支えるNexthinkの仕組み
珠久: この番組の第5回(1月31日放送)では「オブザーバビリティ」について学びましたが、Nexthinkのシステムはそれに近いものなのでしょうか。
萩野: はい。弊社のシステムの背後にもオブザーバビリティが動いておりますが、「従業員がどのようなことで困っているのか」に特化した可視化を行っています。手前みそではありますが、その範囲と深さは非常に広く、厚みのあるソリューションだと自負しています。
加藤: 可視化して、何に対応するのかが肝心ですよね。働く場所や時間が多様化するなか、従業員がきちんと仕事ができる環境にあるかを分析することは不可欠だと思います。コロナ禍を思い返すと、リモート環境で人の状況を把握するのに苦労しました。パソコン上でどのような活動をしているのかが見えるのは、非常にありがたいことだと思います。
萩野: 時間も場所も環境もハイブリッド化する中で、業務効率を高めるにはITで業務基盤を支える必要があります。人が成果を出せる環境を整える“ITのあるべき姿”は、まず可視化によって実現できます。細かな部分まで広く可視化し、何が起きているのかを把握することが重要なのです。
こうして得られた可視化データを実際のトラブル解決に活かす仕組みの一つが「Spark」です。Teamsなどのチャットから自然言語で問い合わせると、Sparkがユーザーの状況を瞬時に把握し、原因の特定から復旧まで自動で行います。例えば外部Wi-Fiからダッシュボードにアクセスできない場合、ブロック理由を示したうえで解除まで自動で実行し、すぐに閲覧できるようにします。
珠久: なんて賢いんでしょう! 私が社長だったらすぐ導入しますね!
萩野: GDPが下がっている中で、いかに生産性を高めていくのか。これは社会全体の課題だと思います。私たちも、そうした課題解決に強い思いで取り組んでいきます。
※番組収録時のディレクターカット版をポッドキャストでお聞きいただけます。
https://www.fmosaka.net/_ct/17827333
※収録の雰囲気も楽しめるYouTube動画をご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=yREEbpt0un8
<番組情報>
番組名:「THE CIO LOUNGE」
放送日時:毎週⼟曜⽇ 7:00〜7:25
放送日:2026年3月7日(土)7:00〜7:25
放送局:FM大阪
ゲスト:萩野 武志(はぎの・たけし:Nexthink合同会社ジャパンプレジデント)
日本電信電話株式会社(現 NTT)に入社以降、日本アイ・ビー・エム株式会社 セールスディレクター、日本アルカテル・ルーセント株式会社 取締役副社長を経て、OpenTextグループの日本法人代表取締役社長。直近ではシトリックスシステムズジャパンの代表取締役社長をはじめとする IT/通信業界における要職を歴任。趣味はゴルフと釣り。
コメンテーター: 加藤 恭滋(特定非営利活動法人 CIO Lounge副理事長)
元大和ハウス工業株式会社上席執行役員・情報システム部長。経理部門に配属され、3度の会計システム開発に従事。2010年から情報システム部長(2021年3月定年)。趣味はゴルフ。
パーソナリティー:珠久 美穂子(FM大阪DJ)
大阪府出身。2000年にFM大阪の『Hit Street Midnight Special』でDJデビュー。趣味はドローン、ゴルフ、テニス。珠算検定2級、暗算検定2級、秘書検定2級。


