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2026

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    日本人19年連続受賞!2025年イグノーベル賞と“シマウシ”研究の快挙

    日本人19年連続受賞!2025年イグノーベル賞と“シマウシ”研究の快挙

    年に一度、世界の“変わり種”研究が集い、科学のおもしろさと深さを伝える「イグノーベル賞」。2025年度(第35回)も、予想の斜め上をいく10の研究が選ばれました。受賞した研究は、私たちの日常や社会、時には先端科学にまで新たな視点と問いを投げかけるものばかりです。

    本記事では、2025年イグノーベル賞の全受賞内容を一挙に解説。「なぜこの研究が評価されたのか?」「どんなインパクトがあるのか?」を具体的に掘り下げてご紹介します。

    イグノーベル賞とは?

    イグノーベル賞は、ノーベル賞のパロディとして1991年に米国のユーモア科学雑誌『Annals of Improbable Research』で創設されました。

    「人々を笑わせ、かつ考えさせる研究や発見」が受賞し、「一見おかしな研究にこそ、未来を変えるヒントがある」という信念があります。

    2025年イグノーベル賞 全10分野の受賞研究

    文学賞:自分の爪の伸びを35年間記録し続けた

    受賞者:ウィリアム・B・ビーン氏(米国)
    もしあなたが「自分の爪がどれくらい伸びるか」を毎月記録し続けたら…
    ビーン氏はなんと35年にわたり、手足の爪の成長速度をコツコツと計測・分析しました。

    • 記録方法:毎月1日に爪の根本に印をつけ、どれだけ伸びたかを測定
    • 発見:年齢とともに爪の成長速度は遅くなる/中指が一番早い など
    • 文学性:論文の中で聖書や文学作品への言及、中世占星術の引用まで登場
       

    この研究は、単なる好奇心だけでなく、観察を続ける根気とウィットに富んだ記述が評価され、「科学的な記録と文学的な表現の融合」として賞を受けました。

    心理学賞:「あなたは賢い」と言われた時、人はどう変わる?

    受賞者:マルチン・ザイエンコフスキ氏(ポーランド)、ジル・ジニャック氏(オーストラリア)
    「自分は特別だ」と思い込む“ナルシスト”。他人から「あなたは賢い」と褒められると、どんな変化が起きるのでしょうか?

    • 実験方法:知能テストの後、結果に関わらずランダムに「あなたは平均より賢い/賢くない」と伝える
    • 結果:肯定的なフィードバックを受けた人は、「自分はユニークだ」という意識が強まり、否定的なフィードバックで自己評価が下がる傾向も明らかになる
       

    この研究は、「他者からの評価が自己認識に大きな影響を及ぼす」ことを証明しました。職場や教育現場でも、「どんなフィードバックを与えるべきか?」という問いを投げかけています。

    栄養学賞:トカゲがどのようなピザを好んで食べるか

    受賞者:ダニエレ・デンディ氏(イタリア)ほか国際研究チーム
    トカゲが自然にはない料理に対して、好みがあるか、食べて影響が出るかなどを調査しました。

    • 調査対象:西アフリカのニジトカゲ
    • 実験:「チーズピザ」と「具沢山ピザ」を置き、どちらを好むか観察
    • 結果:チーズピザ(クワトロ・フォルマッジ)に9匹のトカゲが殺到、具沢山ピザはほぼ無視
       

    研究者は「チーズの匂いが腐肉に似ていて、化学的な誘因になった可能性」を指摘しました。また、ピザを食べてもトカゲに悪影響はなく、むしろ栄養状態の改善や繁殖へのプラス効果も示唆されています。
    「人間の食文化が野生動物の生態にどう影響するか?」という新たな問いを投げかける研究です。

    小児科学賞:母乳に“ニンニクの香り”は移る?

    受賞者:ジュリー・メネラ氏、ゲイリー・ボーチャンプ氏(米国)
    「授乳中はニンニクを控えた方がよい?」という言い伝えに、科学的な検証を行いました。

    • 方法:母親にニンニク入りカプセルを摂取してもらい、母乳の匂いや味を分析
    • 発見:摂取後2時間ほどで母乳にニンニク臭が移る
    • 赤ちゃんの反応:通常よりも多く吸い付くようになる
       

    意外にも「ニンニクの匂いを嫌がる」のではなく、「むしろ関心を示した」ことが明らかに。さらに、乳児期の味覚体験が将来の食の好みに影響する可能性も示唆されました。

    生物学賞:ウシに縞模様を描くと、ハエが寄り付かない

    受賞者:兒嶋朋貴氏ら日本チーム(農研機構)
    日本人研究者の19年連続受賞でも話題となりました。受賞テーマは「ウシにシマウマのような縞模様を描くと虫よけ効果があるか?」というものです。

    • 実験方法:黒毛和牛に白いスプレーで幅5cmの縞模様を描き、吸血バエの付着数を比較
    • 結果:何も描かない牛や黒いスプレーを塗った牛に比べ、縞模様の牛はハエの数が約半分に減少
    • 実利効果:ストレス軽減・生産性向上・殺虫剤削減など、畜産現場での応用も期待
       

    「なぜ縞模様が効くのか?」は仮説段階ですが、ハエの目には縞模様が距離感を狂わせ、着地を妨げると考えられています。

    化学賞:ゼロカロリーの“プラスチック”で食べ物の量を増やし満腹感を得られるか?

