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2026

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    節分商戦の主役は恵方巻?豆まきと並び立つ存在になった理由

    節分商戦の主役は恵方巻?豆まきと並び立つ存在になった理由

    「2月3日になったら、恵方巻を買ってきて無言で食べる」
    多くの家庭で、このような光景が見られるようになってきています。

    もともと節分といえば「豆まき」が中心でした。しかし近年、節分の風景のなかで、恵方巻(太巻き寿司)の存在感が大きく増しています。全国の家庭で、節分に恵方巻を食べる割合は6割を超えるという調査結果もあるのです。

    では、なぜ恵方巻がここまで定着したのか。その背景には、生活者の価値観と市場の変化、そして“行事のあり方”そのものが大きく変わってきた現実があります。

    本稿では、「節分」という伝統行事を振り返りながら、恵方巻が節分市場で存在感を高めてきた背景を読み解きます。

    年々進む恵方巻の定着

    2026年の節分に向けた調査では、全国の6割超の人が「恵方巻を食べる」と回答しています。そのうち、手作りではなく、市販の恵方巻を購入する人は約8割にのぼり、手間をかけずに行事を楽しめることが消費者行動に反映されています。

    価格面では、1本あたりの平均予算はおよそ818円と、年々上昇傾向です。さらにある調査によれば、2026年節分シーズンの恵方巻は一般的な太巻きで前年比11.7%の値上がりとなっており、2年連続で10%超の引き上げとなっています。

    つまり、恵方巻の消費量が増加しているだけでなく、商品の価格も上昇し続けているというのが、2026年の最新市場動向です。こうした動きからは、単なる一過性のブームを超え、行事として定着しつつある様子がうかがえます。

    節分の由来と意味

    近年は恵方巻がトレンドとなっていますが、「節分」とは、そもそもどのような行事なのでしょうか。

    「節分(せつぶん)」という言葉自体は、「季節を分ける/変わる日」を指す言葉です。かつては立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日を指しましたが、現代では主に「立春の前日=2月3日頃」を指すようになりました。これは、新しい季節(春)を迎える直前に邪気を払う習慣に由来しています。

    節分の代表的な風習が「豆まき」です。
    「鬼は外、福は内」という掛け声とともに炒った大豆をまき、“疫病や災いの象徴である鬼”を追い払うという意味が込められています。この習わしの源流とされるのが、平安時代の宮中で行われていた「追儺(ついな)」です。疫病や災厄をもたらすと信じられていた鬼を追い払う厄払いの儀式で、当時は国家的な年中行事として位置づけられていました。その後、庶民の間に広まって現在の形になりました。

    豆から海苔巻きへ――行事の変化を読み解く

    従来の節分行事において豆まきは、「家の中の邪気を払う」ための行為でした。これに対して、恵方巻は“願い事を込めて食べる縁起物”として広がり、消費行動としての意義が強くなっています。

    恵方巻の由来については諸説ありますが、現在のような形で食べられるようになった背景には、江戸後期~昭和にかけた商業的な広がりが影響しているとされます。特にコンビニエンスストアが全国展開する1980年代以降、節分シーズンに太巻きを販売する戦略が定着し、現代では節分の象徴的なアイテムになりました。

    また、恵方巻には「七福神にちなんだ7種類の具材」が用いられることが多く、食べる際にはその年の“福をもたらす方角(恵方)を向く”ことが習わしです。黙って食べることで福を逃さないという意味合いもあります。

    このように、恵方巻は願い事や縁起をかつぐ文化的意味合いを担う存在へと進化してきたのです。

    なぜ恵方巻はここまで広がったのか

    生活習慣の変化

    現代のライフスタイルは、共働き世帯の増加等により、昔よりも忙しく、多くの家庭で効率性・手軽さが重視されるようになりました。豆まきは準備や掃除の手間が伴いますが、恵方巻は “買ってきて食べるだけ” でOKです。その点が都市部の消費者に受け入れられやすい要因です。

    食の多様性と楽しみ方の変化

    恵方巻は、従来の大豆や豆菓子と異なり、多様な具材や味のバリエーションが選べるのも魅力です。魚介系・肉系・ミニサイズやハーフサイズ、キャラクターコラボ商品など、消費者の選択肢が広がることで“行事消費”として成立しやすくなっています。

    行事と消費の関わり

    恵方巻の市場拡大は、「消費そのものが文化行事を再定義する」という現象を表しています。豆まきが家庭内の行事として根強く残る一方で、恵方巻は現代人の生活リズムや消費行動と親和性が高く、より参加しやすい形で受け入れられています。

    また、節分の象徴的存在となる恵方巻は、SNSや家族行事としてもシェアされやすく、“イベント消費”としての価値も高まっています。このように、伝統行事と市場ニーズが融合した結果、恵方巻が節分の“主役級アイテム”になったといえるのです。

    まとめ

    節分という行事は、「季節の変わり目に厄を払う」という古来からの意味を持っています。しかし、現代社会ではその行事自体が多様化し、家庭や地域の事情に合わせて柔軟に楽しまれるようになりました。

    その中で、恵方巻は単なる縁起物から“消費文化”として進化し、豆まきと並び、節分を象徴する存在として定着しつつあります。それは、伝統行事が現代の生活動線や価値観と結びついた結果であり、行事と市場が共鳴した新しい日本の季節文化の象徴とも言えるでしょう。

    この2月に、ぜひこうした背景にも思いを馳せてみてください。

    #節分#恵方巻#豆まき#伝統行事#消費トレンド#マーケティング#行事マーケティング#イベント消費#季節商品#日本文化#家族行事

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