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    特許は“守り”から“攻め”の資産へ:収益化の最新トレンドと実践ポイント

    特許は“守り”から“攻め”の資産へ:収益化の最新トレンドと実践ポイント

     「みなさんの会社や研究室にも、“活かしきれていない特許”はありませんか?」

     実は日本国内に存在する特許のうち、実際に活用されているのはわずか3割程度と言われています。知らず知らずのうちに大きな機会損失を生み出している一方で、特許の維持には毎年多額のコストがかかっています。

     一方、海外では“特許=攻めのビジネス資産”として、積極的に収益化を図る例が急増中です。今こそ見直したい「特許の収益化」の最新トレンドと実践のポイントを、具体的な事例を交えながら解説します。

     ※ 記事内の情報は2025年12月時点のものです。

    特許の収益化とは

     「特許で稼ぐ」と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか。従来、日本では「特許=自社製品の独占や他社牽制のため」という“守り”のイメージが強いものでした。

     しかし、特許は、使わなければ宝の持ち腐れです。特許の収益化とは、保有している特許を他社にライセンス供与したり、譲渡したり、あるいは訴訟やファンドの形でマネタイズすることを指します。

    日本の現状

     特許庁の調査によれば、日本国内に存在する特許の実利用率は3割ほど。つまり、約7割の特許が“休眠”状態にあるのです。大手メーカーでも、事業構造の変化で使われなくなった特許が大量に残っている現実があります。

    • 特許の維持費だけがかかって収益化されていない
    • せっかく取得した技術が、他国企業の手に渡り競争力低下につながるケースも発生しています

    世界は今、特許で稼ぐ時代

     一方、米国や欧州では特許の収益化が活発です。たとえば、米IBMは自社特許のライセンスだけで年間10億ドル(約1,400億円)以上の収益を上げています。さらに、携帯通信規格分野で圧倒的な存在感を持つクアルコムは、特許ライセンス料が売上の大半を占めるほどです。

     大学の例でも差は歴然です。米国スタンフォード大学やカリフォルニア大学は、年間数百億円規模の特許ライセンス収入を得ています。対して、日本の大学トップの特許収入はせいぜい数億円規模。国単位でも日米間で100倍もの差がついているのが現状です。

    米国が強い理由

    • 知財部門の交渉力:米国の大学は100名規模の専門チームでライセンス交渉に臨む
    • 訴訟をいとわない文化:侵害があれば高額和解金を得ることも
    • 知財ファイナンス活用:特許を担保にした資金調達が一般化
       

     こういった「攻め」の戦略が、巨額の知財収益を生み出しているのです。

    特許収益化の主なビジネスモデル

     実際に特許を収益化するにはどのような方法があるのでしょうか?代表的なモデルを整理します。

    ライセンス供与(ロイヤリティ収入)

     最も一般的な方法です。特許権者が第三者に特許の利用を許可し、その対価としてライセンス料(ロイヤリティ)を受け取ります。

    • 通常実施権:複数の企業に同様の許諾が可能。相場は売上の3~5%程度
    • 専用実施権:特定企業に独占的に許諾。相場は10%前後
       

     支払方法も多様で、「定額払い」「一括払い」「売上連動(ランニングロイヤリティ)」など、交渉次第で柔軟に設計できます。

    【ポイント】

    • 製造・販売リスクを負わず収益化できる
    • 眠っていた特許を“復活”させられる
    • 取引先や業界ネットワークが広がるきっかけに

    特許譲渡(売却)

     特許そのものを第三者に売却して一時金を得る方法です。まとまった額を即時に得られる、維持費の負担から解放されるといったメリットがあります。

     ただし、将来その技術が大きく花開いた際の“果実”も手放すことになるため、慎重な判断が必要です。

    仲介・ブローカーの活用

     専門業者(特許ブローカー)やオンラインプラットフォームを通じて、売り手と買い手、ライセンサーとライセンシーのマッチングを図る方法です。自社だけでは接点のない異業種企業とも出会える可能性が広がります。

    訴訟型収益化(NPEモデル等)

     特許侵害を発見した場合、訴訟を起こして損害賠償や和解金を得るモデルです。米国では、ファイナンス企業が訴訟費用を肩代わりし、勝訴時に利益を分け合う“訴訟ファイナンス”も普及しています。

     反面、訴訟自体のリスクや社会的批判(“パテントトロール”問題)もあり、戦略的バランスが求められます。

    特許ファンド

     特許を投資対象とするファンドが、複数企業の未利用特許をまとめて取得・管理。ライセンス供与や事業支援を通じて収益化を図る動きも広がっています。

    実際に大きな収益を出した特許の例

     医薬品では、従来の治療体系を変えるような薬を開発できると、莫大な収益を上げることができ、そのような薬は製薬業界で「ブロックバスター薬」と呼ばれています。

     例えば、がん免疫療法薬「キイトルーダ」は様々な種類の癌に効果が期待できる薬であり、開発したメルク社は2024年に295億ドル(約4.5兆円)以上を売り上げました。

     また、インスタントカメラを開発したポラロイド社は、後発のコダック社が類似商品を出した際に、特許侵害で訴訟を起こし、約9億ドル(当時で約1,000億円)の賠償金を得ました。

     さらに、特許による収益は法人だけのものではありません。ある主婦は、洗濯物の糸くずを何とかしようとして洗濯機の糸くず取りネットを発明しました。メーカーとのライセンス契約によって、約3億円を得たと言われています。

    日本企業・大学が直面する課題と「巻き返し」のヒント

    • 交渉力・専門人材が圧倒的に不足
    • 訴訟リスクを恐れたり、強気のライセンス料が設定できない
    • 特許を担保にした資金調達や、知財を活用したベンチャー創出の仕組みが弱い
       

     このような構造的課題が、日本の特許の収益化を遅らせています。

    逆転のヒント

    知財収益化の仕組みを整える

    • 特許マッピングで「使う・売る・守る」を明確化
    • M&Aや資本提携時には特許網・契約の精査を徹底

    IPファイナンスを活用

    • 特許を担保にした融資やファンド出資で、研究開発→収益化の好循環を生む

    発明者・研究者へのインセンティブ強化

    • ロイヤリティ分配や株式オプションで、優秀な人材の流出を防ぐ

    大学と産業界の連携強化

    • 共同出願や段階的ロイヤリティモデルで、双方のメリットを最大化

    公的支援・マッチングの活用

    • 独立行政法人INPITの「開放特許情報データベース」(J-PlatPat)など、公的な流通促進サービスを積極的に使う
       

     特許の収益化は、単なる一時的な利益獲得だけでなく、「新たなイノベーションへの再投資サイクル」を生み出すことができます。得た収益を次の研究や開発に振り向けることで、企業や大学、そして社会全体の競争力を高める好循環が生まれるのです。

    まとめ――今こそ「眠れる知財」を目覚めさせよう

    • 日本企業・大学の特許“未活用”は、大きな機会損失
    • 収益化の仕組みと専門人材の強化が急務
    • ライセンス、売却、ファンド活用、仲介、訴訟型など多様な収益化モデルが存在することを意識
    • 得た収益は新たな研究やイノベーション投資の原資に
       

     特許収益化は、決して遠い話でも大企業だけの話題でもありません。中小企業や個人発明家、大学・研究機関にも実現可能な“現実的な成長戦略”です。

     今こそ、自社の知財ポートフォリオを見直し、“攻めの収益化”に向けて動き出してみてはいかがでしょうか。

    #特許#知的財産#知財戦略#特許収益化#イノベーション#ビジネスモデル#ライセンスビジネス#オープンイノベーション

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