    受賞者:ロテム・ナフタロビッチ氏(米国・イスラエル)ほか
    「ダイエットしたいけど、満腹感は欲しい」そんな夢を叶える驚きのアイデアが登場しました。

    • 研究内容:フライパンのコーティングで有名な「テフロン(PTFE)」を粉末状にして食品へ添加
    • 狙い:カロリーを増やさず、食事の“かさ増し”による満腹感を実現
    • 安全性:テフロンは消化されず、体内で分解・吸収されないためゼロカロリー
       

    動物実験や医療現場での長年の使用実績をもとに、「人間にも無害」とする根拠を列挙しています。ただし、「プラスチックを食べる」という発想への抵抗や、環境への影響など、普及には課題も残ります。
    この研究は「常識を疑い、まったく新しい方法で課題解決に挑む」姿勢が評価されました。

    平和賞:お酒を飲むと外国語がうまくなる?

    受賞者:フリッツ・レンナー氏(オランダ)、インジュ・カースベルゲン氏(英国)ほか
    「お酒を飲むと外国語がペラペラになる」そんな噂を実際に検証しました。

    • 実験方法:ドイツ語話者の学生が少量のアルコールを摂取後、オランダ語で会話
    • 第三者評価:アルコール摂取グループは、発音・流暢さが向上していると評価
    • 自己評価:本人たちは自覚なし
       

    研究チームは「アルコールが不安を和らげ、言語の抑制を緩めた可能性」に言及。ただし、「飲み過ぎは逆効果」「他言語でも同じかは不明」と慎重な姿勢も示しています。

    工学設計賞:UV消臭シューズラックの提案

    受賞者:ヴィカシュ・クマール氏、サルタク・ミッタル氏(インド)
    「靴の臭いが気になって、下駄箱に入れられない」そんな悩み、ありませんか?

    • 背景:高温多湿のインドでは靴の悪臭が問題
    • 既存研究:靴の出し入れや収納効率は研究されてきたが、悪臭対策はほぼ未開拓
    • 新提案:UV-C(紫外線)ランプ内蔵のシューズラックを設計・試作
    • 実験:悪臭靴に2分照射で臭いが消える(実験は“自分の鼻”で評価!)
       

    「使い勝手」や「体験価値」まで考慮したデザイン提案が、工学設計の領域に新風を吹き込みました。

    航空学賞:コウモリは“酔っ払う”と飛行能力が落ちる?

    受賞者:フランシスコ・サンチェス氏(コロンビア)、マリアナ・メルコン氏(アルゼンチン)ほか
    野生の果実は自然発酵で微量のアルコール(エタノール)を含むことがあります。空を飛ぶ動物がそれを摂取すると、どうなるのでしょうか?

    • 実験対象:エジプトフルーツコウモリ
    • 方法:アルコール入りのエサを与え、飛行速度やエコーロケーション能力を測定
    • 結果:アルコール摂取後は飛行速度が1.6倍遅くなり、エコーロケーションも低下
       

    「自然界で酔っ払うことは、動物にとってもリスク要因」と実証したユニークな研究です。

    物理学賞:「カチョ・エ・ペペ」はなぜダマになる?パスタソースの物理学

    受賞者:ジャコモ・バルトルッチ氏(イタリア)、ダニエル・ブシエロ氏(スペイン)ほか
    イタリア料理の伝統「カチョ・エ・ペペ(チーズとコショウのパスタ)」は「ソースがダマになる」という悩みで、多くの料理人を困らせてきました。

    • 研究内容:ソース(チーズ)の温度・デンプン濃度と“ダマ”の関係性を物理学的に解明
    • 発見:「モッツァレラ相」と名付けたダマの発生は、温度だけでなくデンプン濃度でも変化
    • 結論:適切なデンプン濃度(チーズ重量の2~3%)で、ダマを防げる
       

    伝統レシピに科学のメスを入れ、失敗しない調理法を提案。食品科学や分子生物学の基礎研究にも波及するインパクトを持つ成果です。

    日本人の快挙――19年連続受賞、その歩み

    イグノーベル賞では日本人の存在感が年々高まっています。今年の「シマウシ」研究は、環境にやさしい畜産技術として国際的にも注目されています。

    過去にも「たまごっち」「カラオケ」「バウリンガル」など、生活に身近な発明・研究から、バナナの皮の滑りやすさ、哺乳類の肛門呼吸まで、多彩なテーマで受賞しています。

    • 日本人通算受賞回数:31回(2025年時点)
    • 分野別:化学賞(6回)、生物学賞(5回)、医学賞(3回)

    まとめ

    イグノーベル賞は、世界中の研究者が「笑い」と「問い」を武器に、社会課題や身近な不便、科学の未知に挑戦しています。

    仕事や生活の中でも、「こんなこと誰もやっていない」と思うアイデアにこそ、新しい価値が眠っているはずです。

    来年のイグノーベル賞も、きっと私たちの想像を超える“問い”を与えてくれるでしょう。

